コラム:レインボーの魅力、「ロマンティックコント」で人気急上昇
レインボーは結成10年という時間をかけて「舞台での磨き」「テレビでの経験」「デジタルでの蓄積」を並行して進め、ついにキングオブコント2025で決勝進出という大きなマイルストーンを達成した。
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レインボーとは
「レインボー」は吉本興業所属のお笑いコンビで、ジャンボたかお(ツッコミ担当)と池田直人(ボケ担当)による二人組である。明るく覚えやすいコンビ名とラジオ好きという共通点を持ち、2016年に結成して以降、舞台、テレビ、YouTubeを横断するかたちでファンを拡げてきた。結成年や所属事務所、メンバープロフィールは吉本やM-1公式プロフィール等で確認できる。
ジャンボたかお(ツッコミ担当)とは
ジャンボたかお(本名・実方)は1989年生まれで千葉県出身。体格が良く大きな存在感を持つ人物で、舞台上では主にツッコミを担い、相方の池田が作る濃いキャラクターや設定に対して「現実寄り」の反応を返すことでテンポとコントの温度感を保つ。個人としてドラマ出演や書籍・映画などでも活動実績がある点が特徴だ。吉本の公式プロフィールや各種メディアにおける出演履歴でこれらの活動が確認できる。
池田直人(ボケ担当)とは
池田直人は1993年生まれ、大阪府出身。ビジュアルや女装を使ったキャラ立ち、繊細な演技で観客の共感や笑いを引き出すボケ担当である。演技や演出面での表現力が高く、単体でのドラマ出演・演技的な活動も行っている。SNSや個人活動を通じての人気がライブ動員に直結したエピソードも報じられており、コンビ内での役割分担だけでなく、個人の魅力がコンビの露出を押し上げる重要な要素になっている。
芸歴(結成から現在まで)
レインボーは2016年に結成され、以降ライブハウスや劇場での活動を基盤にしてキャリアを積んできた。2018年1月1日放送の日本テレビ「ぐるナイ おもしろ荘」で優勝し注目を集めたが、その後も軌道に乗るまでに紆余曲折があったとされる。YouTubeの台頭や個人のSNS人気などを契機に、伝統的なテレビ露出とデジタルでのファン獲得を併行して進め、2020年代に入ってからはテレビ番組出演、ラジオレギュラー、映画やドラマ出演などフィールドを広げていった。2025年にはキングオブコントで初の決勝進出を果たすなど、結成から約10年を経て大きな飛躍を迎えた。
芸風(ネタ作り・キャラクター・傾向)
レインボーの芸風は「物語型のコント」と「キャラクターの濃さ」を核にしている。池田が作るボケキャラクターはしばしば過剰でコミカルな設定をまとい、ジャンボがその設定を「現実の窓口」として冷静にツッコむことで笑いの反動を生むコンビネーションを多用する。女装や細部まで作り込んだ世界観を用いることがあり、視覚的な強さと台詞の「間」の取り方が評価されやすい。企画段階ではラジオ的な構成や声の間合いを重視する傾向があり、YouTube向けに長尺のコントを制作できることを活かして、テレビでは切れ味を求められる2〜3分コントと、配信では10分前後のドラマ仕立てのコントを使い分ける柔軟性を持っている。舞台上のリアクションや声の抑揚に強みがあり、「ロマンティックコント」のように男女の駆け引きをテーマにした作品で新たな評価を受けている。芸風の評価はメディア報道や視聴者レビューからも窺える。
主な実績(大会優勝、メディア出演など)
代表的な実績は以下である(抜粋)。
2018年「ぐるナイ おもしろ荘」優勝。これにより全国的な注目を得た。
2023年頃からフジテレビのネタ番組や話題のコント番組で評価を受け、2025年には「キングオブコント2025」で初めて決勝進出を果たし、ファイナリストとしてテレビ生放送の舞台に立った。決勝進出はコンビにとって大きな節目となった。
テレビ出演:『水曜日のダウンタウン』『千鳥のクセがスゴいネタGP』などのバラエティ。
映画・ドラマ:個別の出演作(ジャンボ、池田それぞれのドラマ・映画クレジット)を持つ。
上記以外にもイベントや地域番組、地方局出演など多数の実績があり、舞台とデジタル双方での実績が連動している点が特徴だ。
2025年「キングオブコント」で初の決勝進出
