コラム:首都直下地震、今できる備え
首都直下地震は、首都圏における人口・インフラ・経済の密集が重なり合うため、単なる地震災害にとどまらず広範な社会経済的影響をもたらすリスクが高い。
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日本では首都圏における「首都直下地震」の危険性が長年にわたって指摘され続けている。中央防災会議や東京都などが行ってきた被害想定や各種報告書によって、揺れ、火災、帰宅困難、ライフライン断絶、経済被害などの複合的リスクが示されている。政府の包括的な被害想定(いわゆる「首都直下地震の被害想定」)は2013年に大きな注目を集め、その後東京都が独自に被害想定を改訂するなど、想定の見直しと対策の推進が続いている。こうした想定や更新は、被害規模の把握と対策優先度の決定に直結している。防災科研+1
首都直下地震とは
首都直下地震とは、東京首都圏の直下や周辺の浅い断層で発生し、首都圏の広い範囲で非常に強い揺れをもたらす地震の総称である。代表的な想定ケースには「都心南部直下地震」「東京湾北部地震」「多摩東部直下地震」などがあり、震源断層や地盤条件により震度分布や長周期地震動の影響が異なる。首都圏は人口・経済・インフラが集中しているため、被害の直接的規模だけでなく二次的・複合的影響が極めて大きいことが特徴である。
想定される主な被害(概観)
首都直下地震では、(1)強い揺れによる建物の倒壊・損壊、(2)市街地火災の多発と大規模延焼、(3)多数の死者・負傷者の発生、(4)帰宅困難者の大量発生、(5)電力・水道・ガス・通信などのライフラインの長期寸断、(6)交通網(鉄道・道路・空港)の麻痺、(7)都市機能の壊滅的影響と経済被害、(8)社会生活の長期的な混乱――といった複合被害が想定される。これらは単独ではなく相互に影響し合い、復旧を著しく遅延させる可能性がある。
死者数(想定)
中央防災会議が公表した包括的な被害想定では、最悪ケースでは死者数が最大で約2万3,000人、経済被害が数十〜百兆円規模になる可能性が示された(国の代表的想定)。一方、東京都が行ったより新しい都内限定の想定では、想定パターンにより死者数の見積りは大きく変わり、都内に限定した想定で数千人台の推計もある。つまり、時間帯(昼・夕・夜)や季節、風速(火災拡大に関係)や震源位置によって死者数は大きく上下する。これらの数値は想定条件に依存するが、いずれにせよ多数の犠牲者が発生するリスクは高い。
建物被害(想定)
被害想定では、全壊・焼失を含む建物被害が数十万棟〜数十万棟規模で発生し得るとされている。国の一部想定では、焼失が最大で約41万棟、建物倒壊等と合わせると最大で約61万棟に達するケースが示されている。東京都の2022年想定では建物被害は約19万4千棟(想定条件による)など、想定の設定により差はあるが、広範囲で建物被害が発生する点は共通している。建物被害は避難所需要や二次的な生活インフラの圧迫に直結する。
経済被害(想定)
首都圏は日本経済の中枢であるため、直接被害(建物・設備・在庫等)に加え、企業活動の停止、サプライチェーンの途絶、金融・保険分野への影響、観光・サービス産業の長期的落ち込みなどを通じて甚大な経済被害が発生する。2013年の国の試算では、最大で約95兆円規模の経済損失の可能性が示された。こうした巨額の経済損失は、地方自治体の財政圧迫や国全体の経済回復力にも深刻な影響を与える。
帰宅困難者
平日昼間や夕方に発生した場合、公共交通が停止した際に生じる「帰宅困難者」は数百万〜1千万人規模に達する可能性が想定されている。過去のワーキンググループ報告では、昼12時に約650万人の帰宅困難者が発生するケースが想定された例が示されている。帰宅困難者の大量発生は長時間にわたる駅周辺の滞留や一時滞在施設への需要急増、物流混乱などを引き起こす。
