2020年10月31日 ロイター通信/モデルナのロゴと「COVID-19/コロナウイルスワクチン/注射のみ」と書かれた容器

16日、米バイオテクノロジー企業のモデルナ社がコロナウイルスワクチンの臨床試験(フェーズ3)初期データを公開した。

初期分析結果によると、モデルナのワクチンは「94.5%の確率で接種患者を保護する可能性」があるという。

モデルナ社はプレスリリースの中で、コロナウイルスに感染した95人の参加者を含むデータの初期分析で94.5%の有効性を確認したと述べた。

ただし、ワクチンの専門家は、発表された数値が確定していないことに注意すべきと警告している。

データはあくまで初期段階のものであり、今後変化する可能性もある。

モデルナ社のスティーブン・ホーグ社長はABCニュースのインタビューの中で、「コロナウイルスを予防するワクチンを提供できる」と語った。

試験内容と効果

モデルナ社の臨床試験はアメリカで行われており、30,000人が参加している。なお、参加者の半分は患者、残りは健康な男女。参加者は4週間間隔で2回ワクチンを接種したという。

今回のデータは、ワクチンを投与した患者、95人の初期の分析結果を示している。

95人のうち5人は症状の出ている患者で、残りは無症状者だった。同社によるとワクチンは患者の94.5%を保護しているという。

副作用

重大な安全上の懸念は報告されていない。

ただし、一部の参加者に倦怠感、頭痛、痛みが報告されている。

モデルナ社/ワクチン開発試験の様子

ファイザー社のワクチンとの比較

ファイザーのワクチンは患者の90%以上に有効、問題点も

どちらのワクチンも、免疫反応を誘発するためにウイルスの遺伝暗号の一部を注入する、というアプローチを使用している。

先週ファイザー社/バイオエヌテックが発表したワクチンの保護率は約90%、モデルナは94.5%だった。

ファイザーのワクチンはマイナス75℃前後の超低温で保存しなければならず、保存期間は5日。

一方、モデルナはマイナス20℃で最大6カ月安定しており、標準の”冷蔵庫”でも最大1カ月保存できるという。

なお、ロシアのワクチン、スプートニクVも初期の臨床試験データを公開し、保護率は92%であることを示唆した。

モデルナファイザー
保護率94.5%90%
試験数95人43,538人
保存ー20℃ー75℃
保存期間6カ月5日

わからないこと

・ワクチンはウイルスの拡散を防止する?

・単に発症を抑えるだけ?

免疫を保持できる期間は?

最も重要な免疫の保持期間はまだわかっていない。

また、リスクの高い高齢者にも保護を提供すると示唆しているが、完全なデータはない。

今後

モデルナ社はまず、食品医療品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を要求しなければならない。これは暫定ワクチンに対する限定的なゴーサインである。

同社は、「今後週数間以内にEUAを申請する予定」と語った。なお、企業は少なくとも2か月分の分析データを提供し、有効性を示さなければならない。認可までの期間は2~4週間。

モデルナ社のスティーブン・ホーグ社長はABCニュースのインタビューの中で、「私たちのワクチンとファイザー社の大きな違いは・・・世界中に流通している一般的な冷蔵庫で保存できる点だ」と述べている。

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