ハイチで汚職蔓延、米当局が警告、ギャング戦争続く中

公務員の汚職を調査する反汚職機関(anti corruption agency)は昨年10月、暫定大統領評議会の委員3人を収賄罪で告発した。
ハイチ、首都ポルトープランスの暴動(Getty Images/AFP通信)

中米ハイチの在米国大使館は1日、同国を不安定化させようとする汚職が散見されると明らかにし、同国がさらなる危機に陥る可能性があると警告した。

同大使館は汚職の詳細を明らかにしなかったが、暫定大統領評議会が汚職を拒否したことを称賛し、フィゼメ(Alix Didier Fils-Aimé)首相と協力して国を安定化させるよう促した

また大使館は「この協力を妨害しようとする者は厳しい現実に直面する」と警告した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

公務員の汚職を調査する反汚職機関(anti corruption agency)は昨年10月、暫定大統領評議会の委員3人を収賄罪で告発した。

それによると、この3人は国営信用金庫の取締役への天下りと75万ドル以上の金銭を要求したとされる。

しかし、この捜査が進んでいるかは分からず、今のところ誰も起訴されていない。評議会の委員も全員職に留まっている。

評議会は26年2月までに総選挙を実施するよう求められているが、日付は決まっておらず、ギャングに多くの地域を支配される中で公正な選挙を行えるかどうか不明である。

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