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コラム:正月太り、体重減のコツ「胃腸の休息」と「歩数を増やす」

これを解消するには、食生活のリセット・活動量増加・生活リズムの正常化の3つのアプローチが有効であり、専門家・医療機関の指導に基づくバランスの取れた生活習慣が必要である。
正月太りのイメージ(Getty Images)

2026年1月現在、年末年始の長期休暇を挟んだ「正月太り」は国民的な関心事となっている。日本人の生活習慣は年末年始に多くの祝日が連続するため、食事量の増加・高カロリー食品の多用・活動量の低下・夜更かしによる睡眠不足などの要因が重なり、短期間で体重が増加する傾向が観察されている。各健康関連団体や医療機関では、正月太り解消のための生活習慣の見直しが推奨されているが、実際には短期的な体重増加をどう対処するかについて体系化された科学的アプローチが求められている現状である。


正月太りとは

「正月太り」とは、年末年始の休暇期間における摂取カロリーの過剰と活動量の減少によって体重が増加する現象を指す。冬季の寒さによる消費エネルギー低下や、正月料理の多くが高脂肪・高糖質であること、そして休暇中の生活リズムの乱れが重なって発生することが報告されている。正月太りは体脂肪蓄積だけでなく、水分貯留や老廃物の停滞によるむくみといった生理学的反応を伴っている点で特徴的である。


2026年の正月休み明け

2026年の正月休み明けにおいても、多くの人が体重増加を自覚しているというデータは専門機関から報告されている。年末年始のイベントでは、伝統的な「おせち料理」や「お餅」が中心となり、通常の食事に比べて糖質・脂質が増える傾向がある。また、冬期は寒さにより屋外活動が減少し、日常のエネルギー消費が平常時より低下しやすいことが指摘されている。これらが複合して短期的な体重増加を促進する。


効率的に体重を落とす方法

正月太りを効率的に解消するには、即効性のある方法と持続可能な生活習慣の改善という二本柱でアプローチする必要がある。体重増加の主因には脂肪蓄積だけでなく体内水分の増加や老廃物の保持も含まれるため、これらを分離して考えることが重要である。カロリー制限のみではなく、生活リズム・食事構成・身体活動量・睡眠の4要素を同時に最適化する戦略が専門家により提唱されている。


3つのステップでアプローチ

正月太り解消のプロセスは、大きく次の3つのステップに分類できる。

ステップ1:食生活の切り替え(リセット)

休暇中に乱れた食習慣を元に戻すことが最優先である。具体的には、カロリー過剰を避けると同時に、栄養バランスを整えながら胃腸に負担をかけない食事へと移行する必要がある。特に、野菜主体の食事や食物繊維・ビタミンB群の補給は、代謝を正常化し血糖値の急上昇を抑える効果があるとされる。例えば、色の濃い野菜(ブロッコリー・ピーマン・パプリカなど)は栄養密度が高く、糖代謝を助けるビタミンB1の供給源としても有効であるとされている。

ステップ2:生活リズムの正常化

年末年始の夜更かしや不規則な睡眠は基礎代謝の低下や食欲調節ホルモンの乱れを引き起こす。睡眠不足はホルモン「グレリン」の分泌を増加させ、食欲を高めることが知られており、睡眠時間の確保と規則正しいリズムへの回復が重要である。

ステップ3:身体活動の増加

消費カロリーを増やすことは体脂肪減少の基本である。運動習慣のみならず、日常生活での身体活動量(NEAT:非運動性熱産生)を増やすことが、総消費カロリーを大きく引き上げる効果がある。例えば、階段利用や立つ時間を増やすといった「ながら運動」も燃焼カロリーの増加に寄与する。


食生活の切り替え(リセット)

食生活のリセットにおける基本戦略はいくつか存在する。

正月特有の食習慣をリセット

お正月には「おせち料理」「お餅」「甘酒」など高カロリー・高糖質の食品が多い。これらを摂取した直後は血糖値が急上昇し、インスリン分泌が活発化することで脂肪蓄積が進む可能性があるため、血糖値の急激な上昇を抑える「食べる順序」の工夫が推奨される。野菜などの食物繊維を最初に、次にタンパク質源を摂取し、最後に炭水化物を摂る方法は血糖値変動を緩和し、脂肪蓄積を抑える効果が期待される。

カリウムの摂取

高塩分食が続くことで体内のナトリウム濃度が高まり、水分を保持しやすくなる。そのため、カリウムを多く含む食品(バナナ・ほうれん草・海藻類)を積極的に取り入れることで体内のナトリウム排出が促進され、むくみの改善に役立つとされる。

「ベジファースト」の徹底

食事において「ベジファースト」(最初に野菜を摂ること)は食後血糖値の上昇を抑え、インスリン感受性を改善しやすいとする栄養学的な見解がある。食物繊維が消化を遅延させるため、満腹感の持続や過食予防にも繋がる。

