ハイチ支援集まらず、国連が警告、資金調達率9.2%

国連ハイチ事務所は今年、9億ドル以上を調達することを目標にしているが、調達率はわずか9.2%にとどまっている。
ハイチ、首都ポルトープランスの空港、国連世界食糧計画(WFP)のヘリコプター(Getty Images)

中米ハイチの国連事務所は12日、同国に対する支援の調達率が世界で最も低くなっていると明らかにした。

それによると、国連ハイチ事務所は今年、9億ドル以上を調達することを目標にしているが、調達率はわずか9.2%にとどまっているという。

同事務