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コラム:衆議院選2026、社会保険と税の一体改革

2026年2月8日投開票の衆議院選挙における「社会保険と税の一体改革」は、社会保障制度の持続可能性、負担と給付のバランス、税制改革と財源確保のあり方を巡る政策争点である。
高市総理(Bloomberg)
現状(2026年2月時点)

2026年2月時点の日本では、人口の少子高齢化が進行し、労働力人口の減少や社会保障費の増大が国家財政に対する重大な課題となっている。高齢者人口の増加は医療・介護・年金といった社会保障制度の支出を押し上げる一方で、長期的な経済成長の制約ともなっている。また、国民負担率(税金と社会保険料の合計負担率)は拡大しており、家計にとって重い負担となっている。このような状況下で、社会保障制度の持続性とその財源確保をめぐる議論が国政の重要なテーマとなっている。これらの課題は2026年2月8日投開票の衆議院議員総選挙における主要な論点の一つとなっている。

民主主義国家における選挙では、政府与党・野党を問わず、社会保障と税の負担のあり方が政策・公約の重要テーマとなる。特に今回の総選挙では、社会保険料負担の軽減、消費税率と所得税の枠組み、給付付き税額控除などの制度改革が政策比較の焦点となっている。また、政党・政治勢力間で財源の確保策についての対立と協調の可能性が政策選択に影響している。


社会保障と税の一体改革とは

「社会保障と税の一体改革」は、日本政府が2009年以降に提起・実施してきた政策の枠組みであり、社会保障の充実と安定化、そしてその財源を確保しつつ財政健全化を同時に実現する改革施策である。このアプローチは、社会保障制度改革推進法に基づき、有識者会議・国民会議などを通じて構想・制度設計が行われ、2019年10月の消費税率引き上げを持って一応の区切りを迎えたが、以後も制度の持続性や負担と給付のバランスに関する議論が継続している。社会保障制度の安定財源は、税収と社会保険料収入で賄われるが、高齢化進展による給付費の増加と税収の伸び悩みを背景として、一体的な改革と財源の見直しが不可欠とされている。これまでの枠組みは消費税率の引き上げと連動していたが、現在の議論では税制全般と給付・負担の公平性の再検討が進められている。社会保障・税一体改革の基本的な理念は、短期的な支出削減ではなく、制度の持続可能性を確立し、将来世代への負担の先送りを回避する点にある。


議論のポイント

社会保障と税の一体改革に関する議論の焦点は主として次の3点である:

  1. 給付と負担のバランス
    社会保障制度が本来保障すべき給付(医療・年金・介護等)を維持しつつ、現役世代・高齢者世代間の負担のバランスをどう設計するか。

  2. 財源の持続性と公平性
    社会保険料・税収を含む財源をどのように確保し、世代間公平性や所得再分配の機能を担保するか。

  3. 経済成長との整合性
    社会保障制度改革が経済成長や労働市場への影響とどのように整合するか。特に働き方の多様化・労働参加率の向上といった視点からの検討が不可欠である。


改革の背景と現状

高齢化と社会保障費の増加

日本は世界でも有数の高齢社会であり、65歳以上人口比率が高止まりしている。これに伴い、医療・介護・年金といった社会保障給付費は年々増加しており、総額は国家の歳出の大きな部分を占めている。この傾向は人口構造の変化が長期的なものであるため、単なる一時的な財政負担ではなく、構造的な挑戦となっている。このような背景から、制度の持続可能性に関する国民的合意形成と政策設計が必要とされている。

制度の歴史的経緯

社会保障と税の一体改革は、2009年頃から本格的に提案された。これは、単に給付や負担のみを議論するのではなく、税制改革と社会保障制度改革を同時に進めることが必要であるとする考え方である。特に消費税率の段階的引き上げを含む税制抜本改革と社会保障制度改革を連動させることで、安定的な財源を確保しようとする枠組みである。この枠組みは2019年10月の消費税率引き上げ(10%)まで継続し、その後も制度の持続性・負担増への国民理解を得る枠組みとして維持されている。

現在の制度と負担水準

現状では、所得税・法人税・消費税・社会保険料などが社会保障財源の主な柱となっているが、社会保険料の負担が実は税負担よりも家計負担に大きく影響しているという指摘がある。多くの国民は、社会保険料の見直しを求める一方で、給付の保障も重視しており、その調整が各政党の政策議論の中心テーマとなる。また、社会保険料の負担軽減については、政党間で賛否や優先順位が異なる。


