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コラム:衆議院選2026、各党の外国人政策

外国人政策は経済、社会保障、人権、安全保障といった複数の政策課題と相互に関連しており、今後の政策形成において重要な位置を占めることが予想される。
高市総理(Getty Images)
現状(2026年1月時点)

2026年1月時点で、日本では外国人に関する政策が衆議院選挙の主要争点の一つとなっている。特に外国人労働者数が過去最多を更新し、労働市場への影響や人口減少・社会保障制度への負担の議論が活発化している。外国人政策は単純な移民受け入れだけでなく、不法在留者対策、在留管理、土地取得規制、権利保障、共生社会の形成など複数の側面から争点化している。これに伴い、有権者の間でも外国人関連の政策に対する関心が高まっている。報道によると、物価高対策と並んで外国人政策は主要な争点として注目されている。

日本の在留外国人は2020年代中盤以降増加傾向が続いており、政府統計や労働市場データで外食・介護・建設など複数の産業分野で労働力として不可欠であると認識されている一方で、社会的摩擦や安全保障上の懸念を指摘する意見も存在する。また、排外主義的な言説やヘイトスピーチに対する批判もある。人権団体は選挙戦の過程で、外国人人権を守る必要性を強調している。

2026年2月8日投開票

2026年1月27日に公示された衆議院選挙は、2月8日投開票の予定であり、与野党は12日間の選挙戦を展開している。この選挙では、従来の経済政策・外交安全保障とともに、外国人政策が有権者の注目を集めていると報じられている。外国人政策が争点化する背景には、人口減少・労働力不足問題と、それに対する政策的対応の分岐点がある。

この選挙では、自由民主党(自民)と日本維新の会(維新)による連立政権に対して、中道改革連合(立憲民主党と公明党の合同新党)や野党各党が対抗する構図となっている。外国人政策についても、各党は立場を鮮明にし、有権者の支持を争っている。

各党の外国人政策

各政党の外国人政策は、理念や立場により大きく異なる。一般に、外国人政策は「推進・共生重視」と「慎重・厳格化重視」の二つの傾向に分類できる。

推進・共生重視(労働力確保と権利保護)

自由民主党

自由民主党は長年日本政治の中核を占める保守政党であり、今回の衆院選公約でも外国人に関する条項を含めている。その基本的立場は、外国人が日本社会において「社会の一員」として活動できる環境整備を促進しつつ、不安や不公平感の解消を図ることである。公約では、出入国在留管理や税・社会保障等の制度改革を通じて、外国人の住宅・土地取得や所有者把握について見直すと記載されている。さらに、外国人が文化やルールを理解し社会参加できる環境整備を進める旨が示されている。

自民党では政策の基本において、国民生活の安定と社会秩序の維持を掲げており、外国人労働者の受け入れについてもルールに基づく適正化を強調する。ただし、近年の党内外の討論では、受け入れ数の上限や秩序ある管理を設定するべきという議論も存在し、党内で意見が分かれている。近年、首相が外国人受け入れ数の「上限設定」や不法在留者対策の強化を語る発言が報道されていることもあり、その実務設計は今後の国会議論に委ねられる部分が大きい。

中道改革連合(立憲民主党・公明党の新党)

中道改革連合は2026年1月に立憲民主党と公明党が合流して結成された勢力であり、中道的・包摂的な政策を志向している。党綱領では、多文化共生・包摂社会の実現を掲げており、人権尊重や差別禁止、外国人を含む多様な住民との共生を重視しているとされる。

この立場は、労働力確保のための移民政策を前向きに位置づけるだけでなく、外国人の権利保障や社会参加支援に重点を置く。公明党の従来の立場を引き継ぎ、国際協調・平和主義の文脈から外国人の共生を強調する姿勢が見られる。

日本共産党

日本共産党は外国人政策を人権・共生の視点から策定し、排外主義への反対を明確にする。共産党は入管制度の抜本的改革を訴え、外国人労働者を単なる労働力とみなすのではなく、権利と尊厳を保障しつつ地域社会で共生する環境整備を主張する。

この立場は、外国人に対する差別や排外的言説を否定し、社会的包摂と相互理解を基盤とする政策形成を重視する。難民保護や在留資格の透明性向上、差別禁止法の制定など法的保護の強化を重視することが特徴である。

