◎欧米の選挙オブザーバーは当局の運営方法や投票日に全国の携帯電話サービスが停止したことなどを批判している。
150発以上の核兵器を保有する強力なパキスタン陸軍の総司令官が8日の総選挙で勝利を主張する2人の元首相、その支持者、そして全国民に自制と団結を呼びかけた。
選挙管理委員会によると、開票作業は南西部バルチスタン州を除いてほぼ終了し、獄中のカーン(Imran Khan)元首相率いる「パキスタン正義運動(PTI)」の無所属議員が国会で争われた266議席中、少なくとも100議席を獲得する見通し。
陸軍の後ろ盾があるシャリフ(Shehbaz Sharif)前首相の政党「パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派」は73議席を確保。他政党に連立を組むよう要請した。
欧米の選挙オブザーバーは当局の運営方法や投票日に全国の携帯電話サービスが停止したことなどを批判している。
陸軍の報道官は総司令官の声明を発表。国民に団結を呼びかけ、「政治の二極化は進歩的なこの国にふさわしくない」と指摘した。
また総司令官は「国民の支持を得た政党が憲法に基づいて国を率いることが重要だ」と述べた。
選管によると、バルチスタン州の14議席がまだ確定していない。
PTIはカーン氏の生成AIで勝利を主張。シャリフ氏の主張を否定し、支持者に祝賀パーティーを開くよう呼びかけた。PTIは選挙への出馬を禁じられているため、公認政党ではなく、厳密にはシャリフ派が第1党となる。
地元メディアによると、当選した候補のうち約100人が無所属で、その大半がPTIの支援を受けている。
PTIの報道官は10日、連立交渉を開始し、11日までに選挙結果が確定しなかった場合は全国一斉抗議デモを開始すると宣言した。
シャリフ派は単独で政権を樹立できないと認めたうえで、他の政党に交渉に加わるよう促している。
2007年に暗殺されたブット(Benazir Bhutto)元首相の息子が率いる政党PPPは54議席を獲得。残りは小政党となっている。
シャリフ派は連立交渉を開始しているが、政権樹立にはかなりの時間がかかると予想されている。