◎モイーズ大統領は昨年7月7日に首都ポルトープランスの自宅で射殺され、夫人も重傷を負った。
米司法省は9日、昨年7月のハイチ大統領暗殺事件に関与したとされるハイチの元上院議員を起訴したと発表した。
司法省によると、ジョエル・ジョン・ジョセフ(Joel John Joseph)被告はフロリダ州の地方裁判所に出廷したという。被告の身柄は先週、ジャマイカから米国に引き渡された。
ジョブネル・モイーズ(Jovenel Moise)大統領の暗殺事件には、少なくとも20人のコロンビア人傭兵と米・ハイチ国籍を持つ数人が関与したとされる。ジョセフ被告は米国で起訴された3人目の容疑者である。
モイーズ大統領は昨年7月7日に首都ポルトープランスの自宅で射殺され、夫人も重傷を負った。
米司法省は声明の中で、「ジョセフ被告はモイーズ大統領に対する作戦を支援するために車両や銃器を入手した」と述べている。
また同省は、「被告は7月6日頃にある共謀者と会合し、その後、多くの共謀者がモイーズ大統領暗殺作戦に乗り出した」と告発している。
ジョセフ被告は有名政治家のひとりで、モイーズ大統領の政党と対立していた。有罪が確定すれば仮釈放なしの終身刑を言い渡される可能性がある。
ハイチの裁判は長期化すると予想されている。
事件に関与したとされる容疑者は40人以上にのぼる。米当局は今年1月、チリ出身のビジネスマンと元コロンビア兵を起訴した。
ハイチではこの事件以来、暴力が急増し、政府と対立するギャングが首都ポルトープランス近郊まで勢力圏を広げ、各地でギャング間抗争が相次いでいる。
国連は先週、民間人数千人が避難を余儀なくされた首都近郊のギャング間抗争に懸念を表明し、国際社会に支援を呼びかけた。
ハイチ市民保護局は5月4日に発表した声明で、「4月24日~5月2日の間に発生した暴力で少なくとも39人が死亡し、68人が負傷した」と報告している。ポルトープランス近郊の3つの地域から避難した民間人は9000人にのぼるとされる。
ギャングは暴力だけでなく身代金目的の誘拐も繰り返している。4月下旬には隣国ドミニカ共和国の外相がギャングに誘拐された。外相は4日後に解放された。