コラム:高市政権、早期解散に踏み切る?ハイリスク・ハイリターン
2026年1月時点における高市政権の早期衆議院解散は、政局・世論・党内戦略・市場期待の各要素が重なり合う中で、可能性が極めて高い状況にあると評価できる。
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現状(2026年1月時点)
2025年10月の自由民主党総裁選挙を経て、高市早苗氏が自民党総裁となり第104代内閣総理大臣に就任した。高市政権は自民党と日本維新の会が連携する自維(自民・維新)連立体制(閣外協力による与党関係)が成立しているが、議会内での安定多数を確保しているわけではなく、特に参議院では過半数を維持できていない状況である。衆議院では自民・維新の勢力が一定の勢力を保つものの、今後の政局運営の不確実性が高いことが指摘される。これに加えて、高市内閣は発足以来高い支持率を維持している(6~7割台)と複数の世論調査で示されており、政権基盤の強さが注目される。一方で、外交課題や予算編成など政権運営上の課題も多く、選挙戦略の判断が2026年最大の焦点であるとの見方が広がっている。
また、2026年1月10日現在、複数の主要メディアが通常国会の召集日(同月23日)を契機とした衆議院早期解散案が政権内で検討されていると報じている。冒頭解散となれば2026年2月8日投開票(1月27日公示)を含む超短期戦の可能性があるとされ、永田町・国政関係者の間でもその可能性が議論されている。
高市政権(自民・維新)が早期解散に向けた検討を本格化
2026年1月10日付の報道によると、高市首相が通常国会の召集日である1月23日に衆議院を解散する案を周辺に伝えているとされ、解散総選挙に向けた選挙準備加速の指示が党内で出されているとの情報がある。これは選挙管理委員会にも連絡が入るなど具体的な準備が進む兆候として捉えられている。
政権内の複数幹部筋は解散の可能性について「半々」との認識を示し、解散が実行に移されれば1月23日召集の通常国会冒頭での解散→1月27日公示→2月8日投開票が最速日程として想定されていると報じられている。
これには、現在の自維連立政権が衆参両院で安定的多数を有しているとは言い難く、国民に政権の信任を問い、議席を増やすことで連立基盤を強固にしたいとの思惑が背景にあるとされる。一方、首相自身は慎重な姿勢を保ち、最終判断は国会召集直前まで先送りする可能性も示唆されている。
早期解散の可能性:極めて高い
高市政権による早期衆議院解散の可能性は、2026年1月時点で「極めて高い」と評価できる。この評価は以下の複数の要因に基づく。
第一に、内閣支持率が歴代と比べても高水準にあることである。複数の国内世論調査は、高市内閣の支持率が6~7割の高水準で推移していることを示している。
第二に、政権内から早期解散を求める声が出ており、解散で議席を増やすことで議会運営の安定化や政権基盤強化を図りたいとの党内戦略が浮上していることだ。永田町の分析では、自維連立体制を維持しつつ、連携を深化させるためには議席増が必要との声もある。
第三に、早期解散は経済政策への支持や市場の反応にも一定の影響を与えており、株価や為替市場で「高市ラリー」が再開する可能性が投資家の間で意識されているとの分析もある。これは市場が政局を政策実行力強化のチャンスと捉えていることの表れだ。
これらの要素が重なっていることから、2026年1月時点で早期解散の可能性は高いと評価される。
2026年1月23日に召集される通常国会の冒頭で衆議院を解散する選択肢を周辺に伝える
主要メディアの報道によると、高市首相は1月23日召集の通常国会冒頭での衆議院解散を選択肢として周辺に伝えていると報じられ、これは単なる観測ではなく、政権内で具体的な検討が進んでいるとの政府関係者の証言がある。
冒頭解散の場合、首相の施政方針演説が見送られ、国会は即座に解散に向かうことになる。このような解散形態は戦後でも数回しかなく、極めて異例かつ政治日程を急ぐ形の解散となる。
想定される日程
民間の報道分析では、冒頭解散が実行された場合、以下のような日程が有力とされている。
1月23日 通常国会召集・衆議院解散
1月27日 衆議院選挙公示
2月8日 衆議院選挙投開票
この日程は議員・候補者の準備期間が極めて短い「超短期決戦」となる可能性を示している。
高市首相の姿勢
高市首相はこれまでの公の発言で、早期解散に慎重な姿勢を示してきた。
例えば、2025年11月には連休明けの記者会見で、「衆院解散を考えている暇はない」と物価高対策や経済政策の実行を最優先する考えを表明した。
