◎有権者は軍政が起草した草案を受け入れるか否かを選択する。
マリ軍政は5日、新憲法の是非を問う国民投票を6月18日に行うと発表した。
これは来年予定されている大統領選を含む民政復帰に向けた取り組みのひとつとされる。
有権者は軍政が起草した草案を受け入れるか否かを選択する。投票は今年3月に予定されていたが、紆余曲折の末、延期された。
2020年8月のクーデターで政権を掌握したゴイタ(Assimi Goita)大佐は草案を「民政復帰の第一歩」と呼んでいるが、それは大統領の権限を劇的に強化するものであり、首相、閣僚、国会の機能を停止させることができるようになる。
国家の政策を決めるのは国会でも政府でもなく大統領となる。
マリ北部に拠点を置く武装勢力はこの草案に2015年の和平協定の条項が含まれていないと反発している。
ゴイタ氏は国会を解体し政権を掌握。ロシアの民間軍事事会社ワグネルと契約を結び、イスラム過激派の掃討を目指している。これにより、旧宗主国フランスとの関係は著しく悪化した。
仏軍は昨年、マリの駐留軍を完全撤退させ、その多くを隣国のニジェールに再配備した。ドイツも国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)から部隊を撤退させると決め、イギリスも時期は未定だが、MINUSMAから部隊を撤退させると発表している。
マリと隣国ブルキナを中心とするサヘル地域では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系の過激派が猛威を振るっている。
この10年にわたる紛争に巻き込まれ難民になった民間人は200~300万人、死者は数万人と推定されている。