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コラム:日韓関係の歴史、関係改善に向けた展望

日韓関係は歴史的文脈と現代の地域安全保障・経済連携という二つの軸が重層的に絡む複雑な関係である。
日本と韓国の国旗(Getty Images)

現状(要約)

日韓関係は政治・安全保障面での協力の必要性(特に北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の台頭に対する地域安全保障)と、歴史認識・過去清算をめぐる対立が並存する複雑な状態にある。経済面では相互依存が深く、サプライチェーンや貿易で重要なパートナーである一方、2019年の輸出管理をめぐる対立が示すように、経済摩擦が政治問題と連動することがある。2010年代後半以降、司法判断や世論の変化が外交関係に直接影響する事例が相次ぎ、政策的な安定性に課題がある。米国を含む三国協調が安全保障面での接着剤となり得る局面があるが、根深い歴史問題がしばしば関係改善を阻む。以下で各時代の経緯と主要課題を整理する。

日韓関係の歴史(古代から近代まで)

日本と朝鮮半島の交流は古代から継続するが、その性質は時代により変化する。古代・中世には文化、仏教、制度の交流や海上での交易が活発だったが、近世以降、東アジアにおける勢力関係の変動とともに関係は断続的に緊張した。19世紀末から20世紀初頭にかけての列強の介入と帝国主義的な動きのなかで、日韓は不平等条約や武力による外交を含む近代国家間の関係性に組み込まれていった。1905年の日露戦争後の日本の朝鮮支配強化は、その後の併合へとつながる。近代化・近代国民国家の文脈で、日本は朝鮮半島を統治下に置き、植民地支配の期間に各種の制度的・経済的変化が強制的に導入された。これら過程での人権侵害・動員・同化政策などが、のちの歴史問題の重要な根源となっている。

韓国併合(1910年〜1945年)

1910年の日本による朝鮮併合以降、1945年の敗戦と日本の植民地支配終結まで、朝鮮は日本の統治下にあった。植民地化のもとで土地制度・教育・労働動員・軍需動員・徴用などが行われ、朝鮮人は経済的・文化的に差別される一方、近代化の側面も導入された。太平洋戦争期には労働力・軍需動員、慰安所運営、文化・言語抑制が行われ、多数の韓国出身者が過酷な状況に置かれた。戦後、これらの経験は個人・集団の記憶として韓国社会に残り、戦後処理と補償、歴史認識問題の根底を成す。

国交正常化(1965年)

第二次世界大戦後、両国は長期にわたり正式な国交を持たなかったが、1965年に「日韓基本条約」および関連の協定が締結され、国交が正常化した。条約では国交樹立とともに、経済協力(日本側からの無償資金・有償貸与・民間協力)による賠償・経済支援が行われ、政府間レベルでは戦後の「請求権・賠償問題は完全かつ最終的に解決された」との解釈が日本の一貫した立場となった。条約文書と外務省の公文書にその趣旨が明記されている。

国交正常化以降、両国は経済関係と文化交流を拡大しつつ、政治的には歴史や領土問題が時折火種となり、関係は安定と緊張を繰り返すものとなった。

1990年代以降の歴史問題の顕在化

1990年代以降、韓国内で民主化が進行し、被害者や市民社会の声が政治・司法に影響を与えるようになった。1990年代末から2000年代にかけて、教科書や公的謝罪問題、慰安婦問題の再評価が進んだ。1990年代以降の情報公開とアーカイブ整備により、旧日本軍や植民地支配に関する新資料・研究が注目を集め、国際世論や学術界で議論が活発になった。これが両国の政府間の緊張を表面化させる要因となった。

近年(2010年代後半〜)

2010年代後半は、歴史問題が司法判断や世論の変化と結びついて外交関係に直接的影響を及ぼした時期である。代表例は韓国最高裁の徴用工に関する個人請求権を認める判決(2018年以降)と、それに伴う日本企業への賠償命令や資産差し押さえ手続き、さらに2019年に日本政府が半導体関連の輸出管理強化を発表したことによる両国間の経済摩擦である。2019年の措置を受けて、韓国はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を表明したが、米国の仲介や地域安全保障上の必要性などから最終的に破棄は回避・一時撤回されるなど、外交的な駆け引きが続いた。経済・安全保障の問題が歴史問題と連動することで、両国関係は従来より変動しやすくなっている。輸出管理措置などの経済影響や分析は経済研究機関でも検証されている。