12時間断食の活用

近年、科学的研究では時間制限食(タイムリストリクテッドイーティング)が体重管理に効果を示すとする報告がある。ただし、体重減少の主因は時間制限ではなく全体のカロリー削減が大きいとする研究結果も確認されている。すなわち、食事時間を制限することはカロリー制御の一手法として有用だが、必須ではなく、個人の生活に合わせて柔軟に取り入れることが重要である。


活動量の段階的引き上げ

年末年始で低下した身体活動量は、急激な運動ではなく段階的な引き上げが継続しやすい。

日常の動作を増やすことが継続のコツ

専門家は、日々の生活の中の「ちょっとした動作」を積み重ねることが長期の体重管理に効果的であると指摘する。例えば、バス停一つ分歩く・階段を積極的に使う・立って行う家事を増やすなどである。これらはNEATとして知られ、無理なく消費カロリーを増やす。

NEAT(非運動性熱産生)を増やす

NEATは、日常生活での立つ・歩く・家事をするなどの活動によって消費されるカロリーで、意識的な運動に匹敵する消費エネルギー増加効果があるとされている。睡眠不足や座位時間の増加はNEATを低下させ、体重増加につながる可能性があるため、まずは日常活動量の改善が推奨される。

大きな筋肉を動かす

筋肉量が代謝に与える影響は大きく、特に下半身の大きな筋肉を使う「スクワット」「ウォーキング」「階段昇降」は基礎代謝の増加に効果的である。筋肉量増加は長期的な体重管理に寄与する。


生活リズムの正常化

正月休み中の夜更かしや昼夜逆転は体内時計の乱れを招き、食欲調整ホルモンや代謝リズムに悪影響を与える。

正月休みの夜更かしや睡眠不足

睡眠不足は基礎代謝を低下させるとともに、食欲促進ホルモン(グレリン)の増加を引き起こすと報告されているため、睡眠時間を確保し、規則正しい就寝・起床リズムへの回復が重要である。

睡眠時間の確保

健康的な成人は1日7〜8時間程度の睡眠を心がけることが推奨される。十分な睡眠は、ストレスホルモン(コルチゾール)の抑制にもつながり、過食防止と体重管理の両面で有益である。


正月太りは「増えてすぐ」なら水分や老廃物が主原因

短期間に急激に増えた体重は、脂肪蓄積よりもグリコーゲンの貯蔵・水分保持・老廃物の停滞が主因であることが多い。このため、特定の短期間の食餌制限ではなく、「胃腸の休息」と「歩数を増やす」などの軽負荷活動で元に戻る場合が多い。無理な食事制限や過度な断食は体調不良やリバウンドを引き起こすリスクがあるため注意が必要である。


無理な食事制限ではなく、「胃腸の休息」と「歩数を増やす」

過度なカロリー制限や極端なダイエット法は、消化器系への負担や代謝機能の低下を招く可能性があるため、一般的な専門家はこれを推奨していない。適度な食事の制限と同時に、胃腸への休息を兼ねた軽い断食や、日常生活での歩数増加によるNEAT増加が推奨される。


今後の展望

今後の研究では、短期的体重変動と長期的な健康影響を分離して評価する必要がある。また、個人の生活背景や体質に応じたカスタマイズ可能な体重管理アプローチの確立が期待される。循環器疾患や糖尿病といった慢性疾患リスクの観点からも、正月太りを単なる短期イベントとして捉えるのではなく、長期的な生活習慣改善の契機とする視点が重要である。


まとめ

正月太りは短期的な食生活の過剰・活動量の低下・生活リズムの乱れによって生じる現象である。これを解消するには、食生活のリセット・活動量増加・生活リズムの正常化の3つのアプローチが有効であり、専門家・医療機関の指導に基づくバランスの取れた生活習慣が必要である。短期間の過度な制限ではなく、持続可能な方法を選択することが長期的な健康につながる。


参考・引用リスト

  1. 正月太りの対処法とリセット術(マイナビニュース)

  2. 医師による正月太りのリセット術詳細(マイナビニュース)

  3. 正月太りの基礎知識と対策(健康管理検定)

  4. 正月太りリセットの一般的ガイド(いよめも)

  5. 日常活動での体重管理(EatingWell NEAT)

  6. 断食と体重減少の最新研究(EatingWell)


以下は「正月に体重が増加しやすい理由」「日本人と正月の関係」「正月太り対策の”本質”」について、学術的・文化的・生理学的観点を交えつつ詳細に論述する。


正月に体重が増加しやすい理由

正月に体重が増加しやすい理由は、単一の要因ではなく、生理学的要因・行動科学的要因・社会文化的要因が同時に作用する複合現象である点に特徴がある。これは単なる「食べ過ぎ」では説明しきれない。

摂取エネルギーの急増と栄養構成の偏り

正月期間に摂取される食品の多くは、糖質・脂質・塩分が高いという共通点を持つ。おせち料理は保存性を高める目的から砂糖やみりん、醤油を多用し、餅は高GI食品であり、少量でも血糖値を急上昇させやすい。さらに、アルコール摂取量の増加もエネルギー過剰に拍車をかける。

