◎ルーマニアの陽性者は8月中頃から増加し始め、第一波と第二波を上回るパンデミックに発展した。
2021年11月8日/ルーマニア、首都ブカレストにある大学病院の遺体安置所(Vadim Ghirda/AP通信)

ルーマニアの現地メディアによると、首都ブカレストを含む主要都市の医療機関と遺体安置所はコロナウイルスで死亡した患者の死後処置に苦慮しているという。

ルーマニアの陽性者は8月中頃から増加し始め、第一波と第二波を上回るパンデミックに発展した。

ルーマニアのワクチン接種率はEUの平均を大きく下回っており、中東欧諸国で猛威を振るうデルタ株の震源地のひとつになった。人口当たりのワクチン完全接種率は11月9日時点で約40%。

世界保健機関(WHO)は先月末、ルーマニア政府のパンデミック対応を支援するためにチームを派遣した。しかし、ワクチン接種率は伸びず、医療機関と遺体安置所は対応に苦慮している。

ブカレスト大学病院の院長はAP通信の取材に対し、「ルーマニアでは毎日小さな村が消えている」と嘆いた。「数週間前から毎日400~500人がコロナで亡くなっています。政府は病院で起こっていることを理解していますか?」

保健当局のまとめによると、11月9日の新規陽性者は新たな制限が機能し始めたおかげでピーク時の半分以下に減少した。死亡者は487人、直近1週間の死亡者は1日あたり約420人。ルーマニアの人口は約1,900万人。

医療専門家はワクチン接種の伸び悩みに深刻な懸念を表明し、さらなる対策を呼びかけている。

中東欧諸国のワクチン展開の失敗は政府や機関への不信感、教育の問題、反ワクチン運動の結果と考えられている。一部の医療専門家は聖職者と一緒に反ワクチン運動を主導している。

ブカレスト大学病院の院長は、「ウンザリしている」と語った。「看護師たちは疲れ果てています。ワクチン接種率が西欧諸国のように70%に達していれば、犠牲者はここまで増えなかったでしょう...」

ブカレスト大学病院は待合室をコロナ患者エリアに改造し、他の患者の受け入れを原則停止している。収容しきれないコロナ患者は廊下に並べられた担架で横になっていた。

首都ブカレストの医師を代表するNGOブカレスト医師会は先月、政府に「絶望の叫び」と題する公開書簡を送り、現場の窮状を訴えた。保健当局によると、期間中の死亡者の90%以上がワクチン未接種者だったという。全国の重症患者は11月9日時点で1,870人。

絶望の叫びを受け取った政府は大急ぎで制限を発効し、日常の活動にワクチン接種証明書の提示を義務付けた。

<ルーマニアの制限 期間:10月25日~11月末>
・午後10時以降の外出禁止
・小売店の営業時間は午後9時まで
・一部施設でのワクチン接種証明提示義務化
・すべての飲食店は30日間営業停止
・国内の学校は全て閉鎖
・公共の場でのマスク着用義務化

国内の学生はワクチン展開失敗の影響で秋休みが長くなった。一部の学校は8日からオンライン授業を再開したと伝えられている。

ブカレスト大学の遺体安置所を統括するマリア・サジン博士はAP通信に、「病院の1日あたりの死亡者は通常平均10人ほどだが、8日は26人が亡くなり、そのうち14人がコロナ患者だった」と述べた。「先週のピーク時にはコロナ患者35人が死亡しました...」

またサジン博士は、遺体安置所のスタッフは犠牲者の中に20代が複数含まれていることに絶望し、あるスタッフは泣きながら遺体を棺に収容していると述べた。「若いスタッフは同年代の死を嘆いています。反ワクチン運動は多くの若者を死に追いやりました...」

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