◎今回、南アフリカの科学者が確認した「B.1.1.529」と呼ばれる変異株が世界の感染状況に影響を与えるかどうかは分からない。
2021年10月21日/南アフリカ、首都ヨハネスブルグの医療機関(Denis Farrell/AP通信)

南アフリカの現地メディアによると、同国で最も人口の多いハウテン州などでコロナウイルスの新しい変異株が確認されたという。

ウイルスは拡散する過程で多くの変異株を生むが、その大半は従来種と同程度の威力か人間に感染する前に死ぬと考えられている。今回、南アフリカの科学者が確認した「B.1.1.529」と呼ばれる変異株が世界の感染状況に影響を与えるかどうかは分からない。

世界保健機関(WHO)はデルタ株を含む4つの変異を「懸念される変異株」に指定している。(10月末時点)

<懸念される変異株>
・アルファ(B.1.1.7)
・ベータ(B.1.351)
・ガンマ(P.1)
・デルタ(B.1.617.2)

<注目すべき変異株>
・ラムダ(C.37)
・ミュー(B.1.621)

<監視すべき変異種>
・イプシロン(B.1.427/B.1.429)
・イータ(B.1.525)
・イオタ(B.1.526)
・カッパ(B.1.617.1)

南アフリカのエピデミック・レスポンス・アンド・イノベーションセンターのトゥリオ・デ・オリベイラ博士は25日のオンライン会見で、「今回確認されたB.1.1.529は急速に広がっている」と述べた。

またオリベイラ博士は、過去4日から5日間の新規陽性者の急増はB.1.1.529の影響と思われると述べ、ボツワナと香港でも同じ型のウイルスが確認されたと明らかにした。ボツワナと香港の感染者は南アフリカから帰国した個人と伝えられている。

AP通信などによると、WHOの技術作業部会は26日の会合でB.1.1.529を評価し、懸念すべき変異株かどうかを決定する予定だという。

イギリス政府は25日、南アフリカを含むアフリカ大陸南部の6カ国を渡航制限対象リストに追加した。サジド・ジャビド英保健相は声明で、「新しい変異株はデルタ株よりも感染力が強い可能性がある」と述べた。

南アフリカの新規陽性者数は1日あたり200件台にまで減少したが、11月24日に1,200件以上に急増し、25日は2,400件を超えた。

南アフリカのワクチン接種率はアフリカ大陸の平均値を大きく上回っているが、それでも人口あたりの完全接種率は25%に届いていない。

ソーシャルメディアにはB.1.1.529の感染拡大を懸念する投稿が相次いで寄せられたが、一部の専門家は「やみくもに大騒ぎするのではなく、ワクチンを接種し、マスクの着用と社会的距離のルールを守ることが何より重要」と呼びかけている。

今年初めに確認されたベータ株は当時、最も懸念すべき変異株として注目されたが、パンデミックを引き起こしたのはデルタ株だった。ミュー株とラムダ株も懸念を引き起こしたが、デルタ株の勢いに飲み込まれた。

各国の保健当局のデータをまとめているデータベースによると、現在、世界で流行しているコロナウイルスの99%以上がデルタ株だという。

オリベイラ博士は会見の中で、「B.1.1.529の感染拡大を懸念しているが、PCR検査で検出できることは良いニュースのひとつ」と述べ、国内の感染状況を注視しつつさらに調査を進めると述べた。

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