負担の軽減

社会保険料・税負担の軽減は国民の重要な関心事である。特に現役世代は所得税と合わせて社会保険料負担の高さを問題視している。TBSの報道等では、国民負担率が過去数十年で大きく上昇しているとの指摘があり、社会保険料の引き下げについて政党間で意見が分かれている。社会保険料の引き下げは、現役世代の可処分所得の改善・賃上げ環境の整備と結びついており、これを実現するための財源論が選挙争点となっている。


財源の確保

財源確保の議論では、税制改革(消費税、所得税、法人税等)、社会保険料の見直し、給付付き税額控除といった制度設計が検討されている。政府与党は超党派の協議を呼びかけ、給付付き税額控除や所得税控除の拡充によって「所得に応じた負担軽減」を実現するとしている。一方で、消費税率の引き下げを主張する野党も存在する。財源確保は単なる税率調整だけでなく、経済成長を促進し税収基盤を拡大する方策と結びつけて検討されている。


各党の主な公約・主張

以下では、2026年衆議院選挙における主要政党・政治勢力の社会保障と税に関連した公約や主張を整理する。

自由民主党(与党)

自由民主党は総選挙において政策全般として、社会保障制度の安定と家計支援を強調している。医療・福祉・介護従事者の処遇改善や賃上げ支援を掲げる一方、負担の軽減については財源とのバランスを重視する立場であり、社会保障制度維持のための責任ある対応を訴えている。自民党は給付付き税額控除等を含む包括的な議論を進めるべきとし、与党内外での協議を呼びかけている。

日本維新の会(与党)

日本維新の会は社会保険料の引き下げ(例えば年間6万円の引き下げなど)を訴えるなど、負担軽減を強調している。また、消費税の軽減措置と社会保険料負担軽減を組み合わせる政策を提案しており、与党として自民党よりも積極的な負担軽減策を主張する傾向がある。

中道改革連合(立憲民主党+公明党)

中道改革連合は複数の野党の連合であり、公約では食料品の恒久的な消費税ゼロ税率、給付付き税額控除や家賃補助制度など幅広い社会保障・税の改革を掲げている。財源として政府系ファンドの創設や資産運用益を活用する構想を示すなど、従来とは異なる資金供給策を提案している。

国民民主党

国民民主党は現役世代の社会保険料負担軽減を重視し、社会保険料還付制度の創設など独自の制度設計を提示している。所得税の税率引き下げや給付付き税額控除の活用と合わせ、生活者負担の軽減を狙っている。

野党各党

野党の中には消費税率の全面的な引き下げや廃止を主張する勢力も存在する。例えば、一部勢力は消費税の恒久的な引き下げやゼロ税率の拡大を掲げ、社会保障制度の財源について他の税源や国債発行を含む多様な選択肢を提示している。また、社会保障制度の給付拡充と財源確保のバランスをどう取るかについて政党間の意見は大きく異なる。


社会保険料の負担軽減

社会保険料負担の軽減政策は、現役世代の実質所得増加と労働参加の促進を目指すものである。政党間では、引き下げの対象や財源確保の手法に違いがある。自民党は慎重姿勢を示しつつも検討継続を訴える一方、日本維新の会や国民民主党は積極的な引き下げ策を打ち出している。野党勢力の中でも、社会保険料の軽減と給付の充実を両立させる制度設計の深化が求められている。


税制改革(消費税・所得税)

税制改革は社会保障財源の安定化と負担の公平性を両立させるテーマであり、消費税率と所得税のあり方が議論されている。消費税率の引き下げを主張する勢力は、低所得者の可処分所得向上を図る一方、財源の穴埋め策について異なる見解を持つ。所得税については、税率構造・課税最低限の引き上げ・所得控除の拡充が検討されており、税制全体の進歩性や再分配効果を高める方向での改革が必要とされている。


選挙における論点

2026年衆議院選挙において、社会保障と税の一体改革は主要な政策論点の一つとなっている。家計負担の軽減、税制の見直し、社会保障制度の持続可能性などが有権者の関心を集めている。また、党派間で財源論や制度設計のアプローチが異なるため、選挙結果は今後の政策方向に直接的な影響を及ぼす可能性が高い。


財源の裏付け

財源確保は重要な課題であり、消費税・所得税・法人税などの税収強化策、給付付き税額控除制度の設計、経済成長戦略との連携が不可欠である。特に財源の裏付けについては、財務省・内閣府などの試算を基にした長期的な財政見通しや、世界的な経済環境の変化を踏まえた検討が必要である。