火災の同時多発による延焼
首都圏では木造密集地域が依然として存在し、強い揺れによる初期出火が多数発生すると、風の影響や倒壊した建物の燃え広がりにより短時間で大規模延焼に至るリスクがある。被害想定では市街地火災による焼失棟数が非常に高い数値となるケースが報告されており、火災による死者数が全体の大きな割合を占める想定もある。火災は救助活動や避難経路確保をさらに困難にするため、被害の深刻化要因となる。
電力・水道・ガスなどライフラインの長期寸断
大規模な地震では電力施設の被害、送配電網の損傷、浄水場・配水管の破損、ガス配管の破裂などによりライフラインが広範囲で停止する可能性がある。ライフラインの長期断は医療提供の困難化、飲料水・衛生問題、冷蔵保存の不能、被災者の健康悪化、二次災害の発生などを招く。復旧には時間を要し、特に都市部では依存度が高いため影響が大きい。
通信障害の発生
携帯電話基地局や光ファイバー網、データセンターの被害や停電により通信が途絶したり遅延したりする。通信障害は緊急通報、被災情報の共有、帰宅困難者対応、物流調整などあらゆる災害対応を阻害する。混雑による回線遮断や電源喪失による基地局停止が短期的に発生し得るため、災害時通信確保のための衛星通信や分散型通信手段、簡易無線の備えが重要である。
交通網の麻痺
鉄道橋梁やトンネル、道路の亀裂・陥没、空港や港湾の被害により交通網は広範に麻痺する。首都圏の鉄道はラッシュ時に極めて高い依存度を持つため、停止が長引くと帰宅困難者の滞留、物流の寸断、救援物資の輸送障害が発生する。交通網の復旧は構造物の点検・補修、連携体制の構築に依存するため短期間での完全復旧は困難である。
都市機能に壊滅的な影響
行政機能、金融取引、医療機関、大学、企業本社など首都圏に集中する重要拠点が被害を受けると、国全体の緊急対応能力や経済活動が著しく低下する。特に中心業務地区のビル被害や道路・通信の遮断は、災害対応指揮と復旧の障害となる。都市機能の麻痺は地域住民だけでなく国全体に波及する。
人口一極集中が被害を拡大させる
人口・資本・インフラの一極集中は、危機時に被害の密集を招く。首都圏における高密度の居住・業務環境は、建物被害や火災延焼の被害規模を拡大させ、避難所や医療機関のキャパシティを超過させる。地域分散化や機能分散、テレワーク等の普及は被害軽減に寄与する可能性があるが、現状では依然として脆弱性が残る。
膨大な人的・物的被害の発生
上述の要素が重なり合って、人的被害(死者・負傷者・避難者)および物的被害(建物、インフラ、在庫、文化財等)は膨大な規模になる可能性がある。特に初動期の対応が遅延すると「震災関連死」や感染症の蔓延など二次的被害が増加するリスクがある。復旧資源の不足や救援の遅れが長期的ダメージを拡大させる。
密集市街地での火災リスク
木造密集地や老朽化した建物群、狭い路地など構造的に火災拡大しやすい地域が残存している都市部では、初期消火の困難さと風の影響が重なり短時間で大規模延焼に至る可能性が高い。延焼ブロックを分断する都市改造や減災空間の確保、消火設備の整備が重要である。
都市機能の壊滅的麻痺
金融機関の停止、証券市場の混乱、企業の操業停止、行政サービスの停止は、被災地のみならず国全体の社会経済活動を揺るがす。特に短期資金の流動性やサプライチェーンの寸断が長期化すると経済再生が遅延する。都市機能の回復は法制度、資金、人的リソースに依存するため抜本的な備えが必要である。
帰宅困難者の大量発生(詳細)
帰宅困難者対策は首都直下型地震対策の重要項目である。駅や公共施設における一時滞在スペースの確保、企業による従業員の分散滞在・自宅待機ルール、食料・飲料・トイレ対策、情報提供の確保などを組み合わせる必要がある。法的な枠組みや自治体・民間の協力体制、事前の訓練と情報伝達が鍵となる。
ライフラインの長期寸断(詳細)
