◎ロイター通信によると、アストラゼネカは生産上の問題を抱えており、3月末までにEUに供給されるワクチンは3,100万回分にとどまるという。当局者は取材に対し、「契約時の予定数量は8,000万回だった」と語った。
◎英アストラゼネカのパスカル・ソリオCEOはイタリアの新聞社の取材に対し、「チームはワクチン製造における多くの問題を解決するために24時間年中無休で働いている」と述べた。
2021年1月14日 ロイター通信/イギリス、ロンドン

1月26日、英アストラゼネカのパスカル・ソリオCEOは、EUに対するコロナワクチンの供給の遅れを擁護した。

ソリオCEOはイタリアの新聞社の取材に対し、「チームはワクチン製造における多くの問題を解決するために24時間年中無休で働いている」と述べた。

パスカル・ソリオCEO:
「工程は私たちの想定より2か月遅れている」

またソリオCEOは、EUの契約への署名が「遅かったおかげ」で供給の問題を解決する猶予を与えられたと述べた。

一方、EUの幹部はアストラゼネカの供給遅れに憤慨し、法的措置を検討すると警告した

ロイター通信によると、アストラゼネカは生産上の問題を抱えており、3月末までにEUに供給されるワクチンは3,100万回分にとどまるという。当局者は取材に対し、「契約時の予定数量は8,000万回だった」と語った。なお、欧州医薬品庁は、まだ同社のワクチンを承認していない。

EU保健委員会のステラ・キリヤキデス氏は25日のオンライン記者会見で、「アストラゼネカの新しいスケジュールを受け入れることはできない」と述べた。

ステラ・キリヤキデス氏:
「先週の金曜日(22日)、アストラゼネカ社は委員会とEU加盟国に、合意した数量よりはるかに少ない用量しかワクチンを供給できない、と突然通知してきた」

「EUはアストラゼネカが製造した用量、スケジュール管理、配送状況(どこにどれだけ配送したか)、その他の情報について正確に知りたいと考えている」

「前払いした分のワクチンを速やかに配送するように要求している。対応によっては法的措置も辞さない」

アストラゼネカは22日の声明の中で、「欧州の製造拠点での生産量が減少するため、予定数量を下回った」と述べた。同社のワクチンはイギリスとインドで承認され、接種が始まっている。

2021年1月2日 Getty Images/イギリス、ヘイワーズヒースのプリンセスロイヤル病院、アストラゼネカ(オックスフォード)ワクチン

四面楚歌のソリオCEOは欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長との会談の中で、「同社は早くワクチンを届けるためにできる限りのことをしている」と主張した。

これに対し、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は、「ワクチンの配送遅れは重大な契約違反であり、イタリアや他のヨーロッパ諸国に甚大な被害をもたらす。私たちは法的措置を検討している。約束した納期を守ることは企業の務めである」と述べた。

ドイツの欧州議会議員、ペーター・リーゼ氏はアストラゼネカとイギリスを攻撃した。
「イギリスは約束されたものを手に入れ、EUはダメと言われた。これは非常にナンセンスだ。契約を締結した以上、納品する義務がある」

イギリスは昨年末にアストラゼネカワクチン、12月初めにファイザーワクチンの使用を承認し、人口当たりのワクチン接種率はEU各国をはるかに上回っている。

BBCニュースは先日、EUの規制当局がファイザー社に対し、「ベルギーで生産している同社のワクチンの輸出をEUの新しい規制で阻止すると脅した」と報じた。

しかし、欧州委員会のスポークスマンは声明でこの報道を否定し、「新しい規制は第三国へのワクチン輸出に影響を与えない」と述べた。

欧州委員会のスポークスマン(声明):
「欧州委員会は製造業者の生産能力、すなわち、生産されたワクチンの数、生産センターおよび、EU加盟国を含む他の国に配送されたワクチンの数を明確にするための輸出透明性メカニズム(規則)を提案しました。これは透明性の問題です。私たちは公平なワクチンの配布を求めています」

2021年1月14日 ロイター通信/アストラゼネカ(オックスフォード)ワクチン

アストラゼネカ(オックスフォード)のワクチンについて

・2回接種する必要がある。

・冷蔵庫で保存できる。

・18歳の以上の人々に十分な安全を保証できる。

・他社のワクチンより安い。

種類保護率
接種回数
試験数
(公表数)
保管条件
期間
費用
ファイザー95%
2回
43,538人-75℃
5日
20ドル
モデルナ94.5%
2回
30,000人-20℃
6カ月
33ドル
オックスフォード62-90%
2回
24,000人冷蔵庫
4ドル
スプトーニクV92%
2回
20,000人冷蔵庫
10ドル

コロナウイルスワクチン:分かっていないこと

・妊娠中の女性や免疫力が低下している人に対しての使用可否および効果。

・18歳以下への効果。(子供を対象とする臨床試験はまだ行われていない)

・HIV/AIDS患者やコロナウイルスから一度回復した人への効果。

・アレルギー反応を引き起こす可能性あり。

・接種者はコロナウイルスから保護されるが、「ウイルスの拡散を防ぐ効果があるかどうか」はまだ分かっていない。

・接種者はコロナウイルスから完全に保護される?症状から保護される?

・コロナウイルス変異種に対する効果。

免疫を保持できる期間は?

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