ブラジルの感染者数および死者数が激増中
ブラジル当局は、16日だけで新規感染者が14,919人増加したと発表した。同国の累計感染者巣は233,000人を超え、南米最大、世界でも4番目に多くの感染者を記録している。
同日の死者数は816人、これまでに15,633人の死亡が確認されている。同国の医療専門家は、PCR検査が圧倒的に不足しており、実際の感染者数ははるかに多くなると警告した。
17日、同国で最も深刻な被害を受けている首都サンパウロのブルーノ・コバス市長は、市の医療体制および保険システムが崩壊しかけていると警告した。また同氏は、公立病院の緊急用ベッドの稼働率が90%に達し、さらに増加していると述べた。
このままのペースで感染者が増加すると、2週間以内に病院のベッドおよび医療スペースは満床になる可能性が高いため、これまで以上に厳格なロックダウンを市全域に導入すべく、現在州知事と話し合いを行っている最中だという。
サンパウロ大学医学部のドミンゴ・アルベス氏はAFP通信の取材に対し、「サンパウロ市のPCR検査体制は他のエリアに比べると多少拡充されているが、それでも全く足りない。現在、感染経路調査は行われておらず、患者の移送や治療で手一杯の状態だ」と述べた。
さらに、「政府は病院に入院した人のみPCR検査を行っている。今の体制では、どの地域でコロナウイルスが蔓延しているのか、誰が感染しているのかを知ることなどできない。ウイルスの終息に向けできる限りのことをしたいと思っているが、現状打つ手なしの状態である」と付け加えた。
・コロナウイルス/増加し続けるブラジルの死者数
・ブラジル/コロナウイルスに蹂躙されるアマゾン州マナウス
ボルソナロ大統領の罪
極右派のジャイール・ボルソナロ大統領は、全国に拡大したコロナウイルス危機への対応をめぐり、国内外から強く非難されている。なお、大統領はこれまで通りロックダウンに反対しており、ウイルスを「インフルエンザと同じようなもの。もう少し我慢すれば全て元通りに戻るだろう。感染は避けられない」と述べた。
4月、ボルソナロ大統領は、ロックダウンの解除を求めるデモ参加者の列に加わり、州政府および関係者たちを痛烈に批判、「地方自治体の独断で封鎖を強行すれば、国の経済に甚大な損害を与え、失業と飢餓をもたらすだろう。独断行動を改めなければ、制裁を課されるだろう」と怒りを爆発させた。
先週、同国の保険大臣を務めるネルソン・テイヒ氏は、ジムと美容院の再開を許可したボルソナロ大統領の命令を公の場で批判、就任わずか1カ月足らずで辞任することになった。
BBCアメリカ編集部のキャンディ・スピエット氏によると、コロナウイルスが蔓延して以降も政府の支援や援助はほとんどないという。結果、同国の経済を支える90%以上の一般層は、日々の食事や飲料水を得るために働き続けねばならず、感染に歯止めがかからないのだろうと述べた。
南米とカリブ海諸国では、これまでに50万人以上の感染者が確認されている。その中でもブラジルの数値は群を抜いており、一部の専門家によると、未確認の感染者は200万~300万にのぼると指摘している。
メキシコでも5月に入ってから感染者がジワジワと増加、エクアドルでは4月に医療システムが崩壊し、町に死体が溢れている。
AFP通信によると、世界の総人口の半数に当たる45億人が社会的距離を隔てた対策下で生活しているという。また、これらの規制は世界経済に深刻な影響を与えており、国際通貨基金(IMF)は1930年代の世界恐慌以来最悪の不況に直面していると警告した。
国連世界食糧計画(WFP)は、今回の世界的なパンデミックにより、急性飢餓に苦しむ人の数が倍増すると指摘。また、南米での深刻な感染拡大を受けWHOは、アメリカ大陸がパンデミックの中心市になったと述べた。
Brazil overtakes Spain, Italy as virus cases grow https://t.co/n8hsQAOpYd
— Stay Up TO DAYte (@stayupTODAYte) May 17, 2020