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2026FIFAワールドカップ開幕まで100日、米イラン紛争とカルテル暴力が懸念材料に

組織委員会は従来の運営上の課題に加え、国際情勢や安全保障上の問題という複雑な課題に直面している。
2026年2月25日/メキシコ、西部ハリスコ州グアダラハラの通り(AP通信)

米国・メキシコ・カナダで共同開催される2026FIFAワールドカップまで残り100日を切る中、組織委員会は従来の運営上の課題に加え、国際情勢や安全保障上の問題という複雑な課題に直面している。これは戦争や暴力がスポーツの祭典に影を落としている状況を象徴している。

まず、大きな懸念となっているのが米国とイランの軍事的緊張の高まりだ。2月28日、米国とイスラエルがイランに対する軍事作戦を開始し、最高指導者を含む多数の高官が殺害されたことで、中東情勢は急激に悪化した。こうした背景の中で、ワールドカップ出場国であるイランの代表チームが米国での試合に参加できるかどうかが不透明になっているという指摘が出ている。イランサッカー連盟の会長は「この攻撃を受けてワールドカップを楽しみにするのは難しい」と述べ、参加への意欲が損なわれているとの見方を示した。記録によると、過去75年間で本大会に出場資格を得たチームが直前に辞退した例はない。

このほか、米国内でも大会運営に影響を与える問題が浮上している。従来であれば無料で提供されていた「ファンフェスティバル」と呼ばれる観戦イベントが、予算や安全保障上の理由から規模を縮小したり、中止したりする動きが出ている。東部ニューヨーク州とニュージャージー州ではファンフェスを取りやめ、シアトルやボストンでも規模を縮小するなど、試行錯誤の段階にあるという。これには米国の一部連邦機関の一時的な閉鎖による資金不足も影響しているとされる。

主催3カ国のうちメキシコでも安全面の懸念が強まっている。西部ハリスコ州では麻薬カルテル「ハリスコ新世代(CJNG)」の首領ネメシオ・オセゲラ・セルバンテス(通称エル・メンチョ)容疑者が軍事作戦で殺害された後、治安情勢が一気に不安定化した。州都グアダラハラはグループステージ4試合が行われる予定で、治安維持に向けて軍・警察の展開や対策強化が進められているものの、観客らの不安は完全には払拭されていない。メキシコ政府は大会の安全な開催に自信を示しているが、暴力事件の影響が開催都市に及ぶ可能性は引き続き懸念材料として残る。

大会運営面でも、ファンや関係者からチケット価格への批判が高まっている。最高価格が数千ドルに達したことに対し、FIFAは一部の試合で低価格の席を確保する方針を示したものの、二次市場での価格高騰やアクセスの困難さが指摘されている。また、マサチューセッツ州フォックスボロではFIFAが主催する試合に対して地元当局が警備費用の前払いを求めるなど、開催協定に絡む調整が難航している事例もある。

組織委員会はこれら多様な課題について「大会は予定通り実施される」との立場を強調しているが、安全保障、政治的緊張、経済的課題が重なる今回のワールドカップは単なるスポーツイベントを超えた複雑な運営の実験ともいえる状況となっている。主催3カ国とFIFAがどのように対応策を講じるかが今後の注目点となる。

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