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コラム:衆議院選2026、国民民主党は支持を伸ばすことができるか

現在のところ国民民主党は独自の中道路線で存在感を保っているが、中道改革連合との競合や政党支持率の低さという逆風もある。
国民民主党の玉木代表(国民民主党)
現状(2026年1月時点)

2026年1月に衆議院が解散され、2月8日投開票の日程が確定した。これは首相・高市早苗が通常国会冒頭に衆議院を解散し、年明け早々に総選挙の実施を決断したものである。高市内閣は発足から約3カ月と短期間ながら主要政策を掲げており、消費税(食料品8%)の2年間停止や増税抑制、大規模緩和策などを打ち出している。一方で物価高騰・インフレへの影響や財政懸念が市場・有権者の間で議論を引き起こしている。

世論調査では与党・自民党や新たな中道政党勢力が高い支持率を示す一方、既存政党の支持率競争は激しく、国民民主党(DPFP)の支持率は変動を見せている。特に中道系有権者の受け皿となる新党「中道改革連合」(立憲民主党と公明党の連合)が結成され、従来の野党再編・勢力競争の構図が大きく変わった。

こうした政治環境の変化が、国民民主党の支持拡大に資するのか否か を多角的に分析する必要がある。


国民民主党とは

国民民主党(Democratic Party for the People, DPFP)は、日本の中道・中道右派層を標榜する政党であり、特に 経済政策として「手取りを増やす」 を掲げ、税制・社会保障改革や消費者・中間層の負担軽減を中心政策としている。また、既存の大政党とは一線を画す「現実的・中道」路線を志向する特徴がある。

国民民主党は2018年に結成され、長らく支持率は低迷していたが、2024年衆院選で議席を28議席へと大幅に伸ばした 実績を持つ。これは中道・中間層有権者への訴求が奏功した結果として評価される。

党首は玉木雄一郎代表であり、参議院選挙などでも中道政策の訴求を継続しているものの、全国的な支持率は常に上位政党との差があり、8%前後で推移(複数世論調査)するなど厳しい側面もある。


2026年2月8日投開票

第51回衆議院議員総選挙は2026年2月8日投開票の予定で進行している。これは高市内閣が1月23日に衆議院を解散し、1月27日公示、約2週間の選挙戦を経て実施される。

この選挙は、近年の日本政治における政党再編・勢力変動の大きな節目と位置づけられ、従来の与党・野党のカテゴリーだけでなく、 中道勢力の結集と分裂、第三極の可能性 が問われる重要な戦いとなる。


国民民主党は支持を伸ばせるか(総論)

総合的に判断すると、2026年2月8日の衆院選において 国民民主党が支持を伸ばす可能性は一定の条件下で存在するが、複数の逆風要因もあるといえる。主なポイントは以下の通りである。

  • 与党優勢な環境の中で中道・中間層の受け皿として存在感を示せるか

  • 中道改革連合という新党勢力との競合状況

  • 支持率の変動傾向と世論動向

  • 独自政策の有効性と選挙戦略の実行力

以下、各要素を詳細に分析する。


政治環境の変化:新党「中道改革連合(立憲+公明)」の台頭

2026年1月、 立憲民主党と公明党が「中道改革連合」 として連携し、選挙戦に臨むことが発表された。これは両党が衆議院議員を中心に合流し、統一した中道政策を掲げる新党として有権者に訴える意図を持つ。

この連合は、立憲民主党の左派色と公明党の中道穏健色が融合したもので、中道政策を掲げるという意味で国民民主党と一定の政策重複がある可能性が高い。そのため、中道支持層の受け皿として競合関係に立つ可能性がある。

また中道改革連合は政権交代の受け皿としても位置づけられるため、大規模な新党結成による有権者の関心集中が見込まれる。これは国民民主党にとってはプラスとは言い難い政治環境である。


