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可動域運動、健康と日常生活の機能維持に不可欠

可動域運動は、加齢による筋力低下や関節機能の衰えといった自然な変化に対応し、自立した生活を長く維持するための重要なツールとして位置づけられており、中高年層を中心に今後ますます注目が高まる見込みである。
モビリティエクササイズのイメージ(Getty Images)

年齢を重ねるにつれて、可動域を維持する運動(モビリティエクササイズ)が健康と日常生活の機能維持に不可欠であると専門家が指摘している。可動域運動は単なる柔軟体操とは異なり、関節や筋肉、靭帯、腱が協調して働くことで筋力と動作範囲を同時に高めるもので、加齢に伴う体の衰えを防ぐ効果があるとされる。

スポーツ医学の専門家である田中美穂医師は、可動域の低下が進むと高い棚の物を取る、靴ひもを結ぶ、孫を抱き上げるといった日常動作が困難になる可能性があると説明する。モビリティと柔軟性は混同されがちだが、柔軟性が筋肉の伸びる範囲を示すのに対し、モビリティは筋力を使って関節全体を機能的に動かす能力を指すという。

専門家らは、可動域の低下が始まる一つの目安として、30歳前後から筋肉や腱がコラーゲンを失い始めることを挙げている。この変化は見た目の老化と同様、関節周囲の構造にも影響し、運動不足に陥ると関節に余計な負担がかかりやすくなるという。たとえ日常的に運動を続けている人でも、肩回りや背骨、首を支える姿勢筋のような、一般的な筋トレで見落としがちな部位の筋力低下を招く場合があると指摘されている。

可動域の低下を示す初期の警告サインとしては、運動後でないのに関節や筋肉のこわばりが続く場合や、スポーツをした後に数日間痛みや腫れが引かない場合が挙げられる。これらは関節の動作範囲や周辺筋群の機能が衰え始めている可能性を示す兆候だという。

モビリティエクササイズは特別な器具やジムを必要としないため、日常生活の中に取り入れやすい。専門家は、定期的な歩行や、毎時タイマーをセットして室内を歩くといった簡単な行動を促すことから始めると良いと勧める。椅子に座ったままでの立ち上がり運動、バランスが取れる人は壁やカウンターでの腕立て伏せなども肩周りの可動性を高める助けになるとしている。

慣れてきたらエクササイズバンドを用いて負荷を加えたトレーニングを取り入れることも有効だ。専門家は座って脚を曲げ伸ばしする動作や横向きに寝て脚を持ち上げる動き、背骨を猫のように丸めたり反らしたりする「キャットカウ」など、簡単なモビリティルーティンを日々の習慣にすることで、関節の可動域と筋力の両方を強化できると説明している。

また、ウォーキングやイスに座った姿勢からの脚の引き寄せなど、基礎的な動作を中心とした運動を1日10分程度、現在行っている運動に追加するだけでも効果が期待できるとされる。専門家は「結果を実感するには数日ではなく数週間の継続が必要だが、継続することで生活の質が向上する」と強調している。

可動域運動は、加齢による筋力低下や関節機能の衰えといった自然な変化に対応し、自立した生活を長く維持するための重要なツールとして位置づけられており、中高年層を中心に今後ますます注目が高まる見込みである。

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