重要なのは、これらの食品が「嗜好性が高く、満腹中枢を刺激しにくい」点である。甘味・脂質・塩味の組み合わせは報酬系を強く刺激し、必要以上の摂取を引き起こしやすいことが行動栄養学の分野で指摘されている。

活動量(消費エネルギー)の顕著な低下

正月は年間でも特に身体活動量が低下しやすい期間である。通勤・通学がなくなり、寒冷環境によって外出頻度も減少する。結果として、1日の総歩数は平常時の半分以下になるケースも珍しくない。

特に問題となるのは、運動不足そのものよりも、NEAT(非運動性熱産生)の大幅な低下である。日常の移動・立位・家事といった活動が消失することで、気づかぬうちに消費エネルギーが数百kcal単位で減少する。

睡眠リズムとホルモン環境の変化

正月期間中は夜更かしや朝寝坊が常態化し、概日リズム(体内時計)が乱れやすい。これにより、食欲を調整するホルモン(レプチン・グレリン)の分泌バランスが崩れ、空腹感が増大することが知られている。

また、睡眠不足はインスリン感受性を低下させ、同じ食事量でも脂肪蓄積が起こりやすい状態を作る。この影響は数日間の睡眠乱れでも顕在化するため、短期休暇であっても体重増加に直結する。

水分貯留とグリコーゲン増加による「見かけの体重増加」

正月太りの初期段階では、増加した体重の相当部分が脂肪ではなく水分である場合が多い。糖質摂取量が増えると、肝臓や筋肉にグリコーゲンが蓄えられ、それに結合する形で水分が保持される。加えて、塩分過多による体液貯留も体重増加を助長する。


日本人と正月の関係

正月太りを理解する上で、日本人と正月の文化的関係性を無視することはできない。

正月は「非日常」を許容する文化装置

日本における正月は、単なる休暇ではなく、日常の規範から一時的に解放される特別な期間として機能してきた。古来より正月は「ハレ」の時間であり、労働や節制から離れ、豊かさを享受することが肯定されてきた。

この文化的背景は現代にも引き継がれ、「正月くらいは食べていい」「今だけは仕方がない」という認知を生みやすい。これは心理学的にはライセンス効果(moral licensing)と呼ばれ、自己制御の緩和を正当化する要因となる。

正月料理に込められた意味と栄養的現実

おせち料理は本来、保存性と縁起を重視した合理的な食文化であった。しかし、現代の栄養環境においては、保存の必要性が薄れたにもかかわらず、高糖質・高塩分構成だけが残存している。

つまり、正月料理は文化的価値と栄養学的合理性が乖離した状態にあり、これが現代人の体重増加リスクを高めている。

「家族」「団らん」と摂食量増加の関係

正月は家族や親族が集まり、長時間の会食が行われやすい。社会的摂食(social eating)は、単独摂食に比べて摂取量が増加することが多くの研究で示されている。会話や雰囲気により満腹感の知覚が遅れ、結果として過剰摂取につながる。


正月太り対策の「本質」

正月太り対策の本質は、「短期間で体重を戻すこと」そのものではなく、体重増加を引き起こす構造を理解し、過剰反応しないことにある。

正月太りの多くは「病的肥満」ではない

正月明けに増加する体重の多くは、脂肪として固定化されていない一過性の変化である。この段階で極端な食事制限や過度な運動を行うことは、むしろ代謝適応やリバウンドを招くリスクが高い。

本質的には、体重よりも生活リズムと消化器機能を元に戻すことが優先されるべきである。

正月太り対策は「減らす」より「戻す」

正月太り対策は、新しいことを始める行為ではなく、元の状態に戻す行為である点が重要である。具体的には以下が本質となる。

  • 食事量を「減らす」のではなく「平常化」する

  • 運動を「増やす」のではなく「日常活動を再開」する

  • 睡眠を「改善」するのではなく「本来のリズムに戻す」

この「リセット思考」が欠如すると、正月太りは毎年繰り返される。

胃腸の回復と体内環境の正常化が鍵

正月期間は消化器系が酷使されている。したがって、対策の中心は脂肪燃焼ではなく、胃腸の負担軽減と体液バランスの是正である。食物繊維、発酵食品、十分な水分摂取、カリウム補給といった要素は、この回復過程を支える。

正月太りは「生活習慣を点検するシグナル」

正月太りが長期間解消されない場合、それは単なるイベント性体重増加ではなく、基礎的な生活習慣が崩れている兆候である可能性が高い。正月は年に一度、自身の食行動・活動量・睡眠を客観視する機会でもある。


総括

正月に体重が増加しやすい理由は、
高エネルギー摂取・低活動量・生活リズムの乱れ・文化的許容が同時に重なるためである。
日本人にとって正月は「特別であること」が前提の期間であり、正月太りは文化と生理の必然的帰結とも言える。

正月太り対策の本質は、
焦って減らすことではなく、冷静に元に戻すことであり、
無理な制限よりも、胃腸の休息・歩数の回復・睡眠の正常化が最も合理的な解決策である。

正月太りは失敗ではなく、生活習慣を再調整するための毎年のリマインダーであると位置づけることが、長期的な健康管理において最も重要である。

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