◎野党はミツォタキス首相に辞任を求め、ある議員はこの事件を米国の「ウォーターゲート」事件をもじって「ミツォタキスゲート」と呼んでいる。
2022年8月26日/ギリシャ、首都アテネの議会議事堂、ミツォタキス首相(Getty Images/AFP通信)

ギリシャ政府は7日、政治家やビジネスマンを含む少なくとも30人が政府系情報機関に盗聴されているというスキャンダラスな報道を受け、スパイウェアの販売を禁じる法案を国会に提出すると発表した。

首相府の報道官は7日の記者会見で、「我が国を蝕む問題を放置することはできない」と述べ、まもなく国会に法案を提出する予定と説明した。

この騒動は左派系メディアがプレデターと呼ばれるマルウェアに感染したとされる人々のリストを公表したことに端を発する。

このメディアはミツォタキス政権に委任され監視業務に当たったとされる2人の告発をまとめている。このマルウェアに感染した個人のスマートフォンは情報機関の監視下に置かれていたとされる。

ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は7日、この記事を「信じられない嘘」と呼び、「証拠を見せなさい」と怒りを表明した。

政府報道官は記者会見で、「政府はスパイウェアを購入したことも使用したこともなく、関係機関にメディアの情報を精査するよう命じた」と述べた。

この告発はミツォタキス氏を悩ませている盗聴スキャンダルのひとつである。EUの執行機関である欧州委員会は現在、スパイウェアの使用と販売を厳しく取り締まる準備を進めている。ギリシャ検察は今年初めに盗聴スキャンダルの調査を開始した。

野党はミツォタキス氏に辞任を求め、ある議員はこの事件を米国の「ウォーターゲート」事件をもじって「ミツォタキスゲート」と呼んでいる。

野党「全ギリシャ社会主義運動(PASOK)」の党首であるアンドロウラキス(Nikos Androulakis)議員は昨年、PASOKの党首選に立候補した後、少なくとも3カ月間、情報機関に盗聴・監視されていた。同機関は今年8月、盗聴を認めた。

与党「新民主主義党(ND)」の元首相や現外相、財務相など、プレデターに感染したとされる政治家の大半がコメントを控えている。

ミツォタキス氏は記者会見で、「私が外相や財務相を監視していると報じるのは恥ずべきことであり、嫌悪感を抱かせる」と憤慨した。「これは極めて危険な問題であり、遺憾です!」

またミツォタキス氏は情報機関が野党党首を盗聴したことに言及し、「その機関を管理しているのは私ではなく、政府の諜報機関EYPでもない」と断言した。「私は関与していません!」

アンドロウラキスは7月、携帯が盗聴された問題について、最高裁に苦情を申し立てた。

ミツォタキス氏は問題が発覚した直後、スパイウェアによる監視は検察官の承認を受けており合法であると説明していた。

しかし、野党党首がその対象になった理由は明らかにされておらず、ミツォタキス氏は、「自分は全く知らなかったし、それを承認したこともない」と弁明した。

検察は少なくとも30人が情報機関の監視下に置かれたというメディアの報道も調査している。

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