構造改革の先送り懸念

社会保障と税の一体改革において、単なる負担軽減や給付拡充のみを追求することは、構造的課題の先送りを招く懸念がある。持続可能な制度設計には、齢人口の増加・労働参加の促進・経済成長戦略との連動が不可欠であり、単年度の財政対策に留まらない長期的視点が必要となる。


今後の展望

今後の展望としては、選挙後の国会で与野党間で超党派の制度設計が進むか、または政策的対立が深まるかが注目される。社会保障制度の安定性と税制改革を両立させるための合意形成プロセスは、国民負担と給付のバランスを取る上で不可欠となる。また、経済成長や労働市場改革と連携した制度設計が日本の長期的な持続可能性を支える鍵となる。


まとめ

2026年2月8日投開票の衆議院選挙における「社会保険と税の一体改革」は、社会保障制度の持続可能性、負担と給付のバランス、税制改革と財源確保のあり方を巡る政策争点である。各政党・政治勢力は、給付保障と負担軽減をどのように実現するか、財源をどのように確保するかについて多様な主張を展開している。今後の選挙結果により、制度改革の方向性が大きく左右される可能性が高い。


参考・引用リスト

  • 内閣官房「社会保障と税の一体改革」説明(政策概要)

  • 厚生労働省「社会保障・税一体改革」解説(制度の経緯)

  • National Tax Agency「制度概要」

  • Ministry of Health, Labour and Welfare(英語)「Comprehensive Reform」

  • 朝日ニュース・TV朝日選挙公約比較(医療・社会保障)

  • チームみらい公約報道(社会保険料・子育て減税)

  • 野党5党公約発表報道(中道改革連合、国民民主党等)

  • 首相による国民会議設置報道

  • 政策研究機構・統計データ等(制度歴史的意義等)


追記:社会保険料の減額は可能か

社会保険料減額論の現実性

社会保険料の減額は、2026年衆議院選挙において多くの政党が掲げる政策目標であるが、制度的・財政的制約を考慮すると、恒久的な減額は容易ではないと評価できる。社会保険料は医療保険、年金保険、介護保険などの給付を直接支える基幹財源であり、減額は即座に給付水準の見直し、もしくは代替財源の確保を必要とする。

短期的には、国庫負担割合の引き上げ、積立金の一時的活用、あるいは特定目的税の充当によって名目的な負担軽減を行うことは可能である。しかし、これらはいずれも構造的な解決策ではなく、将来世代への負担転嫁を伴う可能性が高い。特に年金制度や医療保険制度においては、保険料と給付の均衡が長期的な信頼性を支えており、恒常的な保険料引き下げは制度そのものの持続性を損なう恐れがある。

「減額」と「負担感軽減」の区別

政策議論において重要なのは、「社会保険料の減額」と「社会保険料の負担感の軽減」を明確に区別することである。実質賃金の上昇、税制による可処分所得の補填、給付付き税額控除などを通じて家計の負担感を軽減することは、必ずしも社会保険料率そのものを下げることを意味しない。

したがって、社会保険料減額の実現可能性は、単独政策としてではなく、税制改革・賃金政策・社会保障給付の効率化と一体で評価されるべき課題である。


「痛みを伴う改革」が後回しにされる構造

政治過程における先送りの論理

社会保障改革における「痛みを伴う改革」とは、給付の抑制、自己負担割合の引き上げ、給付対象の選別化、あるいは高齢者負担の増加などを指すことが多い。これらは有権者にとって直接的な不利益となるため、選挙を控えた政治過程では回避されやすい。

特に日本では、高齢者層の投票率が相対的に高く、政治的影響力が大きい。このため、医療・年金・介護分野における高齢者負担の見直しは、政治的コストが高い政策と認識され、結果として改革は段階的・限定的なものに留まりやすい。

「改革疲れ」と国民合意の難しさ

過去の社会保障改革は、消費税率引き上げなど「目に見える負担増」を伴ってきたため、国民の間には改革に対する疲労感や不信感が蓄積している。この状況下では、政府や政党が「将来のために必要な痛み」を正面から訴えることは難しく、結果として短期的な負担軽減策が優先される傾向が強まる。

しかし、改革の先送りは問題を解決するのではなく、より大きな負担として将来に現れる可能性が高い。財政赤字の拡大や社会保障給付の急激な抑制は、結果的に社会的弱者により大きな影響を及ぼす。