2025年10月放送の「キングオブコント2025」において、レインボーは初の決勝進出を果たした。これは結成から約10年目での快挙であり、コンテストのテレビ生放送における大型舞台に到達したことを意味する。TBSやお笑いニュース各媒体では、ファイナリストの一組として紹介され、コンビは「いつ俺らの番が来るのか」と語っているなど、メディアでのインタビューも多数掲載された。この決勝進出は、コンビのテレビ露出と配信人気が相乗効果を生んだ一例として注目される。
YouTube・ラジオ・その他デジタル活動(実績とデータ)
レインボーはデジタルプラットフォームを戦略的に活用して人気を拡大した。代表的なYouTubeチャンネル「レインボーコントチャンネル」は2025年時点で登録者数が百万人規模に達しており、各種統計サイトの記録では約1.7〜1.74百万人前後の登録者数が報告されている(変動あり)。チャンネルでは短編・長編コント、メイキング、舞台裏動画など多様なコンテンツを投稿しており、再生回数の累計も億単位に達している。YouTube上の人気がライブ動員やテレビ側の注目につながった好例である。
ラジオでは一部番組でレギュラーや単発出演を行っている。例えばTOKYO FM系列の番組にレインボーが登場したり、地域ラジオやポッドキャスト的な番組に出演することで「声」を活かしたファンとの接点を作っている。音声コンテンツはZ世代の利用状況と相性が良く、ラジオ的なトークを基盤にしたコンテンツ作りは彼らの強みを補完している。
デジタル活動の重要性については学術/業界の分析でも示されており、YouTubeを中心としたプラットフォーム運用が若年層へのリーチ、広告プロモーション効果、オフライン動員増加に寄与することが複数の調査で指摘されている。レインボーの戦略はこうした市場動向と整合している。
結成背景から大きな転機まで
結成は東京NSC18期の同期関係からであり、池田がジャンボを誘って2016年にコンビを組んだことがルーツだ。結成後の転機としては、2018年のおもしろ荘優勝が最初の大きな注目点だが、その後「テレビだけで勝てるわけではない」という現実に直面した。個人活動(特に池田のSNSや個人仕事)によるファンの流入があり、それがコンビのライブ動員を支えながらも、セットの作り方や仕事の分配で内部摩擦が生まれたという報道もある。YouTubeでの本格展開を行い始めた時期が第二の転機で、長尺のコントや視聴者に直接届く企画を重ねることでデジタル上の熱量を高め、最終的にキングオブコント2025の決勝へと至った。
コンビ固有の課題
レインボーが抱える課題は複数ある。まず「テレビとYouTubeで求められる表現の違い」をどう折り合わせるかという点だ。テレビは短時間での切れ味と即効性を重視し、YouTubeは長尺でドラマ性を活かすことができる。両者を同時に回すには制作体制やネタストックのマネジメントが必要になる。
次に「個人活動の扱い」で、池田の個人人気がコンビに利益をもたらす一方で、不均衡感が内部摩擦を生むリスクがある。実際、メンバー間で仕事の受け方やプロモーションの露出量に差が出るケースは業界内でも見られる。さらに、急速な人気拡大に伴う過労や作家・スタッフとの関係性構築、そしてネタの鮮度維持も重要課題だ。これらを制度的・戦略的に解決することが中長期的な成長にとって鍵になる。
男女の駆け引きをリアルに描いた「ロマンティックコント」
レインボーが特に評価を得ているのが、男女の心理や駆け引きを笑いに変える「ロマンティックコント」だ。恋愛のぎこちなさ、言葉の裏の思い、許容や嫉妬といった微妙な感情をコント化し、観客に「痛いところを突く」共感と笑いを同時に与えることに成功している。この種のコントはただのギャグ連打ではなく、演技力・テンポ・作り込みが必須であり、池田の女装や細やかな演出、ジャンボのツッコミによる現実回帰が相互作用して高い完成度を生んでいる。観客の共感を得やすいテーマ設定が、テレビでも配信でもウケる理由の一つになっている。
専門家データを交えた分析
学術論文や業界レポートは、2000年代以降のお笑い文化が「場」と「媒体」の多様化によってパラダイムシフトを起こしていると指摘している。特にYouTubeやSNSの浸透は、若年層のメディア接触行動を変え、テレビ以外での人気がテレビ露出に波及するという現象を生んでいる(学術論文および業界レポート参照)。また、デジタル広告やインフルエンサー型プロモーションの研究は、芸人のYouTube運用が商品訴求や若年層へのリーチに有効である点を示しており、レインボーのようにYouTubeで大きな基盤を作る芸人は広告・イベント面での価値が高まる。これらの学術/業界データは、レインボーの戦略的なデジタル活用を裏付ける。
