6月3日から地域間の移動、旅行が解禁される予定

イタリア政府はロックダウンの段階的な緩和に伴い、地域間の移動制限および旅行を6月3日付で解除する法令に署名した。

同国は2月に北部ロンバルディア地方で大規模なパンデミックが発生して以降、地域間の移動を厳格に制限したが、感染者数と死者数は増加を続け、これまでに31,600人以上が死亡した。

4月中旬から感染率は徐々に低下し、5月に入ると感染者数も目に見えて減少した。厳しいロックダウンを2か月以上継続した成果が徐々に出始め、政府は5月4日に公園などへの外出、一部の企業活動を段階的に許可した。

ジュゼッペ・コンテ首相は、6月3日付で発令される地域間の移動許可に署名したことを公表した。なお、一部の地域では迅速なロックダウン解除を求める意見も出たが、首相は第二波の発生を避けるために、段階的な緩和を継続すると発表した。

第二弾の緩和措置は5月18日から適用される。これによりレストランやカフェ、サロンなどが営業を再開する予定である。また、教会でのミサ(集会)も許可されるが、社会的距離の確保、マスク着用(違反すれば罰金)などのルールを遵守しなければならない。

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第二波に備える

6月3日付で地域間の移動制限は解除されるものの、「あくまで段階的/部分的である」と政府は強調した。

政府の言う通り、あくまで”段階的な解除”であることを忘れてはならない。これで全てが元通りに戻る、これまでのようにワインやパスタを楽しめると思わない方が良いだろう。6月3日以降も、社会的距離の確保および、公共交通機関や人の集まるエリアでのマスク着用義務は継続される。一気に気を緩めれば、パンデミックの再発につながりかねない。

政府およびコンテ首相は、これらの措置が第二波を防ぐための”要石”であると述べ、「感染のリスクは目の前にある」こと想定したうえで、身を守る行動を心掛けてほしいと呼びかけている。

コロナウイルスの猛攻を受けたイタリアは、2カ月以上に渡る長い戦いを継続。結果、感染者の大幅な減少につながった。しかし、1日当たりの死者数はまだまだ高いレベルにあり、15日には262人が亡くなっている。1日1,000人弱が死亡していた3月末頃に比べると、事態は確実に良い方向へ向かっているが、予断を許さない状況はもうしばらく続きそうだ。

今週初め、イタリア政府は企業と国民を対象にした550億ユーロ(約6兆3000億円)規模の経済支援策を承認した。

【世界の動向】
●欧州各国、死者数の減少に伴い、ロックダウンの緩和を開始。ポルトガル、スペイン、ギリシャもイタリアと同じく、段階的な緩和を実行中。ただし、いずれの国も、再度パンデミックの兆候が見られれば、ロックダウンを再開すると明言している。

●ドイツ、第一四半期の経済成長率は-2.2%。順調に推移してきた経済活動も、コロナウウイルスの影響で大きく減速した。

●ブラジル、保険大臣を務めていたネルソン・テイヒ氏が、ボルソナロ大統領との意見の違いを理由に辞任を表明。在任期間は2か月であった。

●トランプ大統領、年末までにコロナウイルスワクチンを完成させ、国民に提供すると発表。ただし、ワクチンの接種有無に関わらず、我々は経済活動を再開させるだろうと付け加えた。

●ジョンズ・ホプキンズ大学の調査によると、15日時点の世界感染者数は450万人を突破。30万人以上の死亡が確認された。

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