しかし、2026年1月10日段階では、冒頭解散を「一つの選択肢」として認める発言も報じられており、慎重から現実的なオプションとしての受け止めに変化している可能性がある。これは政権戦略の柔軟性を示すものと解釈できる。
解散に踏み切る主な要因(検証)
以下では、早期解散を推進する主因について分析する。
高い内閣支持率の維持
高市政権は、発足以来複数の世論調査で内閣支持率を6~7割、場合によってはそれ以上の高水準で維持している。これは戦後の政権としても高い部類に入り、支持率を背景に解散するならば有利な戦略となる。
政局学の観点から、内閣支持率が高い時期に解散することは「ハネムーン期」に当たり、政権が最も有利な条件で国民の信任を問えるタイミングとされる。これは「政治的資本を最大化する」戦略として選挙学では一般的に認識されている。
維新との連立強化、議席増を通じてこの協力体制をさらに強固にする狙い
自民党単独では参議院で過半数を持たないため、日本維新の会との連携は政権運営にとって不可欠である。早期解散によって次の衆議院選挙で両党の議席を増やし、安定した与党体制を構築するという戦略的思惑がある。
永田町の分析では、党内に早期解散論と基盤固め論が共存しつつも、両党の連携強化が政治運営にとって有利であるとの観点から早期解散が支持されているとの見方もある。
「高市ラリー」への期待
市場では、高市政権の政策期待を背景に株価や円相場が反応する「高市ラリー」という現象が見られている。これまで株価は高市政権発足後に上昇基調を見せ、早期解散観測が報じられると先物が急進する動きも確認されている。これは投資家が「選挙による政策推進力強化」を期待していることを示唆している。
解散に向けた課題と慎重論
一方で、早期解散には多くの課題と慎重論も存在する。
予算編成との兼ね合い
衆議院解散のタイミングが通常国会冒頭である場合、予算編成と審議が遅れるリスクがある。特に2026年度当初予算案の審議・成立作業が国会日程に与える影響は軽視できない。
外交課題
高市政権下では台湾有事に関する見解や中国との関係が注目されており、外交リスクは大きい。共同通信などの世論調査では、防衛・安全保障を巡る意見が分かれており、外圧や国際情勢の変化が政局判断に与える影響も無視できない。
また、3月に予定されている訪米外交日程や国際会議での首脳との関係構築は政権にとって重要な局面であり、解散時期の選択には外交的考慮も必要となる。
今後の展望
今後の政局展開は以下の要素に左右される。
内閣支持率の動向:高支持率をどこまで維持できるかが鍵であり、支持率低下が政権判断を変える可能性がある。
党内意見の収斂:自民党内の早期解散論と基盤固め論の調整が政権戦略に影響する。
選挙準備の進捗:候補者擁立・選挙協力の調整が解散の実行可能性に直結する。
国際情勢:安全保障や外交関係が国内政治に与える影響も見逃せない。
まとめ
2026年1月時点における高市政権の早期衆議院解散は、政局・世論・党内戦略・市場期待の各要素が重なり合う中で、可能性が極めて高い状況にあると評価できる。特に、高い内閣支持率を背景に議席増を狙う戦略的タイミングが注目されている。ただし、予算審議や外交課題など慎重に調整すべき要素も存在し、最終的な判断は首相の決断と国会召集前後の政治的条件に委ねられる。
参考・引用リスト
高市首相が衆院解散検討、通常国会冒頭での解散案浮上 — 毎日新聞/テレビ朝日報道(2026年1月10日)
衆院解散案が政権内で議論 — 毎日新聞(2026年1月9日)
高市内閣支持率が高水準を維持 — 複数媒体世論調査(6~7割台)
内閣支持率と外交評価 — 共同通信/NHK調査傾向(12月まで)
政局・解散時期の対立 — Today Japan News/永田町分析(慎重論と早期論)
「高市ラリー」と市場反応分析 — Reuters(政局と株価)
以下は早期解散のメリットとデメリット、および与党が議席を伸ばした場合・減らした場合に国会審議へ与える影響について、政治学・議会制度論の観点から詳細に論じる。
早期解散のメリット
1 高支持率を最大限に活用できる点
早期解散の最大のメリットは、内閣支持率が高水準にある時点で民意を問える点にある。政治学では、政権発足直後や支持率が高い局面を「ハネムーン期」と呼び、この時期に解散総選挙を行うことは、与党にとって合理的な戦略とされる。支持率が高い局面では、個別政策への不満や政権運営上の摩耗が顕在化しておらず、有権者が首相個人や政権イメージに基づいて投票する傾向が強まる。
高市政権の場合、「強いリーダーシップ」「経済・安全保障での明確な姿勢」といった評価が支持率を押し上げているとされ、この追い風を維持したまま選挙に突入できれば、与党に有利な結果を得られる可能性が高い。
