◎各国の保健当局のデータをまとめているデータベースによると、現在、世界で流行しているコロナウイルスの99%以上がデルタ株だという。
2021年11月28日/オーストリア、西部チロル州インスブルックのクリスマスマーケット(Michael Probst/AP通信)

11月28日、西側諸国は南アフリカで最初に確認されたコロナ変異ウイルス「オミクロン株」にウンザリし、大急ぎで国境を封鎖した。

世界保健機関(WHO)は初期のデータに基づき、オミクロン株を「懸念される変異種」に指定した。データによると、それは他の変異株より「再感染のリスク」が高いことを示唆しているという。

オミクロン株の感染力の強さ、重篤な症状を引き起こすか否か、ワクチンに対する耐性を持っているか否かはまだ分かっていない。しかし、西側諸国は500万人以上を殺害し、世界経済に深刻な影響を与えたコロナに対する不安を払拭できず、大急ぎで行動した。

イスラエルは外国人の入国を禁止し、モロッコは29日に空港を閉鎖すると発表した。米国、EU、日本、香港、オーストラリアなどの先進国も水際対策を強化した。

オランダではオミクロン株が13例、イギリスでは3例、カナダとオーストラリアでもそれぞれ2例ずつ確認された。

一方、WHOは先日の声明で懸念を表明したにもかかわらず、「アフリカブロック政策」の効果は限定的と指摘し、国境を封鎖しないよう呼びかけた。

各国の保健当局のデータをまとめているデータベースによると、現在、世界で流行しているコロナウイルスの99%以上がデルタ株だという。

WHOと世界の医療専門家は今年初めに確認されたベータ株を「最も警戒すべき変異株」と呼び、多くの懸念と混乱を引き起こしたが、爆発したのはデルタ株だった。VOCに指定されているアルファ、ベータ、ガンマ、注目すべき変異株のミューとラムダもワクチンに対する耐性を持っていると懸念されたが、デルタ株に激しく打ち負かされ、どこかに消えた。

<懸念される変異株>
・アルファ(B.1.1.7)
・ベータ(B.1.351)
・ガンマ(P.1)
・デルタ(B.1.617.2)
・オミクロン(B.1.1.529)New!

<注目すべき変異株>
・ラムダ(C.37)
・ミュー(B.1.621)

<監視すべき変異種>
・イプシロン(B.1.427/B.1.429)
・イータ(B.1.525)
・イオタ(B.1.526)
・カッパ(B.1.617.1)

2021年11月27日/イギリス、ロンドンの首相官邸、ボリス・ジョンソン首相(Hollie Adams/Pool/AP通信)

米国立衛生研究所のフランシスコ・コリンズ博士は28日、CNNニュースのインタビューの中で、オミクロン株のデータは明らかに不足しており、それがデルタ株や他の変異株より感染力が高く重篤な症状を引き起こすという明確な証拠は示されていないと強調した。「それは南アフリカの一部地域で急速に広がっており、感染力が強いと懸念されています。しかし、私たちはまだ、それがデルタ株と競争できるかどうかを知りません...」

南アフリカの保健当局によると、27日の新規陽性者数は2カ月ぶりに6,000件を超えたという。1週間前の1日あたりの陽性者は約500件だった。27日の死亡者は20人。同国のワクチン接種率はアフリカ大陸の中では高いほうだが、完全接種率は24%に届いていない。

一方、オミクロン株を13例確認したオランダの27日の新規は22,000件、ドイツは45,000件、イギリスは40,000件、オミクロン株を確認していないロシアは33,000件、人口約900万人のオーストリアは12,000件、人口約1,000万人のチェコは20,000件、フランスは37,000件だった。

コリンズ博士は他の専門家のコメントを引用し、「ワクチン、ブースター、マスク着用などの基本的な感染予防対策を徹底することが何より重要」と強調した。

日本政府は29日、国境管理の強化を検討していると明らかにした。症例を確認したオーストラリア、カナダ、ドイツも動き、イスラエルは帰国した自国民に対する検疫も合わせて強化した。

しかし、WHOはオミクロン株に対する「過剰反応」に懸念を表明した。

南アフリカ政府は、「オミクロン株を最初に確認した科学者は称賛されるべきであり、罰せられるべきではない」と述べ、西側諸国の渡航禁止令に憤慨した。

WHOの科学者は、「アフリカ諸国と共に立ち向かう」と述べ、「渡航禁止令はコロナの蔓延をわずかに遅らせる可能性があるが、世界経済と国民に大きな負担をかける」と指摘した。「入国制限は科学に基づいて決める必要があります。オミクロン株は懸念される変異株ですが、それがデルタ株を上回るという証拠はまだ示されていません」

スペイン政府は12月1日以降、ワクチン未接種者の英国人の入国を拒否すると発表した。イタリアは過去2週間の間に到着した航空会社のリストをチェックしていると明らかにした。

一方、感染再拡大に直面しているフランスは封鎖ではなくブースターを選択した。香港政府にコロナ対策を助言する諮問委員会のデビッド・ホイ博士はフランスの戦略に同意した。

ホイ博士によると、オミクロン株に感染していた2人はファイザーワクチンを接種済みで、症状はほとんど出ていないという。「初期のデータはオミクロン株がワクチンに対する耐性を持っていると示唆していますが、それはデルタ株も同じです。免疫力は時間の経過と共に低下します。オミクロン株にもワクチンは効くと思いますが、この先どうなっていくのか誰にも分かりません」

2021年11月23日/コロラド州のデンバー国際空港(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
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