◎地震は8月14日の午前8時30分頃(現地時間)に発生した。
2021年8月14日/ハイチ、西部レ・カイの市街地(Ralph Tedy Erol/AP通信)

ハイチの政府当局によると、西部地域で発生した地震の死亡者は300人を超え、1,800人以上が負傷したという。

地震は8月14日の午前8時30分頃(現地時間)に発生した。アメリカ地質調査所(USGS)によると、震源は首都ポルトープランスから西におよそ125キロ離れた地点で、震源の深さは10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは7.2と推定されている。

USGSはこれまでに強い余震を少なくとも6回観測したと述べた。

アリエル・アンリ首相は沿岸の町レ・カイやその他の地域でも甚大な被害を確認したと述べ、1カ月間の非常事態を宣言した。また、住民の救助と支援をサポートする政府の専門家チームを派遣したと明らかにした。

アンリ首相は演説後、被災地の状況を上空から確認したとツイートした。

2021年8月14日/ハイチ、西部レ・カイのカトリック教会(Getty Images/AFP通信)
2021年8月14日/ハイチ、西部レ・カイの市街地(Getty Images/AFP通信)

AP通信によると、犠牲者の中には元レ・カイ市長のガブリエル・フォルトゥネ氏が含まれていたという。ハイチの地元紙ル・ヌーヴェリストは、フォルトゥネ氏は宿泊先のホテルで倒壊に巻き込まれたと報じた。

レ・カイの南、約11kmに位置するア・バッシュ島でも強い揺れを観測し、海辺のリゾート施設に被害が出たと伝えられている。人気リゾート施設のひとつを運営するオーナーのフェルナンド・サジョース氏はAP通信の取材に対し、「ホテルの30室のうち9室が崩壊した」と述べたが、当時は空室で負傷者はいなかったという。

アメリカのジョー・バイデン大統領は14日、ハイチに対する即時の支援を承認し、国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー長官を支援チームのリーダーに指名した。

バイデン大統領は声明の中で、「USAIDはハイチの被災状況を確認し、負傷者の支援と再建に必要な物資や費用を評価する」と述べた。

人権NGOセーブ・ザ・チルドレンのハイチ支部ディレクターであるレイラ・ブラフラ氏はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、「被害の評価には数日かかると思われるが、人道支援を必要とする緊急事態であることは明らかだ」と述べ、関係諸国の支援は必要不可欠と訴えた。

一方、首都ポルトープランスにあるユニセフ支部の担当者はAP通信に、「インターネットがつながらず、被災地の情報を入手できない」と語った。

担当者によると、ユニセフは被災地の状況を把握したうえで必要な医療や物資を現地に送る予定だという。

ハイチの土木技師兼地質学者であるクロード・プレプティ氏はツイッターで、崩壊を免れた建物に不用意に立ち入らないよう警告した。「余震は数週間続くと予想されています。建物にひび割れや損傷、傾きなどが見られる時は不要に立ち入らず、当局の指示に従ってください...」

先月初めに暗殺されたジョブネル・モイーズ大統領の妻であるマルティーヌ夫人は、団結を呼びかけるメッセージをツイートした。

ハイチ人の血を引くテニスの大阪なおみ選手もハイチとの連帯をツイートで示し、「今週出場する予定のウエスタン・アンド・サザン・オープントーナメントの賞金を全て寄付する」と表明した。

2010年1月に首都ポルトープランスで発生したハイチ地震(M7.0)では推定30万人が死亡した考えられているが、正確な死亡者数は不明。地震により、推定100万人が住居を失い、数十万人が飢餓に直面し、町は荒廃し、大統領官邸を含むほとんどの建物が崩壊した。当局は犠牲者の埋葬に追われ、多くの遺体が身元不明のまま埋められ、記録もほとんど取られていなかったため、遺族は故人を特定することができなかった。さらに、町の荒廃は感染症などの二次災害を引き起こし、壊疽、栄養失調などで推定数千人が死亡した。

2021年8月14日/ハイチ、西部レ・カイ、崩壊した民家と女性(Duples Plymouth/AP通信)

震源地:震源の深さは10キロ、M7.2(推定)

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