2 政権基盤の早期安定化
早期解散によって議席を増やせば、政権基盤を早い段階で安定させることが可能となる。とりわけ自民・維新連立(協力)体制においては、衆議院での議席数が政権運営の安定度を左右する。
議席が増えれば、
法案成立の見通しが立てやすくなる
野党の抵抗による国会停滞を抑制できる
党内の求心力が高まり、首相主導の政策遂行が可能となる
といった効果が生じる。これは、経済政策、防衛政策、憲法改正論議など、中長期的テーマを抱える高市政権にとって重要な利点である。
3 市場・国際社会への「政治的安定」アピール
解散総選挙で与党が勝利し、議席を伸ばした場合、市場や国際社会に対して「日本政治は安定している」というシグナルを送ることができる。特に金融市場では、政権基盤の不安定さがリスク要因として嫌気される傾向が強い。
早期解散によって不確実性を一度解消し、強固な与党体制を築ければ、
株価の安定
円相場の落ち着き
対外的な交渉力の向上
といった波及効果が期待される。
早期解散のデメリット
1 政策実行の空白期間が生じる
一方で、早期解散は政策実行の停滞や空白期間を生むリスクを伴う。解散から総選挙、特別国会の召集、新内閣発足までの間、政府は原則として新規の政策決定や予算措置を行いにくくなる。
特に2026年度当初予算案を控える状況では、
予算審議の遅延
地方自治体や民間への影響
経済対策のタイミングの後ろ倒し
といった実務上の問題が生じ得る。この点は、実務官僚や地方自治体から慎重論が出やすい理由の一つである。
2 「解散の大義」への批判
早期解散はしばしば「大義なき解散」との批判を招く。特に、
明確な争点が見えにくい
政策論争よりも政局優先と映る
場合、有権者の政治不信を招く恐れがある。
高市首相自身が過去に「解散を考えている暇はない」と発言してきた経緯を踏まえると、急転直下の解散は「発言との整合性」を問われる可能性がある。この点は選挙戦における野党の攻撃材料となり得る。
3 敗北した場合のダメージが極めて大きい
早期解散は、勝てば大きな果実を得られる一方、敗北した場合の政治的コストが極めて大きい。議席を減らせば、
首相の求心力低下
党内反発の顕在化
連立関係の再調整
といった問題が一気に噴出する。
特に「支持率が高い中で解散して負けた」という評価は、首相の判断力そのものを疑問視させ、政権基盤を根底から揺るがしかねない。
与党が議席を伸ばした場合の国会審議への影響
1 法案成立の迅速化と首相主導の強化
与党が衆議院で議席を大きく伸ばした場合、国会審議は量的・時間的に大きく変化する。具体的には、
委員会での与党優位が明確化
野党による審議引き延ばし戦術の効果低下
法案の採決までの期間短縮
が起こりやすくなる。
これは、首相官邸主導の政治を加速させる方向に作用し、高市政権が掲げる経済安全保障政策や防衛政策の迅速な実行を可能にする。
2 一方で「数の論理」への批判も強まる
ただし、与党の大勝は国会審議の質に対する懸念も伴う。議席差が大きくなるほど、
強行採決との批判
野党の意見が政策に反映されにくくなる
国会が「追認機関」化する
といった問題が指摘されやすくなる。結果として、国会外での世論反発や、メディア・市民団体からの批判が強まる可能性がある。
与党が議席を減らした場合の国会審議への影響
1 審議の長期化と調整政治の復活
与党が議席を減らし、過半数割れや僅差多数にとどまった場合、国会審議は大幅に複雑化する。法案成立には、
野党の一部取り込み
修正協議
連立相手との妥協
が不可欠となり、審議は長期化しやすくなる。
この状況では、首相主導のトップダウン型政治は制約を受け、従来型の「調整政治」が復活する。
2 政権運営の不安定化と政策停滞
議席減は政権運営の不安定化をもたらす。特に自民・維新連立において与党の議席が減少した場合、
維新の発言力が相対的に増大
政策ごとの駆け引きが激化
内閣不信任案提出の現実味
が高まる。
結果として、重要法案が先送りされ、政権の「決断力」や「実行力」に疑問符が付く可能性がある。
総合評価
早期解散は、高市政権にとって「高リスク・高リターン」の政治判断である。成功すれば政権基盤を一気に固め、国会審議を主導的に進める体制を築ける。一方で、議席を減らした場合、国会運営は困難を極め、政権の求心力低下は避けられない。
したがって、早期解散の是非は単なる選挙日程の問題ではなく、今後数年間の日本政治の統治構造を左右する決定であると言える。高市政権がどの時点で、どの程度のリスクを許容するかが、今後の最大の焦点となる。
