◎保健当局のまとめによると、ブラジルの累計死亡者数はまもなく50万人に到達するという。累計感染者数は6月18日時点で約1,770万件。
ブラジルの上院は18日、国内のコロナウイルスの公式死亡者数が50万人に近づいていることに懸念を示したうえで、感染予防対策を推進しなかったジャイール・ボルソナロ大統領を厳しく問い質すと誓約した。
保健当局のまとめによると、ブラジルの累計死亡者数はまもなく50万人に到達するという。累計感染者数は6月18日時点で約1,770万件。
上院はボルソナロ大統領と政府のコロナ対策に焦点を当てており、全国放送された公聴会の中で、「ボルソナロ大統領はマラリア薬のヒドロキシクロロキンをコロナ治療薬として推奨し、その結果、コロナワクチンの購入が数カ月遅れた可能性がある」と指摘した。上院は、ボルソナロ大統領の様々な問題行動と死亡者の増加の因果関係を公式に調査している。
懐疑論者はブラジルの公式死亡者数は低く見積もられていると主張しているが、ボルソナロ大統領は「保健省は死亡者数を誇張し、不安を煽っている」と反発した。一部の著名な科学者や疫学者も実際の数字ははるかに高く、恐らく数十万人の死亡が報告されていないと指摘している。
サンパウロの病院でコロナ患者を治療しているアブデル・ラティフ博士は、「コロナウイルスが引き起こした恐怖と絶望は、自称専門家の誤った情報、意見、および政府の適切な指導の欠如によって悪化した」と述べた。「私たちは政治の影響を受けない科学と証拠に基づいた、真の人道的な公衆衛生政策を必要としています」
過去1週間の公式データによると、ブラジルの1日あたりの死亡者数は約2,000人を維持しているという。これは世界全体の約20％に相当し、一部の公衆衛生の専門家たちは「第三波の始まりを反映している可能性がある」と警告している。
ボルソナロ大統領はコロナウイルスを「小さなインフルエンザ」と軽視し、マスクを却下し、州政府指導者による全国規模のロックダウン要請を打ち負かし、マラリヤ薬のヒドロキシクロロキンを宣伝した。ドナルド・トランプ前大統領を含むほとんどの自称専門家たちは、ヒドロキシクロロキンの宣伝を中止している。
ボルソナロ大統領は12日に開催されたバイクイベントの中で、ヒドロキシクロロキンを服用したと支持者に宣伝し、大歓声を浴びた。「...翌日、私の中のコロナはどこかに消えました」
上院公聴会は、「ボルソナロ大統領はヒドロキシクロロキンを一貫して押し、薬の効果を否定した最初の保健大臣を解雇し、2人目も似たような理由で解雇した」と述べた。2人目の保健大臣はヒドロキシクロロキンの服用は推奨できないと主張し、辞任したと伝えられている。
世界保健機関（WHO）は昨年6月、ヒドロキシクロロキンの試験を中止したうえで、「コロナウイルスに効果がないことをデータで確認した」と述べた。同月、米食品医薬品局（FDA）もヒドロキシクロロキンはコロナ治療に効果を発揮せず、深刻な副作用を引き起こす可能性があると指摘し、緊急使用許可を取り消した。
4月に始まった上院公聴会は、ヒドロキシクロロキン賛成派の医師の証言と反対派の主張を闘わせる場になった。
保健省の職員は公聴会の中で、「ヒドロキシクロロキンが有効という証拠はたくさんあり、同省はそれを具体的に提示することなく国民にガイドラインを提供した」と語った。
反対派はこの主張を却下し、政府および保健省は科学に基づく証拠を提供することなく、全国にこの薬を配布したことが示されていると反論した。
ボルソナロ大統領の非公式顧問と呼ばれている免疫学者は、「ヒドロキシクロロキンはメキシコの麻薬とコロナウイルスを打ち負かした」と主張したが、反対派は「メキシコはまだコロナと戦っている」と反撃した。
それでも、ヒドロキシクロロキンはフェイスブックなどのソーシャルメディアでいまだに称賛されており、コロナに関する他の誤った情報も同様に拡散されている。
サンパウロ大学の調査チームは、実際の死亡者は60万人近く、恐らく80万人以上と推定している。上院公聴会は、政府の誤った対応と死者数の因果関係だけでなく、正しい対応でどれだけ死者を抑えることができたかを定量化したいと望んでいる。
国内最大のコロナ検査プログラムを主導している疫学者のペドロ・ハラル博士は、「政府がファイザー社と中国が開発したワクチンの購入の申し出を推し進めていれば、少なくとも95,000人の命を救うことができた」と推定した。
一方、ボルソナロ大統領は上院の調査は迫害に相当すると非難した。
先週の上院公聴会に出席した微生物学者のナタリア・パステルナック博士は委員に対し、「ヒドロキシクロロキンの神話は死なないようです」と政府を非難した。「政府と保健省は嘘を流します。そして、その嘘は人を殺します...」