社会民主党

社民党も左派系政党として、外国人の人権や生活保障を重視する立場を取る。共生社会の形成や差別禁止、社会保障制度への包括的参加を訴える。社民党はリベラル政策を基盤とし、外国人を地域社会の一員と認める観点に立った政策を提案している。

慎重・厳格化重視(制限と適正化)

日本維新の会

日本維新の会は改革志向の中道右派政党であり、外国人問題については慎重な立場を採る傾向がある。維新は外国人の受け入れを全面禁止するのではなく、適正化と秩序ある管理を重視する。具体的には、不法滞在対策や社会保険未納外国人への対応、医療保険制度への不正利用防止などを含む「秩序ある管理」の徹底を主張する。

また、土地取得や重要インフラ周辺の規制について安全保障上の観点から見直す立場をとることが示唆されている。

国民民主党

国民民主党も外国人政策のうち一定の制限を主張する党であり、外国人による不動産取得の規制や社会秩序維持を重視する。特に住居や土地取得に関する法整備を通じて地域社会への影響を適切に管理する必要性を訴えている。

参政党

参政党は強い制限志向を掲げている。公約では外国人総合政策庁の設置や受け入れ総量の厳格化、不法滞在者対策の強化といった強化策を明記している。

日本保守党

日本保守党は保守・ナショナリズム色の強い立場をとり、外国人の受け入れを制限し日本人優先の政策を重視する。外国人により仕事や社会資源が奪われるとの観点から規制強化を訴える政策が顕著である。

日本未来の党

日本未来の党の政策については明確な公約文書が入手困難であるが、右派系政党として外国人規制強化を主張する傾向があると報じられている。政策形成過程で外国人受け入れの制限に重点を置く可能性がある。

特定の規制案

衆院選の議論の中では、次のような具体的な規制案が提示されている。

  • 外国人による不法滞在対策の強化と即時退去措置の明確化

  • 外国人の社会保障未納による在留資格更新制限

  • 重要インフラ周辺や戦略資産に対する土地取得制限

  • 外国人労働者数の総量規制や上限設定

  • 外国人住宅・土地所有者情報の把握強化

これらの案は、安全保障や社会秩序の観点から慎重な対応を求める主張と、権利保障と共生の観点から制度的配慮を求める主張が混在している。

経済活性化のための「開国」

一部の中道・左派政党は、日本経済の低成長と人口減少を背景に、労働力不足解消のための外国人受け入れ拡大(開国)を訴える。外国人労働者の受け入れ拡大は、介護・建設・サービス産業における労働力供給を改善し、地域経済・消費活動の底上げにつながる可能性がある。中道改革連合は外国人の人権と安全を保障しつつ労働・生活環境を整備することで社会課題の解決を目指す。

また、国際ビジネスの促進や留学生受け入れ拡大も経済活性化策として位置づけられている。

国民の生活や安全を守るための「制限」

一方で、慎重派は外国人政策を「制限と適正化」の観点から位置づける。これは外国人の流入を無制限に受け入れることが社会の安全保障や文化同化、社会保障制度への圧力といったリスクにつながるとの認識に基づく。この立場は、秩序ある社会形成と国民生活の保護を強調し、外国人関連事件や社会的緊張を予防する政策形成を訴える。

有権者の反応

有権者の間では、外国人人口の増加や治安、社会保障制度への負担といったテーマに対する関心が高い。また、SNS上で一部過激な主張が注目を集め、外国人受け入れや規制強化を求める声がある一方で、排外主義的な言説に対する批判や人権擁護の立場から外国人の権利保護を訴える動きも見られる。専門家は、外国人をスケープゴート化する政治的議論が社会的分断を深める可能性を指摘している。

課題

外国人政策には以下のような複数の課題が存在する。

  1. 労働市場への適切な労働力配置と受け入れ枠の設計

  2. 社会保障制度への公平な参加と税負担の確保

  3. 在留外国人の権利保障と社会統合の促進

  4. 排外主義やヘイトスピーチ対策を含む社会的合意形成

  5. 安全保障と文化的同化のバランス

これらの課題は、日本が少子高齢化社会を迎える中で、外国人政策を単なる行政手続きの問題としてではなく、社会全体での議論と制度設計が求められる分野としている。

今後の展望

外国人政策は、今後の日本社会における重要な位置を占めると考えられる。長期的には、労働力不足の恒常化や人口減少が続く中で、外国人の社会的役割は一層拡大する可能性が高い。これに対応するには、単一の政策ではなく、受け入れ拡大と適正管理、権利保護と安全保障の両立を図る包括的な戦略が必要である。各党が示す政策は、こうした将来ビジョンに対する有権者の評価を左右する重要な要因となる。