今後の展望(短期〜中期)
短期的にはキングオブコント2025での決勝進出を受けたテレビ露出の増加、スポンサー案件の拡大、ライブ動員の増加が期待される。中期的には、YouTubeでの安定したクリエイティブ供給体制を維持しつつ、ドラマや映画、舞台といった演技方面での活躍を増やしていくことが考えられる。個人活動とコンビ活動のバランスを取りながら、プロデューサーや作家を適切に配置し、ネタ作りの質と量を保つことが成長の鍵になる。デジタルを基盤にしたファンマーケティングやグッズ展開、チケット販売の最適化などマネタイズの強化も視野に入る。
今後の展望(長期)
長期的にはテレビとデジタルの二足の草鞋を成功させた「新しい型のコント師」としてのポジション確立が狙いどころだ。具体的には、オリジナル長編コント映像の配信プラットフォーム展開、主演ドラマや映画での主役級の起用、フェスや大規模ライブでの常連化などが考えられる。また、YouTubeで得たデータ解析を活かしてファン層細分化を行い、ターゲットごとの商品やライブ企画を設計する「エンターテインメント・ブランド」化も可能性としてある。組織的には制作チームの拡充や、外部クリエイターとのコラボによる横展開が重要になる。業界のデジタル化トレンドを踏まえると、これらの取り組みは現実的な成長ルートである。
総括
レインボーは結成10年という時間をかけて「舞台での磨き」「テレビでの経験」「デジタルでの蓄積」を並行して進め、ついにキングオブコント2025で決勝進出という大きなマイルストーンを達成した。
ネタ制作体制の整備:テレビ向け短尺、配信向け長尺の両立を生産的に回す仕組み作りを行う。
個人活動との最適化:個人人気をコンビの資産に変換するためのプロモーション戦略を練る。
デジタルデータの活用:YouTube視聴データやSNSインサイトを活用してファン育成とマネタイズを図る。
健康管理と労務体制:急増する仕事量に対処するためのスケジュール管理と休養確保を制度化する。
これらを実行することで、レインボーは「ネタの質」と「市場での強さ」を同時に維持し、次のフェーズへと進めるはずだ。学術的・業界的な分析は、デジタル時代の芸人には制作力とプラットフォーム運用力が不可欠であると示しているため、レインボーの現在の方向性は合理性が高い。
参考(主要出典)
吉本興業プロフィール、コンビ概要。
- TBS「キングオブコント2025」ファイナリストインタビュー(決勝進出報道)。
YouTubeチャンネル統計(yutura等の集計、2025年データ)。
お笑い関連業界/学術資料(YouTube・デジタル時代の芸人戦略に関する研究・レポート)。
以下に「YouTubeの日別推移表」「主要テレビ出演の年表」「キングオブコント(2025)でのネタ内容分析」を追記する。
YouTube(日別推移表)
以下は、公式チャンネル「レインボーコントチャンネル」および公開データサイトの記録を元にした日別の登録者数・再生数の推移抜粋(2025年10月〜2025年12月)である。公開データは日々変動するため、取得元のスナップショット日時に基づく数値である(出典:公式YouTubeチャンネル、Yutura、SNS報告、SocialBladeの公開ページを参照)。表示は「日付|登録者数(およそ)|直近公開動画の1日再生数の目安(代表値)」の順で示す。
| 日付 | 登録者数(概数) | 直近公開動画の1日再生数(代表値) | 備考(データ元) |
|---|---|---|---|
| 2025-10-01 | 1,660,000 | 80,000〜300,000 | KOC予選〜本戦前で急増、メディア報道あり。 |
| 2025-10-10 | 1,660,000〜1,670,000 | 150,000〜500,000 | キングオブコント決勝直前の注目増加。 |
| 2025-10-11 | 1,660,000〜1,670,000 | 決勝ネタ動画:初日で数十万〜百万再生台 | KOC決勝当日のテレビ露出と連動して急伸。公式決勝動画確認あり。 |
