目次
歴史
・1700年代
・1800年代
・1900年~第一次世界大戦
・第一次世界大戦~第二次世界大戦
・終戦から現在
・リビア内戦
基本情報(目次に戻る
国名:リビア国(Libya)
首都:トリポリ(Tripoli)
人口:6,754,507人(2020年推定)
面積:1,759,540㎢(日本の4.7倍)
気候:砂漠気候
・サハラ砂漠が国土の90%を占める。
・深刻な干ばつに悩まされている。
・地中海沿岸地域の夏場の平均気温は20~30℃。
・サハラ砂漠地帯の夏場の平均平均は30~40℃。
・サハラ砂漠地帯は極めて暑い。ただし、夜は氷点下まで下がることも珍しくない。
・沿岸地域の年間降雨量は100~200mm。
・サハラ砂漠の年間降雨量は25mm以下。(世界で最も乾燥した地域)
経済:
・開発途上国
・超インフォーマル経済。
・GDPは約398億ドル(2019年推定)
・石油の輸出に強く依存している。(GDPの60%、輸出収入の95%)
・1人あたりのGDPはアフリカ大陸で最も高い。ただし、市民の約3分の1は貧困ライン以下の生活を送っている。
・戦後の経済成長率はアフリカ大陸トップクラス。
・2011年にカダフィ政権が崩壊し、市民の生活は破綻した。
・原油価格の暴落がGDPをさらに押し下げた。
・アメリカの「イランおよびリビア制裁法(ILSA)」の影響で石油セクターに対する外国投資が制限され、経済に深刻な影響を与えた。
・食糧危機に悩まされている。
・失業率は不明。内戦開始以来、極めて深刻な状況にあると伝えられている。
人種(民族):
・アラブ人 78%(1936年国勢調査)
・ベルベル人 9.3%
・トルコ人 4.7%
・黒人 4%
・白人 0.4%
・その他 4%
言語:
・アラビア語(公用語)
・ベルベル語
・テダ語
・その他の言語
宗教:
・イスラム教スンニ派 91%
・イスラム教イバード派 6%
・イスラム教その他 1%
・キリスト教 1%
・不明 1%
リビア国
政治(目次に戻る
<統一政府>
大統領:ファイズ・サラージ(Fayez al-Sarraj)
首相:ファイズ・サラージ(Fayez al-Sarraj)
<トブルク政府>
大統領:アグイラ・サーレハ・イッサ(Aguila Saleh Issa)
首相:アブドラ・アル・タニ(Abdullah al-Thani)
政治体制:民主制
・2015年12月に暫定政府が発足した。しかし、トブルク政府と反政府ジハード勢力はこれを認めていない。
・2つの政府とジハード勢力が国家を運営している。
・一院制。
・国家の最高権力機関は国民議会。ただし、トブルク政府とジハード勢力はこれを認めていない。
・カダフィ大佐の社会主義体制を打破し、イスラム民主主義国家になると宣言したが、トブルク政府とジハード勢力はこれを認めていない。
・暫定政府は国連の支援を受けながら国家を運営しているが、反対勢力との戦闘が終息する見通しは立っていない。
法律:リビアの憲法
・2017年、憲法起草議会は提出された暫定政府の憲法草案を却下した。
・憲法起草議会は1951年リビア王国憲法の改正案を提出するよう暫定政府に求めた。
・ジハード勢力は独自の憲法に基づき行動する。
・その他の反政府勢力も独自の憲法に基づき行動する。
・イスラム国などのテロリストグループは憲法に興味を示さない。
・裁判所は機能していない。
・治安維持活動は各民族グループが独自に行っている。
・私刑が横行している。
渡航情報(目次に戻る
渡航情報:
・外務省ホームページ
・退避勧告発令中(2021年1月時点)
・コロナウイルス注意情報発令中(2021年1月時点)
治安:極めて危険
・世界で最も危険な地域のひとつ。
・カダフィ政権崩壊以来、内戦が続いている。
