◎ジャイール・ボルソナロ大統領は今月、グラスゴーCOP26国連気候サミットの中で、2030年までに森林破壊を終わらせると約束した。
2020年11月/ブラジル、アマゾンの森林火災(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

11月18日、ブラジルの研究機関によると、2020年8月から2021年7月の間に破壊されたアマゾンの熱帯雨林面積は過去15年間で最悪を記録したという。

国立宇宙研究所のProdes監視システムはレポートの中で、期間中に失われた熱帯雨林の面積は前年から22%増加して13,235㎢(長野県の面積とほぼ同じ)に達したと明らかにした。

ジャイール・ボルソナロ大統領は今月、グラスゴーCOP26国連気候サミットの中で、2030年までに森林破壊を終わらせると約束した。

専門家によると、アマゾンには約300万種の動植物と、約100万人の先住民族が暮らしているという。

熱帯雨林は二酸化炭素を酸素に変え、地球の気温上昇を抑える最も重要な自然遺産のひとつである。

Prodes監視システムによると、ボルソナロ大統領の就任以前の年間森林破壊面積は10年以上にわたって10,000㎢を下回っていたという。2009年から2018年の平均は約6,500㎢だった。しかし、2019年は11,405㎢に跳ね上がり、さらに記録を更新した。

ブラジルの主要な環境非営利団体の代表を務めるマルシオ・アストリーニ氏はAP通信の取材に対し、「私たちは政府公認の熱帯雨林破壊を見せつけられている」と語った。

ボルソナロ大統領は2018年の大統領選挙キャンペーンでアマゾンの開発を推進すると約束し、森林破壊に対する非難を却下した。

ボルソナロ大統領は今週、アラブ首長国連邦で開催された民間企業の投資を呼び込む会議の中で、「ブラジルの熱帯雨林はほとんど手付かずのまま」と述べ、ブラジル政府を環境破壊者と呼ぶのは不公平と主張した。

ジョアキン・アルヴァロ・ペレイラ・レイテ環境相は18日、「熱帯雨林の違法な破壊をより厳しく取り締まる必要がある」と述べたが、データは過去数カ月の状況を正確に反映していないと反論した。

Prodes監視システムによると、期間中に失われた熱帯雨林の約40%をアマゾン地域最大の州であるパラ州が占めていたという。マットグロッソ州とアマゾナス州で失われた面積は二つ合わせて全体の約34%だったが、前年比伸び率はパラ州より大きかった。

さらに、国立宇宙研究所の月次監視システムDeterによると、2021年8月以降の熱帯雨林の破壊速度は前年を上回っているという。Deterの精度はProdes監視システムより低いが、先行指標として活用されている。

国際NGO世界自然保護基金(WWF)のブラジル担当エグゼクティブディレクターであるマウリシオ・ボイボディク氏は18日の声明で、「ボルソナロは幻想的なスピーチでブラジルのグリーンウォッシュを覆い隠している」と非難した。「数値はボルソナロがアマゾン破壊を推進していることを示しています」

グリーンウォッシュとはエコをイメージさせる「グリーン」と、ごまかしや体裁を整えただけという「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語である。スウェーデンの気候活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏はCOP26を「グリーンウォッシュフェスティバル」と呼んだ。

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