まとめ

本稿では、2026年2月8日投開票の衆議院選挙における外国人政策について、各党の立場を整理し、推進・共生重視勢力と慎重・厳格化重視勢力の対立軸を中心に分析した。労働力確保と共生社会の構築を掲げる勢力と、制限と秩序ある管理を重視する勢力との間で議論が深まっている。外国人政策は経済、社会保障、人権、安全保障といった複数の政策課題と相互に関連しており、今後の政策形成において重要な位置を占めることが予想される。


参考・引用リスト

  1. “2026年衆院選が公示、2月8日投開票:物価高対策、外国人政策など争点”, Japan Data, nippon.com, 2026年1月27日.

  2. 自由民主党 公約・重点政策 – 外国人政策, 自由民主党公式サイト.

  3. “参政党が選挙公約発表 消費税廃止・外国人対策など”, ABEMA TIMES, 参政党公約.

  4. “排外主義の煽動に反対する緊急共同声明”, 日本基督教団公式サイト.

  5. “シリーズ 共産党総選挙政策にみる/ブレずに人権”, しんぶん赤旗, 日本共産党政策.

  6. Reddit 日本維新の会・国民民主党 等の外国人政策言及.

追記:日本の選挙で外国人政策が注目される理由

日本の2026年衆議院選挙において外国人政策が主要な争点となっている背景には、社会構造的・政治環境的・世論動向の複合的要因がある。

第一に、人口減少と労働力不足という構造的課題がある。日本は長期的な少子高齢化によって労働市場で慢性的な人手不足に直面しており、特に介護・建設・製造・サービス業といった分野で外国人労働者に依存する度合いが高まっていると指摘されている。こうした状況は、今までは目立ちにくかった外国人政策を、選挙における主要な政策テーマとして押し上げた。

第二に、社会における外国人増加に対する反応が分裂していることである。在留外国人数は過去最高水準に達しており(約388万人超)、人口全体に占める割合は増加傾向にある。この統計は与野党ともに政策論争の材料となっている。

第三に、SNSやメディアにおける外国人関連の話題の増加が注目度を高めている。具体的には、SNS上で「#外国人問題」「#移民政策断固反対」などの投稿数が他の主要政策ワードを上回るなど、政治討議のオンライン空間で外国人に関する議論が活発になっている。

第四に、経済的な不安や生活実感と結びついた反応がある。国内で物価高や住宅価格の高騰、賃金停滞への不満が強まる中で、外国人労働者や外国資本の存在がしばしば有権者の議論に絡む形となっている。とくに不動産取得や住宅市場に関する議論が政治的な注目を集めている。

これらの背景が重なり、今回の衆院選では外国人政策が単独の社会政策ではなく、経済・治安・文化・社会保障など複数の領域と結び付いて争点化している。


各党の具体的な公約(2026年衆院選時点の整理)

各党の外国人政策公約は、「受け入れ・共生」から「制限・管理」まで幅広い内容を含んでいる。以下は主要政党の姿勢と具体的公約例を整理する(2026年1月時点の公約資料等に基づく)。

自由民主党
  • 受け入れの適正化と秩序ある管理を基本とし、不法在留者対策や社会保険未納問題、在留資格の適正運用を掲げる。

  • 難民認定の迅速化や手続き改善を掲げる一方、外国人ドライバー免許切替や不法就労対策などの厳格化も盛り込む傾向がある。

  • 外国人との共生社会実現に向け「司令塔」設置などを提案する動きが見られる。

中道改革連合(立憲民主党+公明党)
  • 多文化共生社会の実現を基本方針に据え、外国人の権利保障・差別禁止・在留支援を強調する。

  • 在留外国人への生活支援や社会保障への参加促進、地域社会との共生を政策として明記している。

日本共産党
  • 外国人労働者を「労働力」ではなく「共生する社会の構成員」と捉え、人権と差別禁止を重視した政策を掲げる。

  • 難民保護や透明性ある在留管理の制度設計、差別禁止法の制定を提案する。

社会民主党
  • 基本的に外国人の人権保障と社会参加支援を強調し、社会保障制度への包括的な参加権などを公約に含む。

日本維新の会
  • 外国人政策は制限・適正化を軸にしており、外国人受け入れの総量管理や不法滞在対策、社会制度悪用防止策を重点的に掲げる。

  • 土地取得や重要インフラ周辺に関する外国人への規制強化も公約として示唆されている。

国民民主党
  • 適正化と秩序維持を強調しつつ、外国人関連制度の運用改善を訴える。住宅取得や社会保障運用の適正化に関する文言が公約に含まれることがあるが、過度な排外主義的表現は修正された例もある。

