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更年期のホルモン療法を受けられない、代替手段に注目集まる


更年期は卵巣機能の低下によりエストロゲンやプロゲステロンが急減することで起こり、ほてり(ホットフラッシュ)、寝汗、不眠、気分の変動、認知機能の低下などさまざまな症状を伴う。
ホットフラッシュのイメージ(Getty Images)

更年期に伴う症状の治療として広く用いられてきたホルモン療法に対し、利用できない女性や使用を望まない女性に向けた代替手段が注目されている。専門家は症状を我慢する必要はなく、多様な選択肢を組み合わせることで十分な改善が可能だと強調している。

更年期は卵巣機能の低下によりエストロゲンやプロゲステロンが急減することで起こり、ほてり(ホットフラッシュ)、寝汗、不眠、気分の変動、認知機能の低下などさまざまな症状を伴う。こうした症状に対し、ホルモン療法は最も効果的な治療法とされるが、乳がんや血栓症、心疾患の既往歴がある場合などには使用が推奨されないことがある。

こうした背景から、非ホルモン療法の重要性が高まっている。まず基本となるのが生活習慣の改善である。運動は直接的に症状を消すわけではないが、体重管理を通じてほてりや寝汗の軽減につながる可能性がある。医師はウォーキングやランニングといった有酸素運動に加え、筋力トレーニングを組み合わせることを推奨している。これは骨密度の低下を防ぐ効果も期待できるためである。

食生活の見直しも重要である。野菜や大豆を中心とした「プラントベース」の食事はホットフラッシュの軽減に寄与する可能性があるとされるほか、カフェインやアルコール摂取といった症状を悪化させる要因を避けることも推奨されている。さらに禁煙や十分な睡眠、ストレス管理といった基本的な健康習慣は心血管リスクの上昇を抑える観点からも重要である。

薬物療法の分野でも選択肢が広がっている。抗うつ薬の一部は気分の安定だけでなく、ホットフラッシュの軽減にも効果がある。また、過活動膀胱の治療薬であるオキシブチニンも、発汗やほてりの軽減に寄与する可能性が報告されている。さらに近年は、脳の体温調節中枢に作用する新しいタイプの非ホルモン薬が登場しており、フェゾリネタントなどは更年期症状の原因に直接働きかける薬として注目されている。

日常的に取り入れやすい対処法としては、市販の潤滑剤や保湿剤がある。膣の乾燥や性交時の不快感を軽減する効果があり、多くの女性にとって有用な手段となる。また、認知行動療法は思考や行動のパターンを見直すことで、ホットフラッシュや不安感への対処能力を高め、薬物療法と並行して用いられることもある。

一方で、サプリメントや代替医療には慎重な対応が求められている。市場には更年期向けと称する製品が数多く存在するが、科学的根拠が十分でないものも多い。医師は効果や安全性が確認されていない製品に安易に頼るのではなく、必ず医療専門家に相談するよう呼びかけている。

更年期症状の現れ方や重症度は個人差が大きく、単一の治療法ですべてを解決することは難しい。そのため、生活習慣の改善、非ホルモン薬、心理的支援などを組み合わせた「個別化医療」が重要だ。専門家は「必ず何らかの解決策がある」とし、患者が自身の状況に応じて最適な選択を行うことの重要性を強調している。

更年期医療は単なるホルモン補充にとどまらず、より幅広いアプローチへと進化している。女性が自らの体調や価値観に合わせて治療法を選択できる環境の整備が、今後の医療の大きな課題となる。

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