国民民主党の立場

国民民主党は今回の中道改革連合への合流を拒否している。国民民主党代表・玉木雄一郎は連合への参加を否定し、党の独自路線を維持する意向を示している。

この選択には次のような意図が考えられる。

  • 既存の党としての独自性・ブランドを維持し、中道票とは別の有権者層を掘り起こす戦略

  • 中道改革連合が立憲+公明という規模であるため、国民民主が独自で存在感を示す方が中道右派・中道中立層への訴求が可能

  • 自民党や維新との協力余地を保つ(連合化すると選挙戦略の自由度が制約される可能性)


中道改革連合への参加を拒否、影響は

国民民主党が中道改革連合への参加を拒否した決定には賛否両論が存在するが、結果として選挙構図を複雑化している。主な影響は以下。

ポジティブな影響
  • 独自路線を明確化することで「中道+中間層のもう一つの選択肢」として有権者にアピール可能

  • 競合しない有権者層(中道右派、穏健保守)を掘り起こせる

  • 国民民主党の存在感が注目されることで、支持率の上昇機会が生まれる

ネガティブな影響
  • 中道改革連合と票を分散するリスク

  • 新党との明確な違いを訴える戦略が必要になり、選挙コストが増大

  • 同じ中道を標榜する政党が複数存在することで有権者が分断され、結果として主要政党との差が開く可能性


支持率の推移と期待感

国民民主党の支持率は過去数年間で比較的低迷していた。2025年のJNN世論調査では6.8%前後に留まり、立憲民主党にも逆転される時期があった。 また2025年10月の毎日新聞調査では約5%と評価の低下も報じられている。

しかし近年の調査では中道改革連合結成後の支持率調査において国民民主党や他野党勢力が伸びているという分析もある。 世論調査では中道改革連合が注目されるものの、国民民主党も一定の支持・関心を確保している。


支持率は概ね4〜5%台で推移

複数の主要世論調査を見ると、国民民主党の支持率は2026年1月時点で4〜6%程度の範囲で推移しているとのデータがある。これは他の中道、第三極勢力と比較して中間程度の水準であり、決して高いとはいえないが一定の基盤を持つ水準と言える。


強み

国民民主党の最大の強みは 政策訴求の明確さと中道・中間層への訴求力 にある。特に「手取りを増やす」という政策は、賃金停滞や生活費高騰を背景に有権者の支持を集めている。また、2024年の衆院選で議席を大きく伸ばした実績は党の底力を示すものである。

さらに、他の主要政党に比べて穏健で実務的な政策を掲げることができるため、政党支持率が「大政党に対する不満票」から離脱した有権者を取り込みやすいという潜在性がある。


弱み

一方で国民民主党には明確な弱点も存在する。

  • 支持率が依然低水準にとどまること

  • 中道改革連合や与党大政党との競合で埋没するリスク

  • 若年層や地方での組織基盤の弱さ

  • 政策訴求が他党と重複しやすい点

特に中道改革連合との票の食い合いは深刻な問題である。中道改革連合が幅広い支持層を結集できれば、国民民主党の存在感は相対的に低下する可能性がある。


選挙戦略:独自路線の成否

国民民主党が支持を伸ばすためには独自戦略の明確化と有権者への訴求強化が必須である。その要点は次の通りである。

1. 明確な政策の差別化

「手取りを増やす」「税負担軽減」「経済成長との両立」といった政策を徹底して訴える。また中道改革連合とは異なるアプローチ(例えば中道右派や穏健保守色)を強調する必要がある。

2. 地域戦略

都市部・地方での有権者層のニーズを分析し、特定選挙区での候補者擁立や戦略的協力を進める。

3. 連携戦略

中道改革連合とは距離を保つものの、特定選挙区での候補者調整や比例票の分散回避のため、一定の戦術的協力を検討する可能性もある。これは結果的に票割れを防ぐ効果がある。


重点政策: 「もっと手取りを増やす」

国民民主党は「もっと手取りを増やす」というキャッチコピーを政策の中心に据えている。これは具体的に次のような政策を含意する。

  • 消費税等の税負担軽減

  • 所得控除・賃金改善策

  • 社会保障制度の現実的改革

  • 教育・子育て支援

これらは中間層・若年層にとって訴求力が高い政策テーマであり、他党との差別化につながる可能性がある。


候補者擁立中

国民民主党は、衆議院議員選挙において全国各地で候補者を擁立している。候補者の地域特性や有権者層に最適化した選挙区戦略が今後の支持拡大に大きな影響を与える。

(注:具体的な候補者名や選挙区情報は今後公示後に確定・公開されるため、現時点では分析対象外とする。)