また、2015年に成立した慰安婦に関する日韓合意(2015年合意)は政府間で「最終的かつ不可逆的な解決」を目指す内容であったが、その後の政情変化や合意過程への疑義、被害者側の反発により事実上の実効性を欠く状態となった。日本外務省の資料にも当該合意の経緯が示されている。

日韓関係における主な課題(一覧)

以下は主要な争点ごとに整理したものである。

1) 歴史認識の問題

歴史認識の対立は日韓関係の中心的課題であり、植民地期の評価や謝罪・補償の範囲、教科書記述の扱いをめぐる齟齬が続いている。日本側の「1965年に国家間の請求権は処理された」という立場と、韓国側の「個人の請求権は消滅していない/個別の被害に対する補償が必要だ」という立場が対立していることが、司法判断や外交摩擦の背景にある。

2) 慰安婦問題

慰安婦問題は被害の性格(強制性の有無、国家の関与)や政府間合意の正当性をめぐり、国内外で争点化している。2015年の合意は政府間の政治決着を図ったが、被害者の合意やその後の実施状況をめぐって韓国内で批判が続いた。国際的にも人権の側面から注目され、学界・市民社会での議論が継続している。

3) 徴用工(強制労働)問題

韓国最高裁が2018年に日本企業に賠償を命じる判決を出したことは、1965年条約での解決範囲や個人請求権の扱いに関する議論を再燃させ、日韓間の貿易・投資・司法面での緊張を高めた。これらの判決は資産差し押さえや企業責任の問題を通じて外交問題化し、日韓関係に大きな影響を与えた。

4) 歴史教科書問題

両国の歴史教科書での表記や記述の仕方が、世代間の意識形成に影響を与える。教科書検定や学校教育での扱いはナショナルアイデンティティと直結するため、政治的に敏感な争点となる。教科書論争は国内政治にも波及し、外務当局だけでの解決が難しい。

5) 領土問題(竹島/独島)

竹島(日本名)/独島(韓国名)をめぐる領有権争いは象徴性が高く、ナショナルセンシティビティが強い領域である。1952年以降の韓国による実効支配が続き、双方が歴史的・国際法的根拠を主張している。日本側政府文書・外務省資料も独自の主張を展開しており、解決は困難である。

6) 安全保障の課題(GSOMIA・北朝鮮)

安全保障面では、情報共有と協力が地域の安定に重要である。GSOMIAは日韓間の機密情報共有の枠組みとして2016年に締結されたが、2019年の危機では韓国が破棄を表明し国際的な懸念を招いた。最終的に継続・延長が行われたが、日韓の安全保障協力は政治的要因に左右されやすい。2019年以降の動きや2023年の再強化には、北朝鮮問題や米国の戦略的要請が関与している。GSOMIAの復活や維持は地域協力の鍵である。

7) 国民感情の隔たり・世論の対立・メディア報道

両国の世論は歴史認識や教科書、謝罪問題を通じて鋭く分断されやすい。世論調査では韓国側における日本への不信感が高い時期が続き、メディア報道や政治家の発言が情勢をエスカレートさせることがある。情報化社会でソーシャルメディアが感情的な拡散を助長するため、両国の市民間の距離は拡大しやすい。国際的な世論調査や地域研究所の報告は、改善には時間と政治的勇気が必要であることを示している。

8) 政治的思惑と国内政治への利用

歴史問題はしばしば国内政治の道具として用いられる。与野党の対立、選挙相場、政権の求心力確保のために外部問題が利用されることがあり、これが外務政策の柔軟性を制約する。政権交代や国内政治の動向が日韓関係の浮き沈みに直結する現状がある。

各問題の詳細解説

歴史認識と謝罪・補償の論点

1965年の請求権処理は国家間の包括的な解決を目指した一方で、個人の請求権の存否や被害者救済をめぐる解釈の差が残っている。韓国の司法判断は個人の救済を重視する傾向があり、日本側は国家間の合意に基づく法的安定を重視する。これが徴用工問題の争点の核心であり、妥協点を見いだすことが困難である。

慰安婦問題の現状

2015年合意は国際社会からも注目されたが、韓国内での被害者と市民の同意の乏しさや合意の透明性に関する批判が続いた。以後、被害者団体や市民が合意の再検討や補償の実効化を求め、政治的問題化が続いた。国際人権基準や謝罪のあり方が問われ、学術的・歴史的検証も継続している。

