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米財務省、ハイチ元警備責任者とギャングリーダーに制裁

制裁対象となった元警備責任者はモイーズ暗殺事件の捜査で逮捕・収監されていた。
中米ハイチのギャング連合「ヴィヴ・アンサム」のリーダーである元警察官のシェリジエ(AP通信)

米財務省が17日、中米ハイチの元大統領警備責任者とギャングリーダーに制裁を科した。

同省は声明で、暗殺されたモイーズ(Jovenel Moise)大統領の警備責任者と首都ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」に近いギャングリーダーを制裁リストに追加したと説明した。

同省はこの2人がヴィヴ・アンサムを支援していると非難。米国内の資産を凍結し、米企業・個人との取り引きを禁じた。

制裁対象となった元警備責任者はモイーズ暗殺事件の捜査で逮捕・収監されていた。

財務省は声明の中で、「この警備責任者は2024年の刑務所破壊で脱獄して以降、最強のギャング連合ヴィヴ・アンサムと連携し、破壊行為を繰り返している」と非難した。

それによると、元警備責任者はギャングの戦闘員や指導者たちに「訓練と銃器」を提供し、「国家機関に対するヴィヴ・アンサムの組織的な攻撃を直接支援している」という。

もう1人の制裁対象であるギャングリーダーとされる男はヴィヴ・アンサムの権力強化を支援したほか、ハイチ国内での無差別民間人殺害、恐喝、違法課税、誘拐に関与したとされる。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ氏暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは4年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

ポルトープランスでは現在もヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

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