COVID-19安全ポリシー
アメリカン航空は、搭乗時のマスク着用に応じなかった搭乗客を飛行機から追放した。この措置は、同社の策定したCOVID-19安全ポリシー(社内ルール)に基づき実施したものである。
17日、ブランドン・ストラカ氏(Brandon Straka)はニューヨークからテキサス州ダラスへの便に搭乗する際、マスク着用を依頼された。この提案を拒否すると、アメリカン航空航空は社内ルールに従い、同氏を飛行機から追放した。
ストラカ氏は、「私はマスクを着用せず飛行機に搭乗し、消し去られた。人生で初めての体験である。いつ連邦法にマスク着用必須と記載されたのだろうか」とニューヨークのラガーディア空港からツイートした。
マスク着用は、コロナウイルス感染拡大防止および感染リスクを低減させるために使用されている。世界保健機関(WHO)もマスクの効果を認め、着用義務化を法律によりルール化する国も出てきた。
連邦法(アメリカ法)に「フライト時のマスク着用を必須とし、違反した者は消し去る」とは書かれていない。しかし5月中旬以降、同国の主要航空会社はCOVID-19安全ポリシー(社内ルール)を策定し、乗客および乗務員のマスク着用をルール化した。
15日、アメリカン航空は「乗客のマスク着用義務化」をまとめた同安全ポリシーを発表。搭乗時のマスク着用を拒否した乗客は機内からの撤退を求められ、同社のブラックリストに名を刻む可能性がある、という。
ストラカ氏は、トランプ大統領御用達の保守系テレビ番組「FOXニュース」にゲスト出演したことのある元俳優兼ヘアスタイリスト。民主党政権を否定するよう国民に呼びかける#WalkAwayキャンペーンを設立したことで知られる。
#WalkAwayキャンペーンウェブサイトでは、様々なブランド商品を販売している。また、コロナショックに便乗した布マスク販売(約20ドル)も開始し、人気を博しているという。
保守的なストラカ氏は、アメリカン航空が策定した同安全ポリシーに対し、「正気の沙汰ではない。我々は選択肢を失った。アメリカの自由民主主義は崩壊し、人類はマスクに支配されるだろう」と動画ツイートを投稿した。
同氏はアメリカン航空の客室乗務員に「マスク着用はアメリカ法によって決まっている」と指摘され憤慨。なお、客室乗務員はアメリカ法を同社の社内ルールと”言い間違えた”ようである。
この言い間違いにストラカ氏は猛反発。「あなたの言ったことは間違いである。そんなことも知らずに客室乗務員を務めているのか?撤退するのはあなただ」と指摘すると、客室乗務員は「はいはい、分かりました分かりました。早くマスクを着用してください」と答えた。
客室乗務員たちストラカ氏のもとに集結、騒然とする機内の様子がSNS上に拡散された。最終的に客室乗務員は、「私たちは社内ルールに従わねばならない。あなたがマスクを着用しないのであれば、機内から撤退いただく」と通告した。
ストラカ氏は、「私がマスクを着用できない状態にある、と気にかけてくれる客室乗務員はひとりもいなかった。彼女たちは私を取り囲み、脅迫した。激しく責められ、自由を奪われ、そして、機内から追放されたのである」と述べた。
この時偶然機内に乗り合わせたニューヨーク・タイムズ紙の記者が、機内で繰り広げられた紛争を携帯電話に記録していた。
I was just removed from my flight for not wearing a mask. 1st time this has happened. Not a federal law. @AmericanAir staff standing over me telling me it’s THE LAW. So much for “please respect those who can not wear a mask”. When I pointed out this wasn’t a law I was removed.
— Brandon Straka (@BrandonStraka) June 17, 2020
— Steadman™ (@AsteadWesley) June 17, 2020
ルールは守りましょう
ニューヨーク・タイムズ紙の記者がツイートした動画に、ストラカ氏と客室乗務員のやりとり(音声のみ)が記録されている。女性が男性に対し、「基礎疾患によってマスクの着用が困難であれば、証明できる書類を提出してほしい」と尋ねている。
ストラカ氏と客室乗務員の紛争が激化する中、他の乗客が「飛行中にマスクを外されたら、皆が迷惑する。ルールに従えないのであれば、今すぐ降りるしかない」と大声で叫んだ。
アメリカン航空の定めたCOVID-19安全ポリシー(社内ルール)には、例外もしっかり明記されている。マスク着用が困難な幼児は当然除外され、飲食時の取り外しも可能である。また、基礎疾患(呼吸困難など)によって着用が困難な場合も同様。
保守的なストラカ氏は幼児ではなく、基礎疾患も持っていないため、マスク着用免除の対象外であった。
同氏はCNNから、「基礎疾患などによってマスク着用が困難であれば、しっかり主張すべき」と質問されるも、それには答えず、「マスクを着用することは危険かつ困難であり、今すぐ禁止すべきである」と語った。
アメリカン航空はBBCの取材に対し、「我々は社内ルールを遵守する。ストラカ氏は後の便を予約し、ルールに従い搭乗するだろう。また、当社の社内チームは本紛争に対する処置(遅延に伴う損害賠償請求など)を検討しており、より多くの情報を入手すべく、ストラカ氏と連絡を取り合っている」と述べた。
ストラカ氏は次の便に搭乗する際、客室乗務員の提供したマスクを渋々着用し、離陸に成功。その後、機内ではマスクを取り外したとメディアに語った。
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【関連ウェブサイト】
・#WalkAwayキャンペーンウェブサイト
・アメリカン航空公式ホームページ
BBC News - Coronavirus: American Airlines passenger removed for not wearing mask https://t.co/b2CbiUUbje
— GodandtheBear (@GodandtheBear) June 18, 2020