徴用工問題と経済摩擦

韓国最高裁判決を契機に、日本企業資産差し押さえの手続きが実行段階に入り、日韓の経済協力に影響を及ぼした。これを契機に2019年には日本側が半導体材料などに関する輸出管理を強化し、韓国は対抗措置と受け止めたことで関係は冷却した。経済的ダメージは相互であり、企業やサプライチェーンの観点から長期的コストが発生している。

領土問題(竹島/独島)

領土問題は国家の主権・歴史認識に直接かかわるため、外交的解決は難航する。国際司法裁判所への付託提案があるものの、韓国側は実効支配を背景にこれを拒否している。島嶼の実効管理・歴史的記録・漁業資源利用などが複雑に絡み合っている。

安全保障(GSOMIA・北朝鮮)

GSOMIAは東アジアの情報共有の重要な枠組みであり、その維持は米韓日連携の観点でも重要である。2019年の一時的危機を経て、GSOMIAや軍事協力の回復・維持は地域の脅威対応にとって不可欠である。北朝鮮の核・ミサイル問題は日韓が共通の安全保障課題を持つことを示しており、協調のインセンティブを提供する。

国民感情・世論とメディアの役割

世論調査は日韓双方で相手国への好感・信頼が低下する時期があることを示しており、政治家やメディアの発言がその変動に寄与する。互いの歴史教育やメディア報道のバイアスは、相互理解を阻害する要因となる。若年層と高齢層で意識の差が見られることもあり、世代間で外交政策の受け止め方が異なる点が将来的な関係の変化に影響を与える。

関係改善に向けた展望と課題

関係改善のためには以下が重要である。

  1. 政治的リーダーシップと信頼醸成:両国の首脳・外務当局が歴史問題と現実の安全保障課題を切り分けられる戦略的判断力を示す必要がある。米国などの第三者プレイヤーが仲介役を果たす場面も多い。

  2. 被害者中心の対話と透明性:慰安婦問題や徴用工問題については、被害者の声を中心に据えた実効的な支援・記憶の継承策を両国が協力して模索することが信頼回復に資する。

  3. 法律と外交のバランス:司法判断による救済と、国家間条約の安定性(国際法と外交の整合性)を両立させる枠組みづくりが必要である。国際的な仲裁や第三者的メカニズムの検討も一案であるが、政治的合意が前提となる。

  4. 経済的相互依存の活用:サプライチェーンや産業協力でのウィンウィンの分野を拡大し、経済連携が外交関係の安定化に寄与するよう努める。

  5. 人と文化の交流促進:若者交流、学術協力、民間レベルの対話を深化させ、中長期的に国民感情の改善を図る。

  6. 領土問題の管理:竹島/独島問題については、即時解決を目指すよりも、漁業や環境保全など実務的協力を通じて緊張を管理する「危機管理」の仕組みを整えることが現実的である。

まとめ

日韓関係は歴史的文脈と現代の地域安全保障・経済連携という二つの軸が重層的に絡む複雑な関係である。1965年の国交正常化以降、両国は経済協力や人的交流を深めたが、戦時期の被害や謝罪・補償をめぐる歴史認識の齟齬が繰り返し外交関係に影を落としてきた。2010年代後半以降は司法判断や世論が外交政策に直接的影響を与える場面が増え、2019年の経済摩擦やGSOMIA問題はその典型である。地域の安全保障環境や経済的相互依存を踏まえれば、両国は協力のインセンティブを共有しており、政治的リーダーシップと市民レベルの対話を重ねることで関係改善の道は存在する。ただし、被害者の尊厳に配慮しつつ、司法と外交の結果をいかに整合させるか、領土問題を含む象徴的争点をどのように管理するかといった根本的な課題が残るため、短期的な解決は困難である。長期的には教育・交流を通じた相互理解の深化が鍵である。


主な参考資料(抜粋)

  • Treaty on Basic Relations between Japan and the Republic of Korea(1965年条約本文・公文書)。

  • 外務省「慰安婦問題に関する日本の取り組み」等公式説明。

  • 2019年の輸出管理強化とその経済的影響に関する研究・報告(経済産業系研究所・RIETI等)。

  • GSOMIAの動向と復活に関する報道・解説(韓国紙・英字報道)。

  • 韓国最高裁判決と徴用工問題に関する報道。


1. 詳細年表(主要出来事・論点)

注:古代〜近代の広範な流れは省略し、近現代〜現代の外交的分岐点を中心に示す。

  • 1876年:江華条約により朝鮮が日本に対して開国を迫られる(朝鮮近代化と列強の介入の過程の始まり)。
    (背景知見:近代の不平等条約の系譜が以後の関係に影響する。)

