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コラム:2026年の「コラーゲン」トレンド、注意点も

コラーゲンは生体内で重要な構造タンパク質として、肌・関節・組織修復の維持に役割を果たす可能性がある。
コラーゲンのイメージ(Getty Images)
現状(2026年1月時点)

2020年代半ばに入り、コラーゲン摂取・応用に関する研究と市場動向は多岐にわたるフェーズに到達している。従来は美容用途(肌の保湿・ハリ改善)が中心であったが、関節・運動機能、内臓機能、長寿(ロンジェビティ)分野まで応用が拡大している。また、コラーゲン市場はグローバルに持続的成長が予測され、栄養補助食品・ドリンク・医療素材用途において拡大している。この動きには、生活者の「予防的健康意識」の高まりと、企業・研究機関の「根本原因介入アプローチ」の浸透が影響している。


コラーゲンとは

コラーゲンは動物の体内に最も豊富に存在する構造タンパク質であり、皮膚・骨・関節・靭帯・腱などの結合組織を支える主成分である。複数のアミノ酸(特にグリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン)が繰り返し配列した三重螺旋構造を形成し、その強靭さと柔軟性を担保している。ヒトの体内には少なくとも28種類以上のコラーゲンが存在し、皮膚に最も多いのはタイプIである。


「スキン・ロンジェビティ(肌の長寿)」の基幹成分へと進化

近年の美容科学・老化研究は、単なる外観改善から「健康長寿(ロンジェビティ)」へのアプローチへとパラダイムシフトしている。主要化粧品企業や研究機関は、肌の健康を全身の健康につながる中心的な要素と位置付け、美肌だけでなく老化機構全体の解明・介入を目指す研究を進めている。この方向性は、皮膚組織の質が全身の炎症・代謝・免疫機能と相互に関連するという観点に基づいている。


コラーゲンの主な効果

コラーゲンの効果は複数のレベルで評価されており、肌・関節・全身機能に影響する生理作用を示すエビデンスが蓄積されている。ただし、研究結果にはばらつきがあり、特にヒトを対象とした高品質試験の数や独立した検証はまだ十分とは言えない。


肌のハリと弾力の維持

多数の臨床試験および系統的レビューは、経口コラーゲン補助が肌の水分保持、弾力性、しわの改善に寄与する可能性を示しているという結論を導いている。これらの研究では、ヒドロライズドコラーゲンペプチドを4〜12週間継続摂取した群で、水分量や弾性指数の改善が観察された例が報告されている。一方で、企業助成研究と独立研究では結果の一貫性に差があるという指摘もある。より厳密な無作為化比較試験が一致する結果を得るにはさらなる検証が必要である。


保湿とバリア機能の改善

皮膚はコラーゲンとヒアルロン酸を含む複合的なマトリックスで水分を保持する。コラーゲン補充は真皮内でのコラーゲン線維およびヒアルロン酸産生を促進する可能性が示唆されている。これは真皮層の保湿性を高め、外的刺激からのバリア機能を補完する方向に働くとされる。ただし、外用のコラーゲン配合化粧品が真皮層まで浸透しにくいため、経口摂取やマイクロニードルなどの新規デリバリー技術が注目されている。


関節・柔軟性のサポート

関節の軟骨はコラーゲン(主にタイプII)が主要構成成分であり、加齢に伴うその減少が関節痛や可動性低下と関連する。一部の研究では、コラーゲン補充が軟骨変性や痛みの緩和に寄与する可能性が示唆されている。また、運動後の回復や軟骨修復においても有効性の示唆があるが、その効果の大きさや最適量にはまだ定量的確立がない。


2026年の主要トレンド

「睡眠×コラーゲン」の普及

2020年代後半に入り、「睡眠の質とコラーゲン産生の関係」への関心が高まっている。睡眠中は成長ホルモンの分泌が増加し、これがコラーゲン生成を促進するというメカニズムが注目されている。睡眠改善成分(例:GABAなど)とコラーゲンを組み合わせた製品が登場し、「眠りながら美しく・健康に」を標榜する新しいカテゴリが形成されつつある。この傾向は生活リズムの改善と健康予防の両面で支持され、高機能素材としてのコラーゲンの位置付けを拡大している。


不老長寿(ロンジェビティ)スキンケア

肌の健康が全身の老化プロセスと密接に関係するという科学的認識が進む中、「スキン・ロンジェビティ」がキーワードとして台頭している。この概念は、肌のケアを単なる美容行為ではなく、老化関連疾患の予防・生活の質向上へとつなげる総合戦略として位置付けている。企業はこれを支える包括的研究プラットフォームを構築し、肌データと全身健康データの関連を解析する動きを進めている。


