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ハイチでギャングによる子どもの勧誘急増=ユニセフ

ハイチではギャング暴力の激化により、140万人以上が避難を余儀なくされ、その半数以上が子どもである。
2024年9月22日/ハイチ、首都ポルトープランス中心部の避難民キャンプ(AP通信)

国連児童基金(ユニセフF)は12日、中米ハイチでギャングによる子どもの勧誘・動員が昨年、前年比で約3倍に急増したと明らかにした。貧困と暴力が子どもたちを危険な状況へと追いやり、人道危機がさらに悪化している実態が浮き彫りになった。

報告書によると、2025年にハイチ国内でギャングに勧誘されたり利用されたりした子どもの数は大幅に増加。ユニセフはこの増加率を約200%と推定している。勧誘の背景には、ギャングによる暴力の拡大や極度の貧困、離散など複数の要因があると指摘されている。

ハイチではギャング暴力の激化により、140万人以上が避難を余儀なくされ、その半数以上が子どもである。ギャングが支配する地域では、基本的な教育や保護が受けられない状況が続き、子どもたちが巻き込まれやすくなっている。

ユニセフはギャングが子どもを勧誘する主な理由として、若い子どもほど従わせやすく、抵抗力が低い点を挙げる。また、報酬や食料、アイデンティティを求める子どもたち自身や家族が生活の糧として子どもを差し出すケースも増えていると述べた。

ギャングに動員された子どもは多様な役割を担わされる。報告によると、少年は偵察、弾薬運搬、捕虜の監視などを任されることが多く、少女は家庭内労働や性的暴力の対象となる危険にさらされている。

ユニセフは子どもを勧誘・利用することは重大な人権侵害であり、国際法にも違反すると強調している。子どもたちは戦闘や暴力、心理的・身体的虐待、教育機会の喪失など深刻なリスクに直面しており、早急な保護と支援が不可欠だとしている。

ユニセフや支援団体はギャングから離脱した子ども約500人に対して保護とリハビリ支援を提供してきたが、その取り組みは十分とは言えないとされる。支援には医療ケア、カウンセリング、家族との再開支援などが含まれているものの、年齢や性別、地域社会の受け入れ態勢の違いにより、再統合は容易ではないという。

特に10代後半の若者の場合、ギャングでの経験が長期化すると、学校復帰や職業訓練への移行が困難になり、社会復帰の妨げとなっているとユニセフは指摘する。また、子どもを受け入れる家庭やコミュニティの中には、過去の関わりからスティグマ(偏見)が根強く、子どもとの再会を拒むケースもあるという。

ユニセフは人道支援と子ども保護システムの強化、地域社会ベースの予防措置の強化を訴えるとともに、国際社会や政府に対して資金拡充を呼びかけている。必要とされる支援規模は数千万ドルに上り、専門的な保護プログラムと地域レベルの支援ネットワークの構築が急務となっている。

ハイチ政府と国際機関は子どもたちの保護と地域社会の安定化に向けて取り組みを強化する構えだが、暴力の根本的な解決には政治的安定と治安回復が不可欠である。ユニセフは子どもの権利を守ることが国の未来を守る鍵だと強調し、緊急の支援と包括的な対応の必要性を訴えている。

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