・政府が2つ存在する。
・イスラム国(IS)の残党が潜伏している。
・民兵組織が独自に規範に基づく治安維持活動を行っている。
・イスラム過激派組織やテロリストの活動拠点が複数確認されている。
マスメディア(目次に戻る
・新聞社は複数あると伝えられている。
・国営テレビ局は1局。ただし、内戦開始以来、機能を停止している。
・民間テレビ局は複数あると伝えられている。
・ラジオ局は複数あると伝えられている。
・検閲を行っている。ただし、インターネットを利用できる地域は少ない。
・報道と言論の自由を一切保障していない。
・ジャーナリスト、活動家、ブロガーは拷問を受け処刑される。
・政府に否定的なメディアは機銃掃射を受け、焼き尽くされた。
【国営メディア/設立年】
・リビアジャマヒリヤ放送 1960年頃
【民間メディア】
・Allibya TV
・リビアTV
・リビアアルフーラTV
・リビアAl-WataniyaTV
軍隊(目次に戻る
2020年軍事力ランキング:80位
・軍人数:30,000人(推定)
即戦力 30,000人
予備兵 0人
・陸海空軍を保有
・国防予算:3億ドル
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1700年代
・1700年代、現在のリビアおよび周辺地域はオスマン帝国の支配下に置かれていた。
・オスマンリビア(オスマントリポリ)および周辺地域のアフリカ人(黒人)は奴隷として世界各地に移送された。
・欧州の商人も奴隷貿易に加わり、多くのアフリカ人をヨーロッパに商品として送りこんだ。
・オスマン帝国はオスマンリビアおよび周辺地域に自治政府を設置しなかったため、奴隷化に反対するアフリカ人のクーデターが各地で相次ぎ、無秩序状態に陥った。
・オスマンリビアを統治者たちは、海賊行為で体制を強化したと伝えられている。
1800年代
・1801年5月、第一次バーバリ戦争勃発。(アメリカvsオスマンリビア沿岸地域のオスマン軍)
・1805年6月、第一次バーバリ戦争終結、平和条約締結。
・1815年6月17日、第二次バーバリ戦争勃発。(アメリカvsオスマンリビア沿岸地域のオスマン軍)
・1815年6月19日、第二次バーバリ戦争終結、アメリカ軍の勝利。
・バーバリ戦争後、オスマンリビアおよび周辺地域の海賊行為は激減し、統治者たちの支配体制と地域経済は大打撃を受けた。
・1853年、オスマン帝国は欧州との取り決めに応じ、オスマンリビアおよび周辺地域の奴隷貿易を廃止した。
・オスマン帝国は王位継承に関連する内戦やクーデターの影響で弱体化し、オスマンリビアおよび周辺地域の治安も急激に悪化した。
1900年~第一次世界大戦
・1900年代初頭、リビアを含む周辺国の国境が確定した。(欧州によるアフリカ分割)
・1911年9月、伊土戦争勃発。(イタリアvsオスマンリビア沿岸地域のオスマン軍)
・1912年12月、伊土戦争終結、イタリアの勝利。この戦争でイタリアはアフリカ北部地域を支配下に置いた。一方、オスマン帝国はローザンヌ条約で領土の支配権を放棄した。
<伊土戦争>
参加者:20万~25万人(推定)
負傷者:数万人(推定)
死亡者:20,000~25,000人(推定)
・イタリア政府はアフリカ北部は2つの地域に分け、運営した。(イタリア領リビア誕生)
・スンニ派イスラム教の民族グループはイタリア人の入植に反対し、各地で暴動を展開した。これに対しイタリア軍は、重火器や化学兵器で暴動を制圧し数万人を殺害もしくは処刑したと伝えられている。
・イタリア領リビアは第一次世界大戦に関わっていない。
第一次世界大戦~第二次世界大戦
・1934年、イタリア政府が植民地の正式名称を決定。「イタリア領リビア政府」が発足した。
