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環境に優しいトイレットペーパー、実際のところどうなの?

トイレットペーパーという日常的な消費財であっても、その環境負荷を見直すことは、資源利用や温室効果ガス排出の削減に繋がる可能性がある。
トイレットペーパー(Getty Images)

米国で環境に優しいとされるトイレットペーパーの人気が高まっているが、その実際の環境負荷は製品によって大きく異なることが専門家の分析で明らかになっている。家庭で数秒間使われた後に廃棄されるトイレットペーパーは、一般的に木材パルプを原料とし、高いエネルギー消費と化学処理を伴う製造プロセスが環境に負荷を与えてきた。このため消費者の間で、リサイクル素材や持続可能とされる素材を使った製品への関心が高まっているという。

伝統的なトイレットペーパーはカナダ産の木材やブラジルのユーカリのプランテーションを原料とし、白い紙をつくるために塩素系の漂白剤が使われることが多い。これには大量の電力と熱が必要であり、環境への負荷が指摘されてきた。こうした背景から、消費者は森林資源の消費を避けるため、リサイクル紙や代替素材に注目している。

特にリサイクル素材を用いたトイレットペーパーは環境面での利点が大きいとされる。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学は、リサイクル紙は地球上で最も再生が容易な素材の一つであり、リサイクルコンテンツを使うことが持続可能性を高める第一歩であると指摘する。エコラベルや第三者の評価も、消費者が環境負荷の少ない製品を選ぶ際の目安になるとしている。森林管理協議会(FSC)や持続可能な林業イニシアティブ(SFI)といった認証を受けた製品は、水資源保全や生物多様性維持を含む基準を満たしており、環境的な裏付けがあるとされる。さらに、環境団体NRDC(自然資源防衛協会)は毎年トイレットペーパーの環境評価報告を行い、漂白に塩素を使わない、リサイクル素材を多く含む製品を高評価するなど、消費者向けの指標を提供している。

一方で、環境に良いとされる代替素材にも注意が必要だという。急成長する竹を原料としたトイレットペーパーは一般に「エコ」として売られているが、原料としての成長の速さだけで判断できないという指摘がある。米ノースカロライナ州立大学によると、製造過程で使用されるエネルギー源が環境負荷に影響し、中国で生産された竹トイレットペーパーは、石炭火力に依存した電力を使っているため、米国産の森林パルプ製品より環境負荷が大きい場合があるとする。再生可能エネルギーを使った地域で生産されれば環境負荷は低減できるが、単純に原料だけを見て判断することはできないとしている。

また、トイレットペーパーの消費そのものを見直す動きもある。日本や欧州で普及しているビデ(温水洗浄装置)は、紙の使用量を大幅に減らす手段として注目される。電力を使わずに取り付け可能なビデ装置でも十分に紙の使用を削減できるため、環境への負荷をさらに下げる選択肢として推奨されている。

ただし、環境配慮型トイレットペーパーは一般的に通常製品より価格が高い。米オレゴン大学は、消費者が継続的にエコ製品を選ぶことにより市場の需要が高まり、規模の経済が働いて価格が下がる可能性があると指摘する。つまり持続可能な製品の普及には消費者の意識と購入行動が重要であり、企業が環境配慮型製品の生産を拡大するインセンティブにもつながるという。

トイレットペーパーという日常的な消費財であっても、その環境負荷を見直すことは、資源利用や温室効果ガス排出の削減に繋がる可能性がある。消費者が持続可能性を理解し、適切な情報に基づいて選択することが求められている。

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