◎ルイジアナ州は2005年8月のハリケーンカトリーナ(カテゴリー5)で壊滅的な被害を受けた。
2021年8月29日/ルイジアナ州ニューオーリンズ、犬を散歩させる女性(Getty Images/AFP通信)

8月29日、カテゴリー4の「ハリケーンアイダ」がアメリカ南部ルイジアナ州に上陸し、最大都市ニューオーリンズの住民は強風と広範な停電に直面した。国立気象局によると、上陸後、勢力はカテゴリー3に弱まったという。

<ハリケーンのカテゴリー>
カテゴリー1:秒速 33~44(m/s)
カテゴリー2:秒速 43~49(m/s)
カテゴリー3:秒速 50~58(m/s)※アイダ
カテゴリー4:秒速 58~70(m/s)
カテゴリー5:秒速 70~(m/s)※カトリーナ

<ハリケーンアイダ;上陸時>
中心気圧 944hpa
最大風速 55m/s
最大瞬間風速 74m/s
上陸時の速度 17km/h

米主要メディアによると、同州ニューオーリンズの電力供給は29日午後9時頃にほぼ断たれたという。国土安全保障省および緊急事態管理庁(FEMA)は、広範囲で停電が発生していると警告した。なお、市内に水道水を送るポンプは補助電源で動作しているという。

ニューオーリンズは2005年8月のハリケーンカトリーナで壊滅的な被害を受けた。そのため、多くの住民が16年前の教訓を活かし、アイダの上陸前に避難または安全確保を済ませたと伝えられている。

ジョー・バイデン大統領は29日、南部の市民に避難を呼びかけ、高潮や大波が沿岸部の防波堤を越え、甚大な被害をもたらす可能性があると警告した。

またバイデン大統領は、「広範囲で停電が発生すると予想されており、復旧には数週間かかる可能性がある」と述べた。

国立気象局は、高潮の高さは4.8mに達する可能性があり、沿岸地域と低地は水没する可能性があると警告した。ニューオーリンズを含むカトリーナで深刻な被害を受けた地域は防波堤の建設に数十億ドルを費やしてきた。ABCニュースによると、29日午後の時点で防波堤は上手く機能しているように見えるという。

ルイジアナ州の当局者はABCニュースの取材に対し、「防波堤の建設を含む2005年以降の努力が試される」と述べた。「州が困難に直面することは間違いありません。アイダは防波堤の力をテストするでしょう...」

一方、国立気象局はニューオーリンズの住民に、医療機関の病床使用率が危機的状況にあることを忘れないよう訴えた。

ルイジアナ州のコロナウイルス感染率は全米トップクラスを維持しており、医療機関は圧力にさらされている。通常、病院は大型ハリケーンの暴風圏内に入ると分かった時点で患者の避難や安全確保を開始するが、州内の他の病院に空きベッドはほとんどない。

ルイジアナ州は別の声明で、「州内外の病院に患者を受け入れる余裕はない」と警告した。「デルタ株蔓延地域に患者を受け入れる余力はほとんどありません。暴風圏内の住民は身を守り、ケガをしないようにしてください...」

ABCニュースによると、ルイジアナ州の停電は29日午後9時過ぎの時点で約79万世帯、ミシシッピ州でも約16,000世帯が停電したという。

ニューオーリンズの沿岸地域には石油化学サイト、貿易港、原子力発電所などがあり、アイダはそれらに大きな被害を与える可能性がある。

ルイジアナ州環境品質局のスポークスマン、グレッグ・ラングレー氏はAP通信の取材に対し、「1,500以上の石油精製所、化学プラント、その他のデリケートな施設と連絡を密に取り、緊急時に備えている」と述べた。

米国エネルギー情報局によると、ルイジアナ州にある17の石油精製所は米国の精製能力の約20%、2つの液化天然ガス輸出ターミナルは米国の総輸出量の約55%を占めているという。

バイデン大統領はアイダの上陸に先立ち、ルイジアナ州とミシシッピ州の緊急事態要請を承認した。

2021年8月29日/ルイジアナ州ニューオーリンズのカナルストリート(Getty Images/AFP通信)
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