◎エクアドルの刑務所は汚職や国家統制の弱さによって、メキシコやコロンビアの麻薬カルテルとつながりの組織の暴力を許してきた。
南米エクアドル・グアヤキルのリトラル刑務所で起きた抗争について、警察当局は13日、17人の受刑者が死亡し、15人が手当てを受けていると明らかにした。
警察は刑務所内の派閥抗争が原因と説明しているが、それ以上の詳細は明らかにしていない。
抗争は12日に発生。警察の特殊部隊が対応に当たったとみられる。
大統領府の報道官はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「刑務所内で何かしらの抗争が発生し、17人が死亡、15人が手当てを受けていると警察庁から報告を受けた」と書き込んだ。
内務省は事件を受け、リトラル刑務所の面会を一時的に停止すると発表した。
エクアドルの刑務所ではカルテル間抗争が後を絶たず、リトラル刑務所で2021年に発生した抗争では119人が死亡している。
グアヤキルでは今年1月、世界最大の麻薬組織「シナロアカルテル(Sinaloa Cartel)」と同盟関係にある麻薬ギャング「ロス・チョネロス」のリーダー「マシアス(Adolfo Macías)受刑者」が刑務所から脱獄した。
ノボア(Daniel Noboa)大統領は国家非常事態を宣言し、陸軍と警察にマシアスを確保するよう命じたが、逮捕には至っていない。
麻薬カルテルやギャングとつながりのある受刑者は銃器、手りゅう弾、ナイフなどで武装し、時には看守にも攻撃を仕掛ける。
地元メディアによると、リトラル刑務所には10月末時点で定員の2倍にあたる約1万人の受刑者が収容されている。
エクアドルの刑務所は汚職や国家統制の弱さによって、メキシコやコロンビアの麻薬カルテルとつながりの組織の暴力を許してきた。その一部は刑務所内から外部の仲間に犯罪を指示し、利益を上げているという。
エクアドルでは2021年以降、少なくとも12回刑務所で暴動が発生し、400人以上が死亡。今年1月には複数の刑務所で組織的な暴動が発生し、刑務官約150人が人質に取られた。