イタリアとスペイン、ロックダウンをさらに緩和

コロナショックに見舞われた欧州各国は、2カ月以上に渡ってロックダウン措置を継続してきた。4月に入り、徐々に感染者および死者数が減少し始め、各国政府は経済活動再開に向けたアクションプランを策定。そして5月、段階的なロックダウンの緩和が開始された。

18日、イタリアでは飲食店、バー、カフェ、美容院など、ほとんどの企業活動が再開された。これに伴い、エスプレッソを心から愛するイタリア人たちは、ようやくカフェでいつもの味を楽しめるようになった。

同じくスペインでも、感染者数の少ないエリアで措置の緩和を実施。マスク姿の人々が市内を行き交い、街は活気を取り戻しつつある。

両国における1日当たりの死者数は、4月以降緩やかに減少し続けている。イタリアの17日の死者数は145人。1日900人以上が亡くなっていた3月末頃に比べると、800人近く減少したことになる。

スペインではロックダウンを発動して以来、初めて24時間当たりの死者数が100人を下回った。両国政府はこれらの結果を踏まえて措置の緩和を開始した。

しかし当局は、大きく気を緩めれば第二波に襲われる可能性があることを理解しており、あくまで”段階的な緩和”であることを強調している。コロナウイルスを制圧したと思われたシンガポールや韓国、北海道のような感染再発を防ぐべく、感染防止対策を徹底したうえで経済活動再開を目指すという。

イタリア政府/ロックダウンの段階的な緩和に伴い、旅行制限を解除
オランダ政府/セックスパートナーの必要性を説くガイダンスを発表
コロナウイルス/ロックダウン緩和の反動、ドイツの感染率が上昇中

イタリアの緩和措置

イタリア国内では、社会的距離の取り組みが企業活動再開の必須事項である。席の間隔を大きく開ける、相席を避ける、店員はマスクもしくは防護面(フィルター)を装着するなど、店舗から感染者を出さない・広げないを合言葉に各種対策を徹底したうえで営業を再開した。

同国のコロナウイルスによる累計死者数は32,000人以上、今年の経済成長率は-10%前後になると予想されており、経済活動再開を望む声は日に日に高まっていた。

教会でのミサも再開された。ただし、教会内では社会的距離の確保およびマスクの着用を必須としている。また、他の宗教も同じ条件を遵守したうえで、活動を再開させている。

当局は大規模な集会、ミサ、懇親会などの危険性を指摘しており、感染者の著しい増加やクラスターが確認されれば、即刻規制を再開すると警告した。

バチカンでもミサが再開された。サン・ピエトロ大聖堂に訪れた人々は入場前にアルコール消毒を受け、必要な防護対策を施したのち、フランシスコ教皇の言葉に耳を傾けた。

北部ロンバルディア州ミラノ、サンタ・マリア・デル・ロサリオのマルコ・ポルギ神父は、「10週間に渡る封鎖措置が解除され、人々は教会に戻ってきました。彼らは慰めを、そしてイタリアの回復を願い祈りました。もちろん、皆、必要とされる対策を守っています。手袋を装着した状態で神に祈りを捧げることは奇妙な感覚でしたが、教会に足を運べることが重要なのです」と述べた。

ロンバルディア州は同国で最も豊かな地域、芸術文化の最先端を走っていたが、パンデミックにより様相は一変した。同州だけで15,000人以上が亡くなり、街の発展を支えてきた人々は悲しみに打ちひしがれている。

スペインの緩和措置

スペイン国内では、一部地域に限りロックダウンを段階的に緩和した。

同国はロックダウンの完全解除を目指し、4段階の緩和プランを策定。各地域ごとに感染状況を分析し、問題ないと判断されればプランを実行できるため、感染を抑えたエリアから経済活動が再開されることになる。

先週、同国のほとんどの地域がフェーズ1に移行した。これにより、マスクおよび社会的距離を遵守しての小規模集会(最大10人まで)が開催可能になった。また、バー、レストラン、映画館、美術館、劇場なども座席数を減らし営業を再開した。

コロナウイルスの影響を受けている一部の離島は、18日にフェーズ2へ移行、大型ショッピングモールなどが営業を再開した。

バルセロナ、マドリードおよび北西部の一部地域ではロックダウンが継続されている。ただし、感染者数および死者数は確実に減少しているため、一部の小店舗は18日から営業を再開している。

スペイン緊急医療センターの責任者を務めるフェルナンド・サイモン氏はBBCの取材に対し、「スペインはコロナウイルスを制御しつつあり、感染は終息に向かっている。しかし、第二波のリスクを忘れてはいけない」と述べた。

アフィリエイト広告
スポンサーリンク