ライフラインの復旧は設備点検、部材供給、人員確保、優先順位づけ、代替供給手段の確保に依存する。都市部では配電盤の集中、配水施設の単一故障点が存在し、被害が甚大化しやすい。地域ごとの自己完結性(地域備蓄、発電、給水)を高めることが復旧時間短縮に直結する。
自律性の欠如と回復の遅れ
被災直後に住民・事業者が自律的に行動できるかどうかは生死や被害拡大の差を生む。備蓄や初期消火、応急手当のスキル、自治体と企業の連携計画が未整備だと、外部支援の到着までに被害が拡大する。回復を早めるには地域や企業の自助・共助能力を高め、国や自治体の支援と連携する体制を整備する必要がある。
対策(総論)
首都直下地震に対する対策は多層的である必要がある。ハード面(耐震化、都市計画、インフラ強靭化)、ソフト面(避難計画、情報伝達、訓練)、個人レベル(備蓄、家庭内の安全確保)、制度・財政面(復興資金、保険、法整備)、民間セクターの事業継続計画(BCP)などを横断的に強化する必要がある。以下に主要な対策分野を列挙する。
耐震化の推進
建物の耐震補強、特に木造住宅や老朽化した中小建築物の耐震改修を促進することが最優先事項である。公共施設や病院、消防・警察等の防災拠点の耐震化、長周期地震動を考慮した高層ビルの設計基準の見直し、旧基準建物の改修支援が必要である。耐震化は人的被害と建物損失を直接的に減らす最も効果的な対策の一つである。
火災対策
密集市街地の再整備(防火帯の確保、通りの拡幅)、消火水源の確保、消火設備の設置促進、初期消火訓練の普及、緊急時の放水体制の整備、燃えやすい屋根材・外装材の改善などを組み合わせる。住民・事業者の防火意識向上と自治体の迅速な消火指揮が延焼防止に重要である。
ライフラインの強靭化
分散型電源(再エネ+蓄電池)の導入、配電網の再編による被害局所化、重要施設の非常用電源確保、老朽配水管の更新、ガスの自動遮断・復旧システムの改善、通信設備の耐震化とバックアップ(衛星通信や移動基地局)などを推進する。民間事業者と自治体の連携で優先復旧ルールや部材備蓄を整備することが必要である。
個人の備え
家庭での備蓄(食料・水・トイレ用品・医薬品)、家具の固定、避難経路の確認、家族間の連絡方法の事前合意、職場での帰宅困難時の対応ルールや滞在支援の確認など、個人・家庭レベルでできる対策を徹底することが重要である。企業は従業員のBCP策定と訓練を実施する必要がある。
今後の展望(政策的視点)
首都直下地震への備えは長期的かつ継続的な投資を必要とする。今後の課題は、耐震改修の速度向上と資金確保、都市再編による危険地区の縮小、分散化・分散稼働の促進、地域力の底上げ、そして民間資金や保険市場の活用による被害吸収力の強化である。また被害想定の精緻化(長周期地震動や複合災害の評価の向上)と最新科学の反映、定期的な見直し・公表が求められる。さらに、社会の高齢化や人口構成の変化を踏まえた避難計画や医療体制の強化も不可欠である。|
専門家の見解と議論(現状の論点)
専門家の間では、国や自治体の公表する「標準的な被害想定」が現実をどの程度反映しているかについて議論がある。ある専門家やメディアは政府の最悪想定が過小評価である可能性を指摘し、より厳しい条件での再評価を求める声がある一方で、最近の建物の耐震化や規制強化により被害が過去想定より小さくなるとする分析も提示されている。想定は前提条件に強く依存するため、透明性のあるシナリオ設定と複数ケースによる公表が重要である。
まとめ
首都直下地震は、首都圏における人口・インフラ・経済の密集が重なり合うため、単なる地震災害にとどまらず広範な社会経済的影響をもたらすリスクが高い。国や東京都などの被害想定は、想定条件次第で数千人から数万の死者、数十万棟規模の建物被害、数十兆円〜百兆円規模の経済被害を示しており、これを踏まえた耐震化、火災対策、ライフライン強靭化、帰宅困難者対策、個人の備えが不可欠である。専門家間で評価の差はあるものの、被害想定と対策の両面で高い優先度で取り組む必要がある。
