◎ハイチの治安は昨年7月のモイーズ大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊した。
国連は6日、ギャングの暴力と壊滅的な食料・燃料危機に見舞われている中米ハイチに人道回廊を設置するよう提案した。
国連ハイチ事務所はプレスリリースで、国内の主要燃料ターミナルがギャングの支配下に置かれ、問題解決に向けた努力を妨げていると警告した。
また同事務所はこの3年間報告されていなかったコレラの流行も懸念されると指摘した。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは3カ月ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人を超え、数千人が国内避難民になった。
この数カ月でハイチの市民数万人が国外に逃亡したと推定されている。その多くが難民となり、メキシコ経由で米国を目指している。
アンリ(Ariel Henry)首相は先月、予算が枯渇しているとして燃料補助金の廃止を決め、国民に理解を求めたものの、物価は急騰し、多くの市民が街頭抗議をはじめ、一部地域では略奪も報告されている。
ハイチ最大のギャングはポルトープランス近郊の主要燃料ターミナルを制圧し、アンリ氏が辞任し燃料価格が下がるまでそこにとどまると宣言している。
アンリ氏は5日、国際社会に支援を求め、「ハイチは崖っぷちに追い詰められている」と訴えた。
警察はギャングの縄張り争いに対処できず、多くの地域が無政府状態に陥っている。
国連は燃料ターミナルの封鎖で医療機関は活動を継続できなくなり、保健所も閉鎖され、水を供給することすらできないと窮状を訴えた。「この危機は全国民に影響を与え、子供を含む最も弱い立場の人々を追い詰め、人道的大惨事を引き起こしています...」
ギャングに制圧されたた燃料ターミナルは9月12日に閉鎖され、そこに貯蔵されている約1000万ガロンのディーゼルとガソリン、80万ガロン以上の灯油が使用できなくなった。
ポルトープランス以外のガソリンスタンドはほぼ全て閉鎖され、営業を継続できている店舗も深刻な物資不足に陥っている。