◎これは米国とエルサルバドルの関係が改善していることを示している。
中米エルサルドルの治安が改善したとして、米政府が運営する青年海外協力隊「ピースコープス(Peace Corps)」が同国での活動を再開した。現地メディアが28日に報じた。
これは米国とエルサルバドルの関係が改善していることを示している。
ブケレ(Nayib Bukele)大統領は2022年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャング掃討作戦を本格化させた。
それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は8万人を超え、うち7000~8000人は証拠不十分で釈放されている。
非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。
また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。
ブケレ政権の掃討作戦により、国内のギャングはほぼ壊滅し、エルサルバドルは世界で最も危険な国から、中米で最も安全な国に豹変。昨年報告された殺人事件は214件で、2015年に記録した6600件の30分の1に激減した。
ピースコープスによると、9人のボランティアは地域社会の経済開発、教育、青少年対策に取り組むという。この9人は全員、他の中米諸国で2年間の勤務経験がある。
ピースコープスの中米代表は声明で、「これはエルサルバドル国民との数十年にわたるパートナーシップを再開、継続することを意味する」と喜びを表明した。
1962年以来、2300人以上のボランティアがエルサルバドルで活動してきた。しかし、ギャングによる殺人率が2015年に人口10万人あたり106人を記録したことを受け、ピースコープスは活動を休止。この年の殺人件数は6658件であった。