(主な出典)
内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」等。
東京都「首都直下地震等による被害想定」(2022年公表資料)。
帰宅困難者関連:中央防災会議等の報告書。
専門家・研究機関による解説・評価(ISAD等)。
議論・評価に関する解説記事(2025年の論説等)。
以下は「自治体別の被害想定(例示)」と「想定シナリオ別の被害比較」である。まずは方針と用いた資料(各自治体・都道府県・国の被害想定報告書)を明示したうえで、国(中央)・東京都・神奈川県・横浜市を例に、自治体別集約値とシナリオ別比較を提示する。多くの自治体は「市区町村別被害想定一覧」を報告書付録で公開している。
1) 前提・方法(要点)
本比較は各自治体・中央の公表資料(被害想定報告書)に基づく。主に用いた資料は内閣府/中央防災会議(首都直下地震想定の概要)、東京都「首都直下地震等による東京の被害想定(2022)」、神奈川県の地震被害想定(概況版:令和7年(2025年)3月)、横浜市地震被害想定(改定資料)等である。各資料は想定地震(例:都心南部直下地震/東京湾北部地震/元禄型関東地震 等)を複数設定し、「冬平日18時」など発災時刻・季節・風速の前提を置いて被害を算出している。
「想定シナリオ」は各報告書で名称が異なるが、ここでは代表的に:
都心南部直下地震(M≈7.2〜7.3、中規模で都心直下に強い揺れをもたらす)
東京湾北部地震 / 東京湾北部型(東京湾北部地震)(M≈7.3、東京湾北部を震源)
元禄型関東地震(M≈8級)/大正型などの巨大地震(M8級〜、広域かつ甚大)
各値は「全壊棟数・焼失棟数(火災)・死者数・避難者数・ライフライン停止世帯数」などを可能な限り統一して表示。資料ごとに算定単位や前提(発生時刻・風速など)が異なるため、同じラベルのシナリオでも前提は微妙に異なる点に留意する(比較は同一報告書内のシナリオを優先して同条件で比較した)。
2) 主要自治体(国/都/県/市)におけるシナリオ別主要指標の比較(抜粋)
注:各セルの数値は各自治体が公表した「例示シナリオ」から引用。複数のシナリオがある場合は報告書内で提示された代表値を示す。
| レベル/指標 | シナリオ(代表) | 全壊(棟) | 焼失(棟) | 死者(人) | 避難者(概数) / 備考 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 国(中央・概況) | 東京湾北部地震等(代表想定) | 最大ケースで 約85万棟(注:国の一部想定で“建物全壊が最大) | — | 最悪ケースでは 数万~2万名超の試算が示される(報告による) | 帰宅困難者:昼12時想定で約650万人(別項目)等、全国・首都圏規模で甚大。 | |
| 東京都(都全体) | 報告書代表(冬・18時想定) | 約194,431棟(被害総棟数の一例) | (内訳で焼失数あり) | 6,148人(報告書での一代表値) | 避難者:報告内で約151万人等の提示あり(シナリオにより変動)。 | |
| 神奈川県(県概況) | 都心南部直下地震(冬18時) | 全壊計 約42,920棟 | 焼失:報告の各シナリオに応じ数万棟規模(例:元禄型で焼失55,240棟や103,630棟等の列示あり) | 死者(例示):建物被害に起因する死者数など、シナリオで数千〜数万のレンジ(元禄型等で大きく増加)。 | 神奈川県報告は市区町村別一覧を付録で提供(各市町村ごとの数値表あり)。 | |