| 2025-10-12 | 1,665,000 | 200,000〜800,000(再生累計の伸びが顕著) | テレビ放送後のアーカイブ再生が大量。SNS拡散。 |
| 2025-10-31 | 1,670,000 | 20,000〜100,000 | 放送効果の余波で登録者は維持〜緩増。 |
| 2025-11-10 | 1,675,000 | 10,000〜80,000 | 定常投稿で安定した再生。週次で新作コントを投稿する運用。 |
| 2025-11-29 | 1,700,000〜1,704,000 | 日次再生数:数万〜十数万 | Yuturaの30日推移での記録(例:2025/11/29 登録者 3,042 と表示の箇所はサイト固有の表示形式。実際の公式登録者は100万台後半〜170万台)。 |
| 2025-12-01 | 1,704,000(目安) | 日次:数万〜 | 年末向けの露出・ライブ告知で上下動。 |
※注記:
上表の「登録者数」は、公式チャンネル表示・SNS告知・集計サイト(Yutura、SocialBlade、公式Xアカウント等)の一致する時点の値を参考にして概数を示している。集計サイトにより更新タイミングや桁丸めが異なるため、±数万〜十万の誤差が生じる場合がある。
再生数の「代表値」は、投稿されたコントのタイプ(短尺・長尺・企画映像)や拡散状況で大きく振れるため幅を持たせている。KOC決勝時はテレビ露出の相乗効果で瞬間的に数十万〜百万台の再生を記録するケースが複数見られた。
日別推移の読み取り(分析)
テレビ露出(特にキングオブコント)と連動した急上昇が確認できる。KOC決勝直後は決勝ネタの視聴・拡散で登録者増と再生急伸が発生している。
日常的な投稿頻度の高さ(毎日〜週数回の投稿)により、放送外でも新規視聴者を獲得しやすい循環が成立している。これはチャンネル成長に寄与している重要因子である。
長尺コントと短尺の併用で視聴層を広げており、長尺は熱心なファンの滞在時間を伸ばし、短尺は短時間の拡散を生む。これが再生数の安定化に資している。
主要テレビ出演の年表(抜粋・年次順)
以下は、公開情報(公式プロフィール、メディア報道、各局公式アーカイブ)を基に整理した主要なテレビ出演の年表(抜粋)である。常に露出が増えているため、地方番組や単発出演は省略し、代表的な全国放送や重要な節目のみを列挙する。
| 年 | 番組・出演内容 | 補足(役割・意味合い) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2016 | コンビ結成(2月23日) | NSC出身でコンビ結成。以降ライブ中心に活動。 | 各種メディア |
| 2018 | 日本テレビ『ぐるナイ おもしろ荘』出演・優勝 | 全国的なブレイクの入口。以降テレビ露出が増加。 | 各種メディア |
| 2019〜2022 | バラエティ単発出演(『水曜日のダウンタウン』等) | ネタ見せや企画で継続的に露出。 | メディア記事・出演履歴。 |
| 2023 | レギュラー/準レギュラー出演や特番出演増 | デジタル人気と連動して地上波のオファーが増加。 | メディア報道。 |
| 2025-10 | TBS『キングオブコント2025』決勝進出(初) | KOC決勝で全国的注目度が大幅上昇。決勝は生放送で視聴者数増。 | TBS、公式動画、メディア。 |
| 2025-10以降 | 決勝後の特番出演・トーク番組出演が増加 | テレビとYouTubeの相乗効果で露出継続。 | メディア記事。 |
年表の読み取り(分析)
2018年のおもしろ荘優勝が“第一の跳躍”であり、その後の地道な舞台活動とYouTube運用が「土台」を作った。
2025年のキングオブコント決勝進出が“第二の跳躍”となり、短〜中期的なテレビ露出拡大とデジタル観客の流入を同時にもたらした。特に生放送の舞台に立ったことで一般視聴者層へリーチが拡大した。
キングオブコント2025でのネタ内容分析(決勝・2本の構成を中心に)
レインボーはキングオブコント2025決勝で2本のネタを披露し、最終的に大会で上位を獲得した(決勝進出・3位などの最終順位は大会公式に基づく)。ここではネタの題材、構成、演技・間、音響演出、笑いの源泉、観客受けの要因を整理する。映像は公式YouTubeにファイナリスト動画が公開されており、放送後の配信版も確認できる。
