政敵とルカシェンコ
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、刑務所に収監中の政敵と予期せぬ会合を開催した。
国営メディアによると、投獄された反対派と憲法改正について話し合うために会議を招集したという。
ルカシェンコ大統領は8月の不正選挙で6期目の独裁当選を果たし、10万人規模の大規模な抗議活動とEUの制裁に直面している。
・EUがルカシェンコ政権への制裁に合意
抗議活動はベラルーシKGB特殊部隊に厳しく取り締まられ、これまでに数千人が拘留、刑務所で拷問を受け、世界の怒りを買った。なお、アメリカとEUはルカシェンコ大統領の6期目就任を認めていない。
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政敵と話し合う理由は?
大統領の報道機関によると、参加者は4時間半の会談内容を「秘密」にすることに合意したという。
報道機関が提供した写真には、ルカシェンコ大統領と11人の男女がひとつのテーブルに座り、話す様子が映っている。
その中には、8月の大統領選挙で最強のライバルと見なされていたヴィクタル・ババリコ氏も映っている。なお、同氏は7月に出馬を禁じられ、その後投獄された。
また、野党の調整評議会メンバー、リリヤ・ヴラソワ氏、米民主党のバーニー・サンダース上院議員の大統領選挙運動に関わったベラルーシ系アメリカ人の戦略家、ヴィタリ・シュタリアロフ氏の姿も確認できた。
大統領の報道機関が共有した映像には、ルカシェンコ大統領の挨拶が収録されている。
アレクサンドル・ルカシェンコ大統領:
「私はあなたたちの支持者だけでなく、社会全体がより良くなることを考え、彼ら(抗議者たち)を納得させようとしている」
「路上で憲法を書き直すことはできない」
映像終盤、笑っている政敵の姿も確認できるが、ミュートで録画されているため、何を話しているかは不明である。
野党党首スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏はソーシャルメディアに、「ルカシェンコは犯罪者と呼んでいた政治家たちに助けを求めた。しかし、彼らは独房に入れられた状態でまともに議論するつもりはない」と投稿した。
大統領選挙以降、ルカシェンコ大統領および政権への抗議活動は全国の都市で発生。首都ミンスクには毎週末、10万人単位の抗議者が集まっている。
しかし、平和的な抗議活動であるにも関わず、野党関係者や抗議者たちは治安維持部隊に激しく殴打され、数千人が逮捕された。
抗議者たちは投獄された政治家や関係者の釈放と、自由で公正な再選挙を求めている。
ツィハノウスカヤ氏の支持者や同盟者の多くは、国の安全を脅かした罪などで拘留、もしくは国外への脱出を余儀なくされた。
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一方、リトアニアとポーランドを含むEU加盟国の一部とイギリスは、ベラルーシの駐在大使を自国に呼び戻した。
これに対しベラルーシ政府は次のように述べている。
ベラルーシ政府:
「リトアニアとポーランドはツィハノウスカヤ氏や他の反政府勢力を受け入れている」
「選挙結果の受け入れ拒否は立派な内政干渉であり、容認できない」
10月2日、ベラルーシはリトアニアとポーランドの駐在大使を呼び戻し、首都ミンスクの大使館スタッフを減らすよう両国に求めた。
ベラルーシの抗議活動/治安維持部隊の放水砲