ダイエット注射、やめたらどうなる?
ウエイトロス注射は一般に、体内の食欲調整ホルモンに作用して満腹感を高め、食事量を減らすことで体重を減らす仕組みである。
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近年、肥満治療として注目を集めている「ウエイトロス注射(weight‑loss jabs)」は食欲抑制や体重減少効果を持つ医薬品として多くの患者に処方されているが、これらの薬を中止するとどのような影響が起きるのかが大きな関心となっている。
英BBCなどの報道によると、ウエイトロス注射は一般に、体内の食欲調整ホルモンに作用して満腹感を高め、食事量を減らすことで体重を減らす仕組みである。しかし、中止後には体の反応が元に戻りやすく、様々な変化が生じることが指摘されている。
最大の変化としてまず挙げられるのが「食欲の回復」である。薬の効果は服用をやめてから数日〜数週間で急速に薄れ、体内では満腹感をもたらすホルモンの作用が弱まるため、以前よりも強い空腹感や食欲が戻るとされる。これに伴い、高カロリーの食品への欲求が高まり、体重が元に戻る可能性が高くなるという。ある医学的解説では、食欲抑制効果は停止後約1週間ほどで顕著に低下し、その後数週間でほぼ薬の影響が消失すると説明されている。
体重のリバウンド(増加)も懸念される。研究や臨床データの分析では、ウエイトロス注射を中止した人は多くの場合、減量した体重の大部分を1年以内に取り戻す傾向があることが示されている。これは薬が食欲や消化の速度に直接働きかけていた一方で、根本的な食習慣や生活習慣の改善が十分に定着していないケースが多いことが背景にある。したがって、薬を単なる「手段」として使用し、その期間に健康的な行動習慣を身につけなかった場合、リバウンドのリスクが高くなる。
中止後の体調変化や心理面の影響も報告されている。薬剤の作用が消えると、食欲が戻るだけではなく、味覚の感覚が変わったり、食事への欲求が心理的に強まったりすることがある。また、ウエイトロス注射は血糖値やインスリン感受性にも影響を与えているため、中止後にはこれらの代謝指標が変化し、元の状態に戻ることがある。このため、糖尿病予防や管理の目的で服用していた患者は、薬をやめるタイミングで血糖管理に注意が必要だとされている。
医療専門家は、薬をやめる際の計画的なアプローチを勧めている。多くの専門家は、急に服用をやめるのではなく、医師と相談しながら段階的に減量・中止することを推奨している。また、薬の中止と同時に、食事の質改善、適度な運動、生活習慣の見直しなどの長期的な行動変容を組み合わせることで、得られた減量効果を維持しやすくなるとの助言がある。イギリスの健康ガイドラインでも、薬の使用はあくまで包括的な体重管理計画の一部であり、生活習慣の改善と並行して行うべきだとしている。
一方、ウエイトロス注射には個人差があり、経過や効果も患者ごとに異なるため、中止後の反応は一様ではない。適切な医療監督とサポート体制を整えることが薬の停止後の健康維持にとって重要である。今後も、薬の中止後の体重管理やサポート方法についての研究やガイドラインの整備が進むとみられている。