(A)1本目:合コン/「合コンに回しの上手い女芸人」的設定
概要
舞台設定:合コンの場。女芸人(池田の女装含む)が「場を回す」能力に長けており、男性陣(ジャンボ含む)がその「回し」に翻弄される構成。
テーマ:男女の駆け引き・恋愛心理の“痛み”と“すれ違い”を笑いにするロマンティックコント的要素。
構成・演出の要点
導入(設定提示):合コンという狭い場面を提示し、登場人物の立ち位置(イニシアティブを握る女芸人、リアクターの男性等)を速やかに示す。観客は場面を瞬時に把握できる。
中盤(ズレの蓄積):女芸人の“回し”が巧みで、男性の言葉や行動がすべて意図的に受け流される描写を重ねる。ここで池田の細かな表情・身体の使い方が効く。
クライマックス(反転・見せ場):一見“勝ち”に見える女芸人の技が、実は観客にとって痛快であると同時に、登場人物の内面のひずみを露出させることで笑いと共感を生む。
オチ(余韻):短く効かせる形で余韻を残し、観客の笑いを持続させる。
演技・テクニック分析
キャラクター作り:池田の女装・細かい表情により「回し上手」というキャラが視覚的に成立している。ジャンボは“現実回帰”のツッコミ役で、観客の立ち位置を代弁する。
間(テンポ):会話の間合いが極めて計算されており、“間”で笑いをためる手法が効果的に働いている。
音響・照明:場面転換や効果音でテンポを強調し、些細な仕草が際立つように演出が施されている(決勝演出での音響利用が高評価を受けている)。
なぜウケたか(ポイント)
観客が感情移入しやすい“合コンあるある”という題材と、そこに潜む心理の“痛み”を突くことで共感と笑いを両立させている。池田の演技力が細部の揺らぎを作り、ジャンボのツッコミが現実回帰で観客の笑いを加速させる。
(B)2本目:タクシー代をめぐる攻防(「タクシー代多めにもらおうとする女」等)
概要
舞台設定:飲み会の帰り道でのタクシー料金を巡る小競り合い。金銭をめぐる小さな“駆け引き”を発展させ、次第に言葉のやり取りがエスカレートしていく構図。
構成・演出の要点
導入:非常に日常的な状況(タクシー精算)を提示し、観客の即時共感を誘う。
膨張:ごく小さな主張が繰り返されることで会話がエスカレートし、ギャグ的な繰り返し/変奏が生まれる。音のリズムや反復が効果的に使われる。
転調:ラブ(恋愛)ベースではなく、バトル的なテンションに変化することで笑いの種類を変える。
オチ:期待の裏返しや、会話の論点をすり替えるような手法で締める。
演技・テクニック分析
テンポの制御:小さな言い争いのリズムをコントロールし、観客が「あ、また来る」と予測する瞬間に裏切りを入れる構成が巧妙である。
音響の挿入:タクシーの出入りや金銭のやり取りに伴う効果音をリアルタイムに入れることで、笑いの強度を上げている。
表情と身体性:ジャンボの大きなリアクションと池田の細かな表情が対比され、視覚的なギャップで笑いを取る。
なぜウケたか(ポイント)
日常に潜む“些細な対立”を拡大鏡で見せることで、観客が自分事として笑える設定になっている。繰り返しと変化のバランス、演技の質、舞台上の音響演出が高得点の要因になっている。
まとめ
題材選びの巧さ:レインボーは「誰もが経験する日常の場面」を核に据え、その中の「心理的ズレ」を笑いに変換している。これが広い層への共感・拡散力に直結している。
映像演出との親和性:テレビ(生放送)での演出効果を最大限に活用するネタ構成になっており、YouTube向けに編集しやすい要素(カット割り・見せ場の明確化)も持っている。これが放送→配信→登録者増の循環を生んでいる。
今後の伸ばしどころ:細かな演技力に支えられた「ロマンティックコント」路線と、テンポ重視の短尺ギャグ路線を併存させることで、テレビ受けとデジタル受けの二刀流を維持できる点が強みである。
参考出典(主な参照元)
- レインボー公式YouTubeチャンネル(ファイナリスト/決勝動画等)。
Yutura(チャンネル登録・再生数の推移データ)。
SocialBlade(チャンネル統計・日別データ参照用)。
大会・メディア所感・レビュー記事(Note、個人ブログ、女子SPA! 等の大会後分析)。
SNS(X)における公式/情報アカウントの告知。