野党協力

国民民主党は中道改革連合には参加しないものの、特定の選挙区で立候補者調整や協力が可能なケースもある。これは候補者過多による票割れを防ぎ、戦術的に有利な結果を狙う戦略である。


今後の注目点

2026年2月8日の投開票に向けて、以下の点が注目される。

  • 世論調査における国民民主党支持率の動向

  • 中道改革連合の支持率と結束力

  • 与党の高市内閣支持率の変動

  • 経済・物価・安全保障など有権者関心の高い政策テーマへの党の対応


今後の展望

国民民主党が支持を伸ばすか否かは、上記の要素がどのように選挙戦で表れるかに大きく依存する。現在のところ国民民主党は独自の中道路線で存在感を保っているが、中道改革連合との競合や政党支持率の低さという逆風もある。

しかし、政策の明確化、選挙戦略の工夫、野党間協力の戦術的展開などを通じて、一定数以上の支持拡大や議席増につながる可能性は存在する。


まとめ

2026年2月8日衆議院選挙において国民民主党が支持を伸ばす可能性は、以下の要因によって評価される。

  1. 中道改革連合との競合による支持分散のリスク

  2. 支持率の現状(4〜6%前後)と伸び代

  3. 政策訴求の有効性(手取り改善等)

  4. 選挙戦略の実行と候補者擁立・協力戦術

  5. 世論動向・社会経済環境の変化

総合的には、国民民主党が選挙で存在感を示し得るものの、大きく支持率を伸ばすには複数の条件を満たす必要があると判断する。


参考・引用リスト

  • Mainichi: 国民民主党支持率動向(2025年10月)

  • The Guardian: 高市早苗総理の衆院解散・選挙日程

  • Reuters: 経済政策・選挙背景

  • Reuters: 国民民主党代表のコメント・経済政策

  • 選挙ドットコム支持率調査(中道改革連合後)
  • JNN・NHKなど世論調査(支持率一覧)

  • 新党「中道改革連合」政策・影響ニュース

  • 国民民主党(衆議院選2024結果)


追記:各政策テーマの支持基盤別分析

国民民主党の支持拡大可能性を検討する上で、政策テーマごとに「どの層に、どの程度響いているのか」を分析することは不可欠である。以下では、主要政策を軸に支持基盤を整理する。

1. 経済・所得政策(「もっと手取りを増やす」)

国民民主党の看板政策である「もっと手取りを増やす」は、支持基盤の中核を形成している。

支持基盤

  • 都市部の勤労世代(30〜50代)

  • 中小企業勤務者・非正規雇用層

  • 子育て世代の共働き層

  • 労組に属さない「無党派寄り中間層」

評価

この政策は、再分配を強調する立憲民主党とも、成長一本槍の自民党とも異なり、「負担感の軽減」という即物的な訴求力を持つ。特にインフレ下において、賃上げが物価上昇に追いつかない層に対し、税・社会保険料の軽減という形で直接的なメリットを提示できる点が強みである。

一方で、支持層は「積極的支持」というより「他党よりマシ」という相対評価に基づく場合が多く、熱量の高い支持に転化しにくいという構造的弱点も抱える。


2. 社会保障・年金改革

国民民主党は、社会保障について「給付と負担のバランス」「現役世代重視」を打ち出している。

支持基盤

  • 現役世代(特に40〜50代)

  • 将来不安を抱える若年層

  • 年金受給開始前の層

評価

この分野では、国民民主党は立憲民主党よりも改革志向が強く、自民党よりも現役世代寄りという中間的立場を取る。高齢者給付の聖域化に疑問を持つ層には一定の共感を得ている。