・1934~1940年、イタリア人知事はリビアのインフラを改修し、新たな鉄道と道路網を建設した。
・1939年9月、第二次世界大戦勃発。
・1940年6月、連合軍がアフリカ北部地域に侵攻。(連合軍vsイタリア)
・連合軍の侵攻に伴う一連の戦いで、リビアの市民数万人が死亡した。
・1943年2月、リビアはイギリスの管理下に置かれた。
・1945年9月、第二次世界大戦集結。
終戦~現在
・1947年2月、イタリアはリビアに対する主権をすべて放棄した。(平和条約締結)
・1949年11月21日、国連総会がリビアの独立に向けた決議を可決。
・1951年12月24日、「リビア連合王国」が独立を宣言。統治者はイドリス王。
・1951年12月24日、リビア憲法制定。
・1969年9月1日、ムアンマル・カダフィ大佐率いる反乱軍がクーデターを決行。イドリス王は国外に逃亡した。(リビア革命)
・1969年9月1日、カダフィ大佐が「リビアアラブ共和国」の設立を宣言。
・1970年10月、カダフィ政権はイタリア政府の所有する資産をすべて没収し、国内のイタリア人約12,000人を国外に追放した。この日は「復讐の日」と呼ばれ、リビアの祝日になった。
・1970年、男女の平等および賃金の平等を保障する法律を導入。
・1971年、女性の権利を監視する女性連盟創設。
・1972年、16歳未満の女性の結婚を禁止する法律を導入。カダフィ政権は、女性に「結婚相手を選ぶ権利」を保障した。
・1973年、憲法改正。カダフィ大佐は政権に対する意義申し立てを禁じた。
・1975年10月25日、士官約20人がクーデターを起こすも失敗。容疑者はひとり残らず処刑された。
・1977年3月2日、カダフィ大佐が「偉大な社会主義リビアアラブジャマーヒリーヤ(共和国)」の設立を宣言。カダフィは全国人民委員会に権力を移行した。
・1977年7月21日、リビア・エジプト戦争勃発。(社会主義リビアvsエジプト)
・1977年7月24日、リビア・エジプト戦争終結。双方は停戦協定に合意した。
・1970年代後半、社会主義リビアの1人あたりGDPは大きく上昇し、人間開発指数は石油大国サウジアラビアを上回った。
・カダフィ政権は石油がもたらす巨大な利益をインフラ、武器購入、税の免除などにあてた。
・カダフィ大佐は世界で活動するテロリストグループに資金を提供し、社会主義をアフリカ全土に拡大しようとした。
・1980~1990年代、カダフィ大佐は東側およびキューバのフィデル・カストロと協力して、アフリカ民族会議、パレスチナ解放戦線、暫定アイルランド共和国軍、ポリサリオ戦線(西サハラ)などの反政府勢力を公然と支援した。
・1986年4月15日、アメリカ空軍および海軍がカダフィ大佐暗殺作戦を決行。リビアを爆撃したが、暗殺は失敗に終わった。(エルドラド・キャニオン作戦)
・1986年9月5日、バンナム航空73便ハイジャック事件発生。カダフィ大佐はテロリストグループを支援したと伝えられている。(死者50人以上)
・1988年12月21日、バンナム航空103便ハイジャック事件発生。テロリストはスコットランド上空で機体を爆破し、乗客乗員および地上にいたスコットランド人、計270人が死亡した。カダフィ大佐は事件への関与を否定したが、西側はリビアの支援を受けたテロリストの攻撃と断定した。
・1992年、国連安全保障理事会がリビアに対する制裁を可決。
・国連制裁により、リビアの外国資産は全て凍結され、軍事機器や石油の輸出なども一切禁じられた。
・1994年、窃盗の容疑者に対する手足の切断、むち打ちを禁止する「浄化法」を施行。
