◎警察は放火の疑いで67歳の男を逮捕した。
2021年7月4日/キプロス、南東部の都市ラルナカの山岳地帯周辺(AP通信/Petros Karadjias)

キプロス政府は5日、南部リマソール地区の山岳地帯などで急速に広がった大規模な山火事は鎮火しつつあると述べた。

当局によると、焼失の規模は1959年の独立以来過去最悪で、約55㎢(東京ドーム約1,200個相当)が焼け野原になったという。炎は熱波がもたらした乾燥の影響で急拡大し、9つの村が非難を余儀なくされ、民家、企業、果樹園、公共施設が黒焦げになった。

現地メディアによると、警察は放火の疑いで67歳の男を逮捕し、これまでに少なくとも4人の死亡を確認したという。当局は南西部トロードス山脈の南端に位置するオロウ村の近くで、エジプト人労働者と思われる男性4人の遺体を発見したと明らかにした。

4人は3日午後に行方が分からなくなり、捜索願が出されていた。当局は記者団に対し、「4人は炎から逃れるために未舗装の山道をトラックで進んだが、道を外れ転落した」と述べた。「転落後、4人は徒歩で逃げようとしましたが、間に合いませんでした...」

キプロスは猛烈な熱波の影響で先週から気温が急上昇し、5日も内陸部では40℃近くに達したと伝えられている。キプロス電力局は声明で、5日夜までに7つの村で発生している停電の復旧を目指すと述べた。

ギリシャ、イスラエル、イギリス、イタリアの政府当局は消防飛行機やヘリコプターを現地に送り、消火活動を支援した。また、その他の関係国もキプロス政府の要請に応じ、支援を届けた。

キプロス、リマソール地区

山火事は3日に発生し、強風と乾燥の影響で急拡大した。

森林局は、「5日の現地時間午前8時頃に炎を制御した」と発表し、残り火の消火と再炎上を避けるために監視を継続すると述べた。

森林局の局長は地元メディアのインタビューの中で、「独立以来最悪の山火事」と語った。

警察は放火の疑いで67歳の男を逮捕した。現地メディアによると、リマソール地区の北東に位置するアラカパスの村で複数の住民がこの男を目撃したという。警察の報道官はAP通信の取材に対し、「目撃者たちは男が果樹園を去った直後に火災が発生したと証言しています」と述べた。

ニコス・アナスタシアデス大統領はツイッターに投稿した声明の中で火災を悲劇と呼び、犠牲者と資産を失った人々に哀悼の意を表した。

またアナスタシアデス大統領は5日に焼失した村のひとつを視察し、「1974年の国家分裂を除くキプロス史上最悪の危機により、尊い人命が失われた」と述べたうえで、作物や財産を失った農民、住宅の所有者、犠牲者の遺族に即時の支援を提供すると約束した。

当局は今週後半に最初の補償を提供する予定で、影響を受けた地域の評価を行っている。

現地にはキプロスの消防飛行機9機と州兵のヘリコプターが複数機配備された。また、国内のイギリス軍基地から飛行機とヘリが派遣され、ギリシャ、イスラエル、イタリアも消火活動を支援した。

アナスタシアデス大統領はギリシャとイスラエルの首相とオンラインで会談し、支援に感謝すると述べた。

2021年7月3日/キプロス、南東部の都市ラルナカの山岳地帯周辺(EPA通信/Getty Images/AFP通信)

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