バイオリジェネラティブ(自己再生)医療の一般化

コラーゲンは生体の修復メカニズムと深く関わるため、再生医療分野でも重要素材となっている。コラーゲン基材ハイドロゲルは、軟骨・皮膚・骨・血管の再生スキャフォールドとして研究が進む。これらは、体外で誘導された成長因子と組み合わせることで、自己再生プロセスを促進する素材として応用されている。このようなバイオリジェネラティブアプローチは、慢性疾患の治療や組織修復に新たな方向性を示す。


サステナビリティと「ブルービューティー」

消費者と企業の双方でサステナビリティへの関心が高まり、動物由来に加え植物由来・海洋性コラーゲンの需要増加が進行している。特に海洋由来コラーゲンは、漁業副産物の活用や環境負荷低減の評価が進み、「ブルービューティー(海洋資源を活かした美と健康)」として市場評価されている。また、ビーガン対応コラーゲン類似ペプチドの研究も進展している。


進化したコラーゲンドリンク

市場規模の拡大に伴い、コラーゲンドリンクは単なる美容補助食品から機能性を明示したニュートラシューティカル素材へと変化している。この製品群はコラーゲンペプチドに加えて、機能性成分(抗酸化物質、ビタミン、ミネラル、睡眠改善成分など)との統合が進んでいる。消費者は単一成分より総合的な健康効果を重視する傾向が強まっている。


サプリメントやドリンクで摂取する際の注意点

コラーゲン補充は基本的に安全とされるが、個々の健康背景・併用薬・過敏性を考慮する必要がある。以下に主要な注意点を整理する。


消化器系への影響と過剰摂取

一部利用者で消化器症状(胃もたれ、下痢など)が報告されている。これは高濃度のペプチド摂取時に見られることがあり、用量設定・分割摂取が推奨される場合がある。


摂取量の目安

研究・臨床試験で用いられる用量は一般に1日あたり2.5〜10gのヒドロライズドコラーゲンが中心であり、この範囲内で効果が示されることが多い。ただし、人種・体格・目的(肌・関節)による最適量は個別最適化が必要である。


アレルギー反応

魚由来・牛由来の原料はアレルギーリスクを持つ可能性があるため、原材料表示の確認が必要である。症状として皮膚発疹・かゆみ・呼吸困難などが起こる場合がある。


持病・内臓への負担

腎臓・肝臓に疾患がある者、蛋白代謝異常がある者はタンパク質負荷として過剰摂取に注意が必要である。特に慢性腎臓病患者は医師との相談が不可欠である。


薬との飲み合わせ

血液凝固阻止薬(ワーファリン等)

コラーゲン自体が血液凝固に直接影響するエビデンスは限定的であるが、併用薬の効果変動を避けるため医療専門家と相談するべきである。


高血圧・糖尿病薬

コラーゲンペプチドは血圧・血糖に対して顕著な作用はないが、含有成分・添加物との相互作用を避ける観点から、薬物療法中は専門家と連携するべきである。


甲状腺薬

甲状腺機能影響は限定的とされるが、総合的なタンパク質摂取量の調整は必要である。


成分の「質」と添加物、不純物

コラーゲン製品は原料由来・精製方法・添加物の品質差が存在するため、第三者認証・純度検査結果の確認が推奨される。未精製原料には微量の不純物が残存する可能性がある。


今後の展望

2026年以降、コラーゲン研究は以下の領域での深化が予想される。

  1. 高品質ヒト試験の蓄積によるエビデンス強化

  2. 経口・局所・デリバリー技術の融合による効果最大化

  3. ゲノム・微生物叢データを用いた個別最適化

  4. 再生医療・バイオマテリアルの標準化と臨床応用の発展

  5. サステナビリティに寄与する非動物性原料の商用化

これらの方向性は、美と健康の統合的維持を支える科学的基盤の確立に寄与すると期待される。


まとめ

コラーゲンは生体内で重要な構造タンパク質として、肌・関節・組織修復の維持に役割を果たす可能性がある。その摂取は美容・健康目的で広く行われているが、エビデンスの質にはばらつきがあり、慎重な評価と継続的研究が必要である。2026年のトレンドとして、睡眠との連携、ロンジェビティ戦略、再生医療、サステナビリティがキーワードとして浮上している。


参考・引用リスト

  • コラーゲン補助に関するメタ分析・RCTレビュー(PubMedなど)

  • グローバル市場予測と成長率レポート(市場調査機関レポート)

  • ロレアルによる美容とロンジェビティ研究発表

  • 再春館製薬所の睡眠×コラーゲン製品プレス

  • 新日本製薬の成長ホルモンとコラーゲンに関する研究ニュース

  • Collagen supplement efficacy summaries

  • コラーゲンドリンク市場動向

  • コラーゲン補助の皮膚改善効果に関する系統的レビュー・メタ分析データ

  • 市場成長予測・用途拡大に関するプレスおよび市場レポート

  • 企業発表による新製品・研究トピック情報


追記:日本でコラーゲンが注目されるようになった経緯

日本におけるコラーゲンへの注目は、1990年代後半から2000年代前半にかけての美容・健康ブームとサプリメント市場の拡大期に始まる。当初、「コラーゲン鍋」やドリンク、ゼリー系美容食品が大きくメディアに取り上げられ、手軽に摂れる「内面美容」素材として広く紹介されたことが背景である。この時期、日本の女性消費者は伝統的に「もち肌」「透明感」といった肌質を美の基準と考える文化があり、早期から内服型美容素材の需要が形成されたことが報告されている。