ただし、高齢者層(60代以上)からの支持は相対的に弱く、全体支持率を押し上げるほどの爆発力には欠ける。


3. エネルギー・環境政策

国民民主党は、現実路線として原子力活用と再生可能エネルギーの併用を掲げる。

支持基盤

  • 産業界・製造業従事者

  • 地方の電力消費産業地域

  • 「脱原発一辺倒」に懐疑的な層

評価

この分野では、立憲民主党との差別化は明確である。一方、自民党との政策距離は比較的近く、差別化が弱いという側面もある。結果として「自民党でよいのではないか」という判断につながるリスクを内包する。


4. 安全保障・外交政策

国民民主党は、日米同盟重視、防衛力強化を容認しつつも、拙速な軍拡には慎重という立場を取る。

支持基盤

  • 中道保守層

  • 安全保障に関心を持つ都市部有権者

  • 立憲民主党の安全保障観に不安を持つ層

評価

この分野では、国民民主党は「野党の中では最も現実的」と評価されやすい。一方で、強いナショナリズムや抑止力強化を重視する層は自民党・維新に流れやすく、国民民主党は「中途半端」と見られる危険性もある。


世論調査の時系列整理

国民民主党の支持率を時系列で整理すると、以下の特徴が浮かび上がる。

1. 長期トレンド
  • 2019〜2022年:1〜3%台で低迷

  • 2023年:経済政策の再整理により微増

  • 2024年衆院選前後:5%前後まで上昇

  • 2025年:4〜6%で横ばい

  • 2026年1月:概ね4〜5%台で安定

この推移から、国民民主党は「急成長政党」ではなく、「底上げ型・安定型」の中規模政党に移行したと評価できる。


2. 他党との相関関係
  • 自民党支持率が低下すると、国民民主党が微増する傾向

  • 立憲民主党が内部対立を起こす局面で、国民民主党が受け皿になる

  • 維新の会が失速すると、一部が国民民主党へ流入

一方で、新党「中道改革連合」結成以降は、中道層の票が分散する傾向が観測され、国民民主党の伸びは限定的になっている。


3. 無党派層との関係

国民民主党支持者の多くは、厳密には「固定支持層」ではなく、無党派層に近い。世論調査では「支持政党なし」層が増減すると、国民民主党の支持率も連動する傾向がある。

これは短期的な上振れを可能にする一方、選挙直前に支持が他党へ流出するリスクも孕む。


国民民主党と高市政権(自民・維新)の関係

1. 政策距離の分析

高市政権(自民党)および維新の会との政策距離は、分野によって異なる。

分野自民・維新国民民主党距離感
経済成長・減税志向手取り重視近い
社会保障抑制・改革現役世代重視中程度
安全保障強化現実的強化近い
憲法改正志向慎重やや遠い

総じて、国民民主党は「対決型野党」ではなく、「条件付き協力が可能な野党」という位置づけにある。


2. 政治的ポジション

国民民主党は、高市政権に対して以下のような立場を取る可能性が高い。

  • 全面対決は避ける

  • 経済・安全保障では是々非々

  • 増税や急進的改革には反対

この姿勢は、与党に失望した穏健層を引き寄せる一方、「政権交代を望む層」からは評価されにくい。


3. 選挙戦への影響

高市政権が強気な選挙戦を展開する場合、国民民主党は次のジレンマに直面する。

  • 与党批判を強めると、自民・維新との差別化は進むが、現実路線の信頼性が損なわれる

  • 是々非々を貫くと、与党補完勢力と見なされる危険がある

このため、国民民主党は「政策別対立軸」を明確にする戦略が不可欠となる。


総合評価

追記分析を踏まえると、国民民主党は以下の特徴を持つ政党であると整理できる。

  1. 政策ごとの支持基盤は明確だが、分散している

  2. 世論調査上は安定しているが、急伸の兆しは弱い

  3. 高市政権とは競合と親和が混在する複雑な関係にある

したがって、2026年衆院選における国民民主党の支持拡大は、
「中道改革連合との差別化」と「高市政権への適切な距離感」
をいかに明確に示せるかに大きく左右されると結論づけられる。

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