子どもとのボランティア活動、人格形成につながり、家族にとって忘れられない思い出に
こうした活動は子どもに価値観を植え付けると同時に、家族の思い出づくりにも寄与している。
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子どもと一緒にボランティア活動を行うことは、子どもの自信や社会性、問題解決能力を育み、家族の絆を深める有効な手段である。だが多くの非営利団体では18歳以上の支援者を求めるため、幼い子どもと一緒に参加できる機会を見つけるのは容易ではない。そんな中、親が自ら工夫して活動を創出する例や、地域で家族向けのボランティアが広がっている。
米ピッツバーグ在住の女性は、息子が3歳になった際、幼児でもできるボランティア活動を模索した。高齢者にバレンタインカードを贈ったり、ハイキングでごみを拾ったり、コミュニティガーデンで収穫を手伝ったり、森に野花の種をまく「シードボール」を作ったりするなど、多様な体験を通じて社会に貢献する機会を提供してきた。
多くの団体が幼児の参加を断る中、女性は自ら「VolunTOTs」というグループを立ち上げ、3歳から参加できる活動を実施している。子どもたちと保護者は協力して食料箱の詰め合わせや高齢者施設でのレクリエーション、動物保護センターへの犬用おやつ作りなどを行っている。参加した親からは「子どもたちの行動が改善され、助ける側になることで自信がついた」といった声が上がっている。
ニューヨーク市のボランティア支援団体「Volunteer New York!」は、家族でボランティアに取り組む方法を紹介する。地域コミュニティの課題を子どもに説明し、いくつかの選択肢の中から活動内容を決めさせることが有効だとしている。たとえば「食べ物が足りない人がいる」「病院の子どもに毛布を届ける」といった問題を提示し、どの支援に取り組むかを子ども自身に選ばせることで、主体性を育むことができるという。
また、非営利組織「New York Cares」は、6歳以上の子どもでもコートの仕分けや食料のパッキングなどの作業を丁寧にこなす例を挙げ、「子どもたちは説明を受けると一生懸命取り組み、大人以上に細部に注意を払うこともある」と語る。こうした活動は子どもにとって社会の課題を理解するきっかけとなり、自分も解決の一員になれるという感覚を育てる。
デンバーのデイビス家では、娘が8歳のときから家族でシニア向けの配食サービス「Meals on Wheels」に参加している。最初は親の車に同乗して食事を届けるだけだったが、年齢とともに運転や配達の役割も担うようになった。17歳となった現在も月に一度のペースで活動を続けており、父親は「スマホから離れ、家族で有意義な時間を過ごせる」と話す。息子が大学に進学した今でも、帰省時には全員で配達に出かけるという。
他にも、ティーン世代へのボランティアの機会として、退役軍人へのクッキー配布を行う「Tough Cookies」プロジェクトのような家族発の取り組みもある。この活動に参加した若者たちは、サービス活動を通じて人との交流やコミュニケーション能力を高めたと語っている。
さらに、家族や友人を誘って共同で活動することで、子どもたちが新しい挑戦に前向きになるという意見もある。親同士が協力し、自宅で物品の仕分けやスナックパックの作成を行うなど、さまざまな形のボランティアが家族単位で広がりつつある。こうした活動は子どもに価値観を植え付けると同時に、家族の思い出づくりにも寄与している。
