◎組織委員会の橋本 聖子会長は22日、開会式の演出を務める小林氏を解任したと述べ、謝罪した。
東京オリンピック開会式のキーディレクターを務める小林 賢太郎氏(東京2020五輪組織委員会/AP通信)

7月22日、東京2020五輪の組織委員会は声明で、開会式のキーディレクターを務める小林 賢太郎氏を解任したと発表した。

小林氏は1998年のコントの中でユダヤ人大領虐殺(ホロコースト)のジョークを言う動画がSNSで拡散し、非難に直面していた。

組織委員会の橋本 聖子会長は22日、開会式の演出を務める小林氏を解任したと述べ、謝罪した。組織委員会は19日に過去のいじめ問題で非難された大会関係者の小山田 圭吾氏を解任したばかりだった。

一方、米カリフォルニア州に本拠を置く非政府組織のサイモン・ウィーゼンタール・センターは、小林氏の過去のコントを「ナチスの犠牲者をあざける反ユダヤ主義の発言」と厳しく非難する声明を発表した。

サイモン・ウィーゼンタール・センターはオーストリア=ハンガリー帝国出身のユダヤ人で、戦後、ナチス党員の追及に尽力したサイモン・ウィーゼンタール氏の名を冠する人権団体であり、反ユダヤ主義の監視などを行っている。所長はイスラエル人のエフライム・ズロフ氏。

団体のエイブラハム・クーパー副所長は声明で、「ホロコーストの犠牲者をあざける権利は誰にもありません」と述べた。

反ユダヤ主義者を厳しく非難し、ホロコーストに関与した者を追及し続けるユダヤ人は1967年、第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領した。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、今もみじめな生活を送っている。

イスラエルのユダヤ人は今年4月、イスラム教の聖なる月の最初の夜に東エルサレムのアル=アクサー・モスクで祈りを捧げようとしたパレスチナ人を厳しく取り締まり、一部の治安部隊は暴力でこれを排除した。

その後、一部の保守的なユダヤ人は「アラブ人に死を」と叫びながらダマスカス門に向けて行進を行い、イスラエル軍とイスラムジハード組織ハマスとの紛争が発生した。

ユダヤ人の空爆を受けたガザ地区の死亡者は250人以上と伝えられている。サイモン・ウィーゼンタール・センターは5月の声明でイスラエルの空爆を擁護し、ユダヤ人は自国の領土と国民を守るためにあらゆることをしなければならないと述べた。

過去に類を見ない歴史的な東京2020五輪は7月23日に堂々開幕する。

2021年5月11日/パレスチナ、ガザ地区、施設に身を寄せるパレスチナ人たち(AP通信/Hatem Moussa)

イスラエル・ガザ紛争のタイムライン

・4月13日:イスラエル警察とパレスチナ人が東エルサレムで衝突。パレスチナ人はイスラム教の聖なる月の最初の夜に東エルサレムのアル=アクサー・モスクで祈りを捧げる予定だった。

・4月15日:ハマスがイスラエルに向けてロケットを発射。

・4月19日:イスラエルの港湾都市ヤッファでアラブ人とユダヤ人が衝突。

・4月20日:ユダヤ人のギャングが、TikTokで共有された正統派ユダヤ人に対する偏見に腹を立て、アラブ人への攻撃を呼びかける。その後、ギャングとアラブ人は小競り合いを演じた。

・4月23日:保守的な数百人のユダヤ人が「アラブ人に死を」と叫びながらダマスカス門に向けて行進を行う。アラブ人は激しく反発し、衝突に発展した。

・4月24日:ガザ地区からロケットが発射される。イスラエル軍は空爆で応戦した。

・5月2日:ハマスがアラブ人に「人間の盾」を形成するよう呼びかける。

・5月4日:ガザ地区のイスラム過激派組織がイスラエルで焼夷弾攻撃を決行。各地で火災が発生した。

・5月7日:ヨルダン川西岸でイスラエル警察とパレスチナ人が衝突。パレスチナ人2人が射殺され、1人が負傷した。

・5月8日:東エルサレム周辺でイスラエル警察とアラブ人が衝突。

・5月10日:アラブ人がイスラエル警察に対する投石攻撃を本格化させる。この日の衝突でアラブ人300人以上が負傷した。

・5月10日:ハマスがイスラエル南部へのロケット攻撃を開始。ネタニヤフ首相は声明で、「敵はレッドラインを越えた」と述べ、空爆開始を宣言した。

・5月21日:停戦協定発効。

2021年5月15日/パレスチナ、ガザ地区、空爆で死亡した女性2人と子供8人の合同葬儀(AP通信/Khalil Hamra)
2021年5月16日/パレスチナ、ガザ地区、空爆で死亡したパレスチナ人17人の合同葬儀(AP通信/Sanad Latifa)
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