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米連邦航空局、ハイチ首都への飛行制限26年3月まで延長

高度1万フィート(3048メートル)以上でのポルトープランス上空通過は可能だ。
2021年9月22日/ハイチ、首都ポルトープランスの国際空港、アメリカから強制帰国させられた移民希望者たち(ロイター通信)

米連邦航空局(FAA))は5日、武装ギャングによる民間航空機への脅威を理由に、ハイチ・ポルトープランスの空港への着陸禁止令を26年3月7日まで延長すると発表した。

FAAは24年11月、ギャングが地上から民間機3機を銃撃したことを受け、ハイチ便の運航を一時停止。その後、ハイチ北部にある6空港への米国便の運航を再開した。ポルトープランス空港への禁止措置は来週期限が切れる予定であった。

高度1万フィート(3048メートル)以上でのポルトープランス上空通過は可能だ。

FAAは5日の声明で、「武装集団は依然としてポルトープランス市域の約90%と周辺ルート・国境地帯を支配している」と説明した。3月以降、ギャングによる航空機への小火器発砲が少なくとも1件確認されている。

ギャングは昨年以降、民間航空機・ヘリコプター・空港に対し小火器による発砲を繰り返し、複数の航空機を損傷させ、乗務員1名にケガを負わせている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

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