トランプ大統領の”マスク大好き発言”を考慮したものと思われる

トランプ大統領のお膝元、南部テキサス州のグレッグ・アボット共和党州知事は、コロナウイルスの感染爆発を抑えるべく、公共の場でのマスク着用を市民に命じた

この命令は同州の254郡に向け発出、24時間当たりの感染者数が20人以上を超えた地域に適用されることになった。

同州の感染者数は右肩上がりで増加しており、7月1日の24時間当たり新規感染者は8,000件を突破。2週間前の3倍以上に膨れ上がった。

アメリカは間もなく7月4日、記念すべき「インデペンデンス・デイ」を迎える。全米各地で毎年恒例の記念式典、花火大会、イベントなどが予定されているものの、テキサス州はパンデミックの影響でこれらのイベントを全てキャンセルし、ビーチも閉鎖した。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、7月2日時点の同国の累計感染者数は約274万人、13万人以上の死亡が確認されている。

アボット共和党州知事は記者団に対し、「マスクはテキサスのビジネス再開を手助けしてくれる。私もトランプ大統領もマスクが大好きだ。この命令に従わない者は、最大250ドルの罰金刑に処される。しかし、テキサスの人々はマスク着用という簡単な慣行を快く受け入れるだろう。罪に問われ刑務所に収監される者が出るとは到底思えない」と述べた。

テキサス州の医療機関は、入院患者の激増を受けパンク状態に陥っている。集中治療室(ICU)およびベッドの占用率は100%に達しつつあり、余裕は全くない状態だと関係者は言う。

マスク着用命令は、10歳以下の子供、呼吸器系等の基礎疾患によりマスクを着用できない者、飲食中、屋外で運動する場合を除き、あらゆる者に適用される。

現在、アメリカ国内でマスク着用を義務化している州は50州中21州。南部および西部での感染拡大を受け、ここ2週間で対象エリアが一気に増えた。

州知事の判断に対し同州の民主党議員は、「あまりにも対応が遅く、今まで何をしていたのか聞きたくなる。トランプ大統領のマスク擁護発言に感化されたのだろう。彼は無能かつ悲惨な指導者だ」と述べた。

先日、ホワイトハウスコロナウイルス対策チームの最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ医師は、「州政府は我々が示したガイドラインに従い、諸条件をクリアしたのち、ロックダウンを解除すべきだった。しかし、それに従わず勝手に行動した結果、感染者の再増加につながった」と警告した。

テキサス州は4月30日にロックダウンを解除を決定、政府のガイドライン条件をクリアせずに行動を開始した。アボット共和党州知事はビジネスの再開を優先し、ジムや飲食店、商業施設、企業などに対し、収容率75%の遵守を指示、営業を許可した。

しかし、6月中頃から感染状況が急激に悪化。先日、全てのバーに閉鎖命令を出し、その他の施設についても収容率を50%まで減らすよう指示した。

アボット共和党州知事は、マスク着用義務化の命令に最後まで反対していた。しかし、共和党議員からの反発とトランプ大統領のマスク大好き発言を受け、今回の命令発出に至った。

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同盟国日本の今

AP通信によると、アメリカ国内の感染者数は50州中40州で増加しているという。これに対し一部の専門家は、PCR検査体制の充実に伴う結果と指摘しているが、南部および西部の陽性率上昇、すなわちウイルスの蔓延はデータで証明されており、体制拡充だけの問題でないことは火を見るより明らかだ。なお、アリゾナ州の陽性率は25%に達する勢いである。

7月2日、ロイター通信によると、フロリダ州の24時間当たり新規感染者数が初めて10,000件を突破。これは、同日に欧州の全地域で確認された感染者数より多い。

同日、アラバマ州のケイ・アイヴィー共和党州知事は、公衆衛生上のロックダウンをさらに90日間延長し、9月9日までビジネス再開を諦めると発表した。

同じく同日、シカゴ市当局は、感染拡大の続く15州からイリノイ州へ立ち入る場合、14日間の検疫を課すと発表。違反者は罰金刑に問われる。

一方、アメリカの同盟国、日本でもコロナウイルスの感染再拡大が懸念されている。首都東京では、約2か月ぶりに24時間当たりの新規感染者が100人を超えた。

これを受け小池都知事は記者団に対し、「東京は感染拡大の要警戒時期に入った。感染者の半数以上が20歳~40歳に集中しており、連日、夜の繁華街で小規模なクラスターが発生している。緊急事態宣言の再発出を防ぐためには、個人レベルの予防対策が重要になる」と述べた。

7月2日時点の日本の累計感染者数は約19,000人、976人の死亡が確認されている。2月、同国政府はコロナウイルス患者を乗せたダイヤモンド・プリンセス号の横浜港寄港に伴う対応で世界から批判を受けた。

その後、一時は感染爆発の恐れを指摘されたものの、地方自治体レベルでの感染予防対策が大きな成果を上げ、欧米やブラジルのようなパンデミックには至らなかった。

日本の人口密度は1㎢当たり340人ほど。しかし、東京都市圏(3,800万人以上)の人口密度は1㎢当たり約4,700人、中心部の人口超密集エリアになると20,000人を軽く超える。

7月3日、首都東京の累計感染者数は6,500人を超えた。同日の新規感染者数は二日連続で100人の大台を超える124人に達し、小池都知事は「夜の繁華街へは極力出歩かず、可能な限り外出を控えて欲しい」と都民に呼びかけた。

首都東京から遠く離れた南部鹿児島県では、初の大規模クラスターが確認され、県民に動揺が走った。2日、同県の県庁所在地、鹿児島市の繁華街「天文館エリア」でクラスターが発生。「NEWおだまLee男爵」と呼ばれるショーパブの従業員を含む関係者8名がコロナウイルスに感染した。

鹿児島市の森市長は記者団に対し、「同県初のクラスターが夜の繁華街で発生した。店舗名公表の理由は、ここ数日の間に不特定多数の客が出入りしていることから、注意喚起を促すためである。NEWおだまLee男爵を利用した人は、帰国者・接触者相談センターに連絡し、PCR検査を受診してほしい」と述べた。

鹿児島県の累計感染者数は21名、死者はゼロである。日本の感染状況はアメリカと同じくジワジワと悪化しつつあり、第二波の発生も懸念される。

7月2日、安倍首相は日本医師会の新会長に就任した中川氏と会談、夜の繁華街でのクラスターや感染予防対策方法について意見交換した。中川氏は記者団に対し、「コロナウイルス対策が喫緊の課題。政府と協力し、第二波発生の防止および発生に備えた準備を進めていきたい」と述べた。

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