  • 1905年: 第二次日露戦争後、韓国は事実上の保護国化(ポーツマス条約以降の日本の影響力増大)。

  • 1910年:日韓併合(韓国併合条約) — 以後1945年まで日本の統治下となる。植民地支配期の土地・教育・労働動員等が後の歴史問題の基盤となる。

  • 1919年:3・1独立運動(韓国の大規模な反日独立運動)。(植民地期の抵抗運動として重要)

  • 1945年:日本敗戦・朝鮮半島の解放。以後南北分断と別の国際秩序下の関係が始まる。

  • 1952年:李承晩ラインの設定など、戦後の領域・資源を巡る摩擦が生じる(領土・漁業問題の源流の一つ)。

  • 1965年:日韓基本条約(「日韓請求権協定」を含む)により国交正常化。国交正常化で国家間の包括的解決を図る一方、個人補償の解釈差が残る。

  • 1990年代:韓国の民主化と情報公開の進展に伴い、慰安婦や徴用(強制労働)等の植民地期被害の検証・顕在化が進む。裁判・市民運動・歴史史料の公開が活発化する。

  • 1998年–2000年代:首脳往来や文化交流(K-POP/映画等の相互浸透)が進む一方、歴史問題は政治課題として断続的に表面化する。

  • 2015年:日韓政府間で「慰安婦問題」についての合意(2015年合意)を実施。政府間では「最終的かつ不可逆的な解決」を目指したが、被害者側の不満や合意手続きの透明性を巡る批判が残る。

  • 2018年:韓国最高裁が徴用工(植民地期の強制労働)に関して日本企業に対する賠償を認める判決を出し、日韓関係は司法判断を巡る外交摩擦へ発展する(個人請求権の扱いが焦点)。

  • 2019年(7月):日本政府(経済産業省=METI)がフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について韓国向けの輸出管理を強化すると発表(事実上の厳格化)。この措置は徴用工判決を巡る対立と結びついて受け止められ、両国の経済摩擦が表面化する。

  • 2019年(8〜11月):韓国がGSOMIA(機密軍事情報包括保護協定)の破棄を表明(8月)するが、米国などの仲介や安全保障上の必要性などを受けて11月に破棄通知の効力を停止し、実際の失効は回避される(GSOMIAの一時危機)。

  • 2019年〜2023年:両国はホワイト国リスト除外やWTO提訴、報復的世論運動(ボイコット・キャンペーン)などを含む「経済政治」的対立を展開。その後2023年に両国は段階的な関係修復に向けた措置をとり、2023年3月に日本が2019年の輸出規制を事実上解除するなどの動きがあり、経済摩擦は「終局的」解決を模索する段階へ移る。

  • 2020年代前半:北朝鮮情勢、中国の台頭、米中対立といった地域情勢の変化により、日米韓の安全協力の重要性が改めて浮上する。2020年代後半には世論・政権交代の影響で関係の振れが続く。

  • (補足:最近の動き):2023年〜2025年にかけては段階的実務協議や貿易ルール対話、安全保障上の協議が再開され、経済面での相互依存が再確認される局面が見られる(政府発表・報道を参照)。


2. 貿易額の推移(主要年の代表的数値:日→韓、韓→日)

注:「輸出」は輸出する国側の統計(FOB等)に基づく。出典は WITS(国連 Comtrade経由)および国連COMTRADEを示す公開データ(TradingEconomicsはCOMTRADEに基づく集計を表示)を使用する。各年の数値は「代表年」を示す。

日本 → 韓国(日本の対韓輸出、USD)出典(抜粋)韓国 → 日本(韓国の対日輸出、USD)出典(抜粋)
201062,361,077,500(約623.6億USD)WITS(UNSD/Comtrade)2010集計。(同年)約(※WITS参照可。2010年の韓国→日本は年次集計にて確認可能) 
201544,019,000,000(約440.2億USD)WITS 2015。韓国→日本(2015年の対日輸出は WITS にて国別値が確認可能)。 
201946,265,486,180(約462.7億USD)WITS(2019年データ)。30,606,000,000(約306.1億USD) — WITS(2019年)に基づく(韓国の対日輸出)。 
2020コロナウイルスの影響で季節・品目別変動あり(年次での落ち込み・回復の差がある)。   
2021貿易回復局面。半導体関連を含むサプライチェーン回復の影響が見られる。出典:JETROほか。   
2022世界的に資源価格高騰の影響で貿易額増減が発生(日本の貿易全体の変動参照)。JETRO等の総括を参照。   
2024日本→韓国:46.38億USD(46,380,000,000 USD)(UN COMTRADE に基づく 2024 年値の掲載)。韓国→日本:29.6億USD(29,600,000,000 USD)(UN COMTRADE 集計、2024 年)。  