超高齢化社会における社会保険料の重要性

社会保険料の制度的役割

社会保険料は単なる「負担」ではなく、世代間・世代内の再分配を担う制度的装置である。現役世代が拠出する保険料は、高齢者の医療・介護・年金給付を支えると同時に、将来自らが給付を受ける権利の前払いという性格を持つ。

超高齢化社会においては、この仕組みが社会の安定に果たす役割はむしろ拡大している。医療や介護サービスの提供体制が維持されなければ、高齢者のみならず、その家族や地域社会全体が影響を受ける。

税方式との比較と限界

社会保障財源を税方式に全面的に移行すべきだという議論も存在するが、税財源は景気変動の影響を受けやすく、安定性に欠ける側面がある。これに対し、社会保険料は比較的安定した収入源であり、制度の持続性を担保しやすい。

また、社会保険方式は「給付と負担の関係が可視化されやすい」という利点を持つ。これは制度への信頼を支える重要な要素であり、超高齢化社会においてこそ重視されるべき点である。

今後求められる視点

超高齢化社会における社会保険料の議論では、「下げるか、上げるか」という二元論ではなく、以下の視点が求められる。

  • 給付の重点化・効率化による保険料上昇の抑制

  • 所得・資産に応じた負担の再設計

  • 税と社会保険料の役割分担の明確化

  • 国民への制度説明と合意形成の強化

社会保険料は、日本社会の連帯を制度化した中核的仕組みであり、単なるコスト削減の対象として扱うことはできない。


追記まとめ

社会保険料の減額は、短期的・限定的には可能であるが、恒久的な引き下げは制度の持続可能性を脅かすリスクを伴う。「痛みを伴う改革」が政治的理由から後回しにされてきた結果、問題はより複雑化している。超高齢化社会において、社会保険料は社会保障制度を支える不可欠な基盤であり、その重要性は今後さらに高まる。求められるのは、負担軽減の幻想ではなく、現実に即した制度再設計と国民的合意の形成である。


高齢者の窓口負担増の意義と課題

日本の公的医療保険制度では、原則として70歳未満は3割、70歳以上は所得に応じて1~3割の自己負担割合を基本とする。近年、後期高齢者医療制度における窓口負担の見直しが議論されており、所得が一定以上の高齢者については従来の1割負担から2割負担に引き上げる動きが進んでいる。これは医療費の伸びと財源確保の必要性を背景としており、政府は高齢者の医療費負担の見直し策を検討・実施している。

窓口負担増の目的
  1. 給付費の抑制
    高齢者は医療利用頻度が高く、医療給付費の大きな割合を占めるため、自己負担を一定程度引き上げることで制度全体の支出を抑制する意図がある。

  2. 現役世代との負担バランス
    財源不足が深刻化する中で、高齢者層だけに過度な給付を提供し続けることへの批判が強まっている。高額所得の高齢者にはより高い負担を求める議論もある。

課題と批判

窓口負担の引き上げは、実際の医療利用抑制効果や患者の医療アクセスを阻害する懸念がある。特に低所得の高齢者にとって、自己負担増は健康リスクを高める可能性が指摘される。また、単純に負担を増やすだけではなく、所得や資産に応じた負担能力に基づく負担設計が必要であるとの専門家の指摘もある。


年金給付の抑制と給付維持のバランス

日本の公的年金制度は原則として賦課方式(現役世代の保険料で給付を支える仕組み)であるが、少子高齢化の進展に伴い、給付水準の維持が困難になっている。

年金給付の抑制策

年金制度の持続可能性を確保するための代表的な調整手段として、「マクロ経済スライド」がある。これは、人口構造や経済条件に応じて年金支給額を自動的に調整する仕組みであり、現行制度では一定の給付水準抑制機能として機能している。また、給付水準そのものを抑制することなく現行制度の維持を主張する政党もあるが、財源確保の観点から調整を求める声が強い。

給付水準維持の必要性

年金は高齢者の生活基盤であり、給付水準の大幅な抑制は高齢者の生活困窮を招く可能性がある。特に低所得の年金受給者に対しては、基礎年金部分の底上げや最低保障型年金制度などの議論が行われている。


安定した財源の重要性

社会保障制度の安定性を確保する上で、安定した財源の確保は不可欠である。日本では社会保険料と税(特に消費税、公費負担)が財源の主要な柱であるが、少子高齢化による給付費の増大・人口減少による労働力人口の縮小・税収増の見通しの不透明さなどを背景に、制度の持続可能性に疑問が呈されている。

