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米国務省、ホンジュラスの次期大統領に祝意、右派のアスフラ氏

トランプ氏はアスフラ氏を強く支持し、公式の場や自身のSNSで同氏への支持を表明していた。
2025年12月1日/ホンジュラス、首都テグシガルパの投票所、大統領選挙に立候補した右派のアスフラ氏(ロイター通信)

米政府は24日、ホンジュラス大統領選挙でトランプ(Donald Trump)大統領の支持を受けた右派のアスフラ(Nasry Asfura)氏が勝利したことを受け、すべての政治勢力に対し、選挙結果を受け入れるよう強く呼びかけた。

米国務省は声明で、平和的な移行を確保するためにも、各党派が結果を尊重すべきだと強調した。国民選挙評議会(CNE)はこの日、アスフラ氏の勝利を公式に宣言した。結果確定までには数週間にわたる開票遅延や技術的な問題、不正疑惑が伴っていた。

アスフラ氏は首都テグシガルパの元市長、保守路線を掲げる人物として知られる。選管のデータによると、アスフラ氏の得票率は40.27%、中道のナスララ(Salvador Nasralla)氏の39.39%をわずかに上回った。左派の与党・自由復興党(LIBRE)のモンカダ(Rixi Moncada)前国防相は19.19%にとどまった。

確定に至る開票作業は混乱を極め、一部では手作業での票の再集計が必要となるなど不透明感が指摘された。こうした過程が反発を呼び、一部勢力は「不正選挙」との批判を展開していた。

トランプ氏はアスフラ氏を強く支持し、公式の場や自身のSNSで同氏への支持を表明していた。トランプ氏はアスフラ氏を「ホンジュラスにおける自由の真の友」と評し、勝利を期待する発言を繰り返した。また、万一結果が覆された場合には米国によるホンジュラスへの支援を見直す可能性を示唆するなど圧力を強める発言もしていた。この戦略にはトランプ政権が中米における影響力を強化しようとする意図があるとの分析も出ている。

さらにトランプ政権は選挙期間中、実刑判決が確定したホンジュラスのエルナンデス(Juan Orlando Hernandez)前大統領を赦免した。エルナンデス氏は麻薬関連や銃器密輸などの罪で服役していたが、この恩赦により釈放され、政治的にもアスフラ氏と関係が深い人物として注目を集めている。こうした一連の動きは、国際社会や国内の批判を招くきっかけともなった。

ルビオ(Maro Rubio)米国務長官氏は声明で「米国は大統領選挙の勝者であるアスフラ氏に祝意を送り、両国間の安全保障協力や密入国防止、経済関係の強化に向けて協力していくことを楽しみにしている」と述べた。またルビオ氏は「すべての政党が結果を尊重し、ホンジュラス当局が迅速に平和的な権力移行を実現できるよう求める」と強調した。

今回の選挙はホンジュラス国内だけでなく国際的にも注目を集めた。選挙過程における不透明性や開票の遅延、外国からの影響といった課題が浮き彫りになり、政治的な分断や緊張が続く可能性も指摘されている。特に与党側やナスララ支持者からは選挙結果に対する不満の声が根強く、今後の政局安定に向けた取り組みが求められている。

今回の選挙結果をめぐる動きは、中米地域における保守勢力の台頭や米国の影響力強化の動きを象徴するものとされ、今後の対外政策や地域の民主主義のあり方にも影響を与える可能性がある。米国はホンジュラス政府との関係強化を進める方針を示しており、次期政権の発足を見据えた外交調整が進められている。

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