解説(貿易データの注記)

  1. 上の表は「代表年」を選んで示している。細かい年次推移、品目別内訳(半導体材料、化学品、機械部品など)や月次系列は国連 Comtrade/WITS/各国関税当局 (Japan Customs/Korea Customs) の数値を参照すれば逐年・逐品目で取得可能。

  2. 2019年以降、2019年の輸出管理強化→韓国のGSOMIA一時危機→双方のホワイト国リストの見直しなどが経済フローに影響を与えたことは学術的に検証されている(RIETI 等の分析)。産業別には半導体材料・ディスプレイ材料が直接的に影響を受けた。

  3. 表中の数値は「各年の公開統計(WITS/UN Comtrade/TradingEconomics が集計)」に依拠している。


3. 世論調査(代表的調査と数値)

以下は日韓相互に関する代表的な世論調査の抜粋数値で、年月・調査主体を明記する。世論は短期間で変動するため「調査主体・実施時期」を必ず確認すること。

A. Genron NPO(日本/韓国の共同世論調査) — 2019(代表例)
  • 「日韓関係は重要か?」:韓国側「重要」…84.4%、日本側「重要」…50.9%(2019年調査)。この差は両国の受け止め方の温度差を示す。

B. Gallup Korea(韓国ローカル長期系列) — 2025(注:最新の報道引用)
  • 2025年8月報道によれば、韓国国民の日本に対する好感度("favorability")は上昇傾向を示し、Gallup Koreaの集計で1989年の調査開始以来の高水準に達したと報じられている(具体値は報道により多少の差異あり)。

C. EAI / API / KEI 等の複数機関共同調査(近年)
  • 年によって振れはあるものの、2020年〜2021年にかけては両国の相手国に対する否定的感情が強まった局面があり、2021年以降は一部緩和の兆しが見えるとしている調査がある(出典:EAI等)。

D. Pew Research / 国際比較調査(背景的参照)
  • ピュー研究所等の国際世論データベースは両国の対外好感度や地政学的な認識(米中への評価等)を時系列で示しており、地域の安全保障関係や同盟に対する見方が日韓相互の協力意欲に影響することを示唆している(参照:Pew Global Attitudes)。

世論データの解釈ポイント
  • 世論は「直近の事件(司法判決、首脳の発言、報道・SNSでの拡散)」に非常に敏感に反応する。2019年の一連の事件(徴用工判決→輸出管理→GSOMIA危機)は両国の世論悪化を招いたが、その後の政権・対話で回復する局面もある。


4. 年表・統計の補足説明

  1. 出典の優先順位:本稿では「政府の公式統計(Customs / METI / Korea Customs)→UN Comtrade(WITS)→国際機関・研究機関(JETRO, RIETI, EAI等)→世論調査(Genron, Gallup Korea, Pew等)」の順で信用できるデータを参照した。数値の整合性を取るために元データ(UN Comtrade / WITS)を一次ソースとして提示している。

  2. 数値の性質:国際貿易統計は(FOB/CIFの差、報告国側・相手国側の差、品目分類改定等)により年ごと・機関ごとに差異が生じる。業務用途で精密な損益推計や産業連関分析を行う場合は「元データ(年・月・HSコード別)をダウンロードして、同一基準で再集計」することを推奨する。

  3. 世論データの比較:同じ「好感度」でも設問文や選択肢、サンプリング、実施時期で結果が大きく変わる。したがって「どの設問・時点」を比較しているかを必ず明記する必要がある(例:Genron の「関係は重要か?」と Gallup の「相手国への好感度」では異なる問いである点に注意)。


 

参考主要出典(抜粋)

  • WITS / UN Comtrade(日本・韓国の国別輸出入データ)。

  • TradingEconomics(UN COMTRADE を参照した日本→韓国/韓国→日本の最新集計表示)。

  • JETRO:Global Trade and Investment Report 2023(貿易動向の総括)。

  • METI / MOFA / 各国外務省(輸出管理・GSOMIAに関する公式発表)。

  • RIETI:2019年の輸出管理強化の産業影響分析。

  • Genron NPO:日韓合同世論調査(2019 年版)。

  • Gallup Korea / 各種報道(韓国側の好感度長期系列報告)。

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