参政党
  • 外国人総合政策庁の設置や受け入れ総量の明確化、不法滞在者対策強化などを掲げる。

  • 「日本人ファースト」的なスローガンを掲げることがあり、外国人の社会保障利用制限などの項目を含む。

日本保守党/日本未来の党
  • 外国人の受け入れ制限・規制強化を前面に掲げる保守的立場を取る。

(なお、政党ごとの公約は定期的に修正され得るので、各党の公式マニフェストや政策集の最新版を参照する必要がある。)


排外主義につながるという懸念

外国人政策をめぐる議論が注目される一方で、排外主義へとつながる危険性に対する懸念が国内外の人権団体や専門家から指摘されている。

1. 排外主義的言説の増加

SNSや選挙戦において、「外国人優遇」や「外国人の排除」を強く訴えるフレーズが拡散しており、これが排外主義につながるという懸念が表明されている。ある報道では、外国人の権利縮小を主張する政党があり、専門家はそれが「排外主義に結び付きかねない」として警鐘を鳴らしている。

2. 人権団体・NGOの懸念表明

日本基督教団やアムネスティ東京など複数のNGOが、選挙期間中に排外主義的な煽動への反対声明を出している。これらの声明では、外国人や難民が「選挙権を持たない社会的弱者」であり、排外的な政策論争が差別や社会分断を助長する可能性が強く指摘されている。

3. 政治的ポピュリズムとの結び付き

報道によれば、日本の一部の極右・ポピュリスト政党が「日本人ファースト」などのスローガンを掲げ、外国人への強硬な規制を訴え、2025年の参議院選挙で議席を増やした事例がある。このような政治勢力の躍進は、経済不安や安全保障不安を背景とした排外的な感情の政治利用を示唆している。

4. 社会的分断の可能性

専門家は、漠然とした不満や経済的困難を外国人への不満に転嫁することが、事実に基づかない恐怖や誤解を助長し、長期的には社会の分断を深める危険性を指摘している。排外主義的な議論が主流化すると、外国人住民の日常生活や安全、人権が損なわれる可能性もあるとされる。

こうした懸念から、政策形成においては排外主義と人権尊重のバランスを如何に保つかが重要な課題として提起されている。


まとめ
  • 外国人政策が2026年衆議院選挙で注目される背景には、日本社会の人口構造・労働市場・SNS等での議論の活発化・経済的な不満といった複合的要因がある。

  • 各党は外国人政策をめぐって受け入れ・共生から制限・管理まで幅広い公約を提示しており、政策間の違いは理念のみならず具体的手法にも及ぶ。

  • 一部の主張は排外主義的言説と結び付きやすいとして、国内外の人権団体や専門家から強い懸念の声が上がっている。


参考文献・資料

  1. 権利縮小か共生か、外国人政策が論点化 「排外主義つながる」懸念も – 朝日新聞(2025年7月).

  2. 外国人政策が参院選の争点に「受け入れにルール」「規制強化」「共生」 – テレビ朝日(2025年7月).

  3. SNSで注目『外国人』参院選も終盤のいま関心が高まる理由は? – テレビ朝日(2025年7月).

  4. 参院選の注目点③:共生社会の実現と外国人労働の活用 – 野村総合研究所(2025年7月).

  5. 「外国人政策」各党の公約(難民支援協会まとめ) – 認定NPO法人 難民支援協会(2026年1月).

  6. NGOによる排外主義の煽動に反対する共同声明 – 日本基督教団外キ協(2025年7月).

  7. アムネスティ日本による排外主義懸念表明 – アムネスティ日本(2025年7月).

  8. “Japanese First” backlash sparks fears of anti-foreigner backlash in Japan – The Guardian(2025).

  9. Far-right party gains on anti-immigration stance – AP News(2025).

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