| 横浜市(市の想定) | 元禄型/東京湾北部/南海トラフ比較 | 元禄型 全壊 約34,669棟、東京湾北部 全壊 約4,331棟 | 元禄型 焼失 約77,700棟(報告内の列示) | 元禄型 死者 約3,260人、東京湾北部 約460人(報告内列示) | ライフライン停止世帯(元禄型上水断水約400,000世帯、東京湾北部約230,000世帯 等)。 |
(参考)上表は「代表的に公開されている数値を抜粋」したもので、同一自治体内でも複数シナリオ/発生時刻/風速で数値が大きく変化する。各自治体報告書の付録(市区町村別被害想定結果一覧)には市区町村別の全壊棟数・焼失棟数・死者数・避難者数・ライフライン停止数が掲載されている。
3) 例:自治体(市区町村)別被害想定の入手先
東京都:都の報告書(2022)に都区市町村別の被害分布図・表を掲載(報告書PDF)。都は23区や市部ごとの想定値を示している。
神奈川県:概況版に「市区町村別被害想定結果一覧」が付属(報告書 p.47 等)。各市(横浜・川崎・相模原など)ごとの全壊・焼失・死者・避難者の数値がメッシュ集計・市別集計で示されている。
横浜市:横浜市版の被害想定に、区別・項目別の詳細数値がある(全壊・焼失・死者・ライフライン停止世帯など)。
千葉県・埼玉県・その他自治体:それぞれ被害想定報告書があり(県ウェブサイト)、市町村別表を付録していることが多い。例:千葉県/埼玉県の被害想定PDF。
4) 「自治体別一覧」をもとにしたサンプルの比較表(短い版)
以下は「都心南部直下地震」「東京湾北部地震」「元禄型関東地震」を同一条件(多くの報告書で採る冬・18時等)で比較した代表的抜粋(数値は報告書の代表列):
| 自治体 | シナリオ | 全壊(棟) | 焼失(棟) | 死者(人) | ライフライン(断水世帯) |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都(都全体、代表) | 都心南部直下等(報告代表) | 約54,962〜194,431(シナリオで変動) | 数万棟規模(シナリオ依存) | 約1,777〜6,148(代表レンジ) | 大規模断水・停電が発生(報告参照)。 |
| 神奈川県(県全体) | 都心南部直下 | 全壊 約42,920棟 | 焼失(シナリオ別に数万棟) | 建物被害起因の死者が千人〜(シナリオで増減) | 元禄型等で上水断水数十万〜百万規模(報告参照)。 |
| 横浜市 | 元禄型 | 全壊 約34,669棟 | 焼失 約77,700棟 | 死者 約3,260人 | 上水断水 世帯数(例:元禄型 約400,000世帯)。 |
| 横浜市 | 東京湾北部 | 全壊 約4,331棟 | 焼失 約13,000棟 | 死者 約460人 | 上水断水 世帯数 約230,000世帯。 |
(注)上表は報告書の代表表列を抜粋したもので、自治体ごとに「複数シナリオ・時間帯」→「メッシュ/区別」→「付録の市区町村別一覧」がある。
5) 解析の注意点(比較時の留意事項)
前提条件の差:発生時刻(朝・昼・夜)、季節(風速)、震源深さ・断層モデルが違うと被害は大きく変わる。比較は同一報告書内での比較が最も信頼できる。
スケール差:都道府県の「全体値」と市区町村の「市別値」は集計粒度が異なる。市別合算が県合計に一致しない場合はメッシュ集計方法の差異が原因になることがある(報告書に注意事項が記載される)。
公表更新:各自治体は被害想定を段階的に更新している(最新年に注意)。たとえば東京都は2022改定、神奈川は2025年版など。常に最新PDFの「付録(市区町村別一覧)」を確認する。
参考(出典の主要PDF)
内閣府(中央防災会議)「首都直下地震の被害想定(概要)」等。
東京都「首都直下地震等による東京の被害想定」(報告書、2022年)。
神奈川県「地震被害想定調査報告書(概況版、令和7年3月)」(市区町村別一覧付)。
横浜市「地震被害想定(横浜市版、改定版)」。
千葉県/埼玉県の被害想定(各県公表PDF)。