その後、美容のみならず健康志向の高まりとエビデンス研究の蓄積が進んだことで、コラーゲンのイメージは単なる「美肌素材」から「健康長寿・関節・全身の健康維持素材」へと拡大している。日本では特にコラーゲンドリンク・サプリメント市場が世界的にも先行して受容されたという消費者調査データも示されている。こうした状況は、健康・美容両面の消費者意識が高まるアジア太平洋圏全体のトレンドの中で、日本が比較的早期に機能性素材として受け入れられた例と言える。


食べ物でコラーゲンを摂取すべき理由

1.体内コラーゲンの減少と補給の必要性

コラーゲンは体内の結合組織を形成する主要タンパク質であり、加齢とともに体内での合成能力が低下することが知られている。このため、食事やサプリメントでの補充が体内のコラーゲン代謝を支える一助になる可能性がある。

2.食品からの直接的な原料摂取

食品に含まれるコラーゲンは、動物由来部位(鶏皮・豚足・牛すじ等)や魚介由来部分(軟骨・皮など)に比較的豊富であり、日本の伝統的な料理(煮込み、鍋料理など)にも利用されてきた。食品から摂取することで、単にコラーゲンそのものを得るだけでなく、関連するアミノ酸や他の栄養素(ビタミンC等)が同時に摂れることが利点である。

3.消化・吸収の観点

食べ物としての摂取であっても、コラーゲンは腸内でアミノ酸や小さなペプチドに分解された後に吸収される。この点は栄養学上重要であり、食品としてのバランスの良い摂取は、体内でのコラーゲン再合成の材料を提供するという意味で価値がある。すなわち、食事からコラーゲン関連のアミノ酸を摂ることは、摂取後に必要に応じて自律的な合成経路に利用される可能性がある。この原理により、食べ物としての摂取が健康維持の基礎となる。


2026年のヒット予測

2026年にかけて、日本でコラーゲン関連製品・コンセプトとしてヒットが予測されるテーマを以下に整理する。

1.機能性食品としての「コラーゲン強化食」

単なる美容目的ではなく、日常食の中に自然に取り入れられるコラーゲン強化食品(例:パン、スープ、スムージーなど)が健康志向消費者からの支持を集める可能性が高い。これは、機能性表示食品制度や生活者の自律的栄養管理意識の高まりと組合せた商品戦略といえる。

2.「睡眠×コラーゲン」食品

「睡眠」と「コラーゲン産生」の関係性が科学的関心を集める中で、就寝前食品・ドリンクに睡眠改善成分(GABA、テアニン等)とコラーゲンを組み合わせた製品が登場し、2026年の新しい健康習慣として話題になる可能性がある。

3.スポーツ栄養領域での応用拡大

スポーツニュートリションにおいて、関節サポート・運動後の回復を目的としたコラーゲン配合製品が注目される。特に、ランニング・筋トレ市場などで関節・腱の健康維持素材として訴求強化される見込みである。この傾向は海外市場の動向とも整合している。

4.「内面美容」× DX

消費者が個別データ(肌状態、運動量、食事)を元にパーソナライズされたコラーゲン入り食品・サプリメントプランを提供するDXサービスが台頭する可能性がある。たとえば、肌測定アプリと連携した食事提案などが新しい健康コンシューマーエクスペリエンスとしてヒットする。

5.サステナビリティ視点の新素材

環境配慮型消費が進む中で、海洋由来・植物由来原料を利用したコラーゲン類似ペプチド食品が登場し若年層を中心に支持される可能性が高い。これは「ブルービューティー」や「ビーガン対応」市場セグメントの成長と一致するトレンドである。


参考・引用リスト

  • コラーゲン市場予測・成長率に関する業界レポート(日本市場) — IMARC Group(2026年度予測)

  • 世界的なコラーゲン市場展望(2025〜2035) — Research Nesterプレスリリース

  • 食品用コラーゲン市場動向と用途拡大に関する分析

  • コラーゲン摂取実態と商品ニーズに関する日本調査(TPCビブリオテック)

  • コラーゲン食品の含有量と摂取例(管理栄養士解説)

  • 日本におけるコラーゲンドリンク・サプリ市場受容および消費者データ(グローバル市場記事)

  • 健康食品トレンド(機能性素材トレンド2023) — 日本食品機能研究会(JAFRA)

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