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米国で「更年期」関連商品の市場急拡大、懸念も


米国ではほてりや寝汗、気分の変動、不眠といった更年期症状に悩む女性たちに向け、サプリメントや美容液、光治療マスク、冷却寝具など多様な商品が販売されている。
ホットフラッシュのイメージ(Getty Images)

更年期関連商品の市場が急拡大している。従来はタブー視されがちだった更年期やその前段階である周閉経期について、近年はオープンに語られる機会が増え、それに伴い企業による商品開発と広告展開が一気に加速したためだ。しかし医師らは、この「ブーム」に対して慎重な姿勢を崩しておらず、消費者に冷静な判断を求めている。

米国ではほてりや寝汗、気分の変動、不眠といった更年期症状に悩む女性たちに向け、サプリメントや美容液、光治療マスク、冷却寝具など多様な商品が販売されている。とりわけソーシャルメディアの普及により広告が急増し、症状改善や若返りをうたう製品が日常的に目に入る状況となっている。専門家はこうしたマーケティングの広がりを「非常に攻撃的で遍在的」と指摘する。

実際の診療現場でも変化が見られる。かつては医師が定期検診の際に更年期症状を尋ねる程度だったが、現在は患者自らが情報を得て受診し、すでに何らかの製品を試した経験を持つケースが増えている。だが、その多くは「効果がなかった」「副作用が出た」といった理由で医療機関を訪れるという。

医師らが問題視するのは、科学的根拠の乏しい商品が広く流通している点である。特にサプリメントについては、ほてりなどの症状改善に有効であると示す十分な研究が存在しない。それでも価格が比較的低く「害が少ない」とされる場合もあるが、自己判断で使用するのではなく、医師に相談することが重要だ。

皮膚の変化に対応するとされる美容製品についても、専門家は懐疑的である。更年期にはコラーゲンやヒアルロン酸の減少により皮膚が薄くなるが、高価な専用製品が従来のスキンケアより優れているという明確な証拠は乏しい。むしろ、レチノイドやセラミド配合保湿剤、日焼け止めといった基本的なケアが依然として有効とされる。

一方で、医学的に効果が確認されている治療法も存在する。医師の管理下で行うホルモン療法や非ホルモン薬は、症状の軽減に有効とされる。ただし、すべての女性に適しているわけではなく、既往歴などに応じた個別判断が必要となる。また、運動習慣の確立や食生活の改善、アルコール摂取の制限といった生活習慣の見直しも症状緩和に寄与する。

更年期症状は個人差が大きく、ほとんど影響を受けない人もいれば、生活に支障をきたすほど重い症状に悩む人もいる。そのため、画一的な「万能商品」は存在せず、過度な宣伝に依存することはリスクを伴う。医師らは情報が氾濫する時代だからこそ「懐疑的であること」が重要だと指摘する。

更年期をめぐる議論の活発化自体は、女性の健康課題が可視化されたという点で前向きな変化といえる。しかし、その関心の高まりに乗じた過剰な商業化も同時に進んでいる。専門家は信頼できる医療情報と適切な支援を基盤に、自身に合った対処法を選択することが不可欠だと訴えている。

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