社会保障給付費は増加傾向にあり、厚生労働省の推計では医療給付費は10年で大きく伸びる見通しであるという報告がある。これに対して社会保険料収入だけでは財源が不足するため、税による公費補填や社会保険料以外の安定財源の確保が政策課題となる。

安定した財源が欠如すれば、給付の削減や保険料の急激な引き上げを余儀なくされ、制度への信頼が損なわれるリスクがある。また、税方式への移行や給付付き税額控除といった制度設計の検討も進められているが、これらは制度全体の再構築を伴うため、慎重な議論が必要である。


各党の社会保障プラン(2026年衆議院選挙)

以下では、主要政党・政治勢力が公表する社会保障政策(特に高齢者医療・年金・給付・負担に関する主張)を整理する。なお、実際の公約詳細は各党公式資料や比較サイトの集約で確認を要するが、新聞・報道の比較一覧を基礎としてまとめる。

自由民主党(与党)

自民党は医療・介護・福祉分野の処遇改善や基礎年金の底上げなど、社会保障制度の持続可能性を維持しつつ現役世代・高齢者世代双方の安心を重視する政策を掲げている。国民皆保険を堅持し、制度の安定を基調とする主張である。高齢者負担の見直しについては直接的な負担増策は明記されていないが、賃上げや医療提供体制の強化による持続性確保を強調する。

日本維新の会(与党)

維新の会は現役世代の社会保険料負担軽減や制度効率化を重視する立場を強調しており、医療提供体制の再編といった制度改革に取り組む意向を示している。年金については、基礎年金機能の再構築や積立方式への移行など大胆な制度再設計を掲げる。窓口負担や保険料負担に関しても改革を進める姿勢を示すが、具体的な負担割合の変更についての明記は限定的である。

中道改革連合(立憲民主党+公明党)

中道改革連合は低所得高齢者向けの年金給付上乗せや厚生年金適用範囲拡大などの給付充実策を掲げつつ、富裕層への応分負担の要求や社会保険料上限の見直しを含む制度調整を提起している。高齢者の社会保障に配慮しつつ、制度全体の公平性を重視する姿勢である。

国民民主党

国民民主党は年金最低保障の強化を重視し、給付の充実を訴える。また、負担の公平性を考慮した社会保険料の見直しや負担軽減策を提案している。高齢者向けの社会保障制度の改善と社会保険料負担の調整を両立させる方向性を示す。

日本共産党

共産党は社会保障の給付充実を強く訴える立場であり、高齢者の医療窓口負担の引き下げや年金給付の実質的な引き上げを主張する。マクロ経済スライドの撤廃や公的医療費・保険料の軽減などを掲げ、負担増を避けて給付の保障を優先する立場を取る。

社会民主党・れいわ新選組・その他

社民党は最低保障年金制度を樹立し、月額一定の年金給付を全高齢者に保障する政策を主張する。れいわ新選組は後期高齢者医療制度の廃止や全額国費負担化を掲げるなど、大幅な給付負担構造の転換を主張する勢力も存在する。


分析と総括

高齢者の窓口負担増や年金給付抑制は、日本の社会保障制度が直面する財政的制約と人口構造の変化に対応するための政策選択肢である。高齢化が進む中では、医療・介護・年金給付費の増大が避けられず、制度の安定性を担保するための財源確保が不可欠である。

一方で、負担を一方的に増すだけでは高齢者の生活保障を損ない、社会的な不公平感や健康リスクの増大を招く可能性がある。そのため、負担能力に応じた公平な負担設計、給付の重点化・効率化、持続可能な税・保険料体系の構築が必要である。

各党の社会保障プランは、給付の維持・充実を重視する立場から、制度改革と負担調整を組み合わせる現実路線まで幅がある。選挙においては、給付と負担のバランス、財源の裏付けの明確性、そして制度の持続可能性をどう実現するかという視点で政策比較が重要である。


参考・引用(主な出典)

  1. 「医療・社会保障」主要各党の公約(衆院選2026) — テレビ朝日報道(2026年2月3日)

  2. 日本共産党の社会保障政策提案 — 日本共産党中央委員会(2024年10月)

  3. 2026年衆院選 公約比較(税金・社会保障) — zeimo.jp(2026年2月)

  4. 社会保険料引き下げと制度改革について — 野村総合研究所コラム(2026年1月30日)

  5. 社会保障・子育てに関する公約要旨 — 朝日新聞(2024年)

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