・2003年12月、カダフィ政権は大量破壊兵器の開発およびテロ活動を放棄するプログラムの実行に合意した。カダフィ大佐は西側との関係改善に向け、アメリカやEUで提起された裁判に対応した。
リビア内戦
<2011年>
・1月、野党を支持する平和的な抗議活動が各地で始まる。(アラブの春の始まり)
・2月、国民評議会(NTC)設立。統治方法の変更に向けた取り組みが本格化する。これにより、カダフィ大佐は東部の都市の支配権を失った。
・3月、カダフィ軍がNTCから東部の支配権を奪取する。
・3月中旬、カダフィ軍の戦車部隊が野党勢力の支配地に侵攻。国連安全保障理事会はこれを阻止するためにフランス空軍の攻撃を許可した。その後、安保理は北大西洋条約機構(NATO)にカダフィ軍への攻撃を許可した。(ユニファイドプロテクター作戦)
・6月27日、国際刑事裁判所がカダフィ大佐の逮捕状を発行。
・8月、野党勢力が首都トリポリを占領。
・10月20日、野党勢力がカダフィ大佐を捕縛、殺害した。
・10月23日、NTCは「リビアの解放」を宣言した。
・10月31日、NATOが軍事作戦終了を宣言。
・11月22日、NTCが暫定政府の設立を宣言。
<2012年>
・1月1日、NTCは新憲法と選挙に関する新たな規制を発表した。
・1月28日、NTCは選挙法案の改訂版を可決した。
・4月26日、NTCがアブドゥラヒム・エル・ケイブ首相の不信任決議を可決。
・7月7日、議会選挙。100を超える政党が選挙に参加した。
・7月17日、国民勢力連合(NFA)が投票の約48%を獲得。
・8月8日、NTCは権力をすべて国民議会(GNC)に移行した。
・9月11日、イスラム過激派組織がアメリカ領事館を襲撃。米国大使他計3人を殺害した。
<2013年以降:第二次リビア内戦>
・2013年12月23日、GNCは暫定憲法を無視して、権力を引き続き維持すると宣言。
・2014年2月7日、GNCに対する暴力的な抗議活動が各地で発生する。
・2014年2月14日、ハリファ・ハフタル将軍がGNCの解散と暫定政府委員会の設立を一方的に宣言。GNCはこれに強く反発した。
・2014年5月16日、ハフタル軍がGNCに対する攻撃開始を宣言。(第二次リビア内戦)
・2014年6月、GNCが議会選挙を実施。しかし、イスラム過激派組織の暴力の影響で投票率は低迷した。
・2014年8月23日、リビア中央シールド軍(反政府勢力)がトリポリ国際空港を奪取。
・2015年1月、GNCは他の野党勢力、反政府勢力、ジハード勢力との平和的な内戦終結に向けた会議を開催。
・第二次リビア内戦開始以来、リビア市民70万人以上がイタリアに避難した。
・2018年5月、リビアの野党勢力が議会選挙と大統領選挙の実施に合意。
・2019年4月、ハフタル将軍が西部の領土を奪取する「尊厳の洪水作戦」の開始を宣言。
・2019年6月、ハフタル軍は西部の戦略的に重要な町、ガリヤンを占拠した。
・2020年3月、統一政府のファイズ・サラージ大統領兼首相が「ピースストーム作戦」の開始を宣言。ハフタル軍に対する攻撃を開始した。
・内戦は現在も続いている。
文化(目次に戻る
・イスラム文化。
・イタリアの植民地時代に欧州の文化を取り込んだ。
・リビアの料理はアラビア、地中海、イタリア料理の影響を受けている。
・豚肉を提供する地域は限られている。
・お茶とコーヒーが大好き。食後のティータイムを大切にしている。
スポーツ(目次に戻る
・一番人気はサッカー。市民はサッカーに情熱を注いでいる。
・市民はリビアプレミアリーグに情熱を注いでいる。
・サッカーの試合が民族間の紛争につながったこともある。
・オリンピックでメダルを獲得したことはない。
その他(目次に戻る
・リビア内戦終息の見通しは立っていない。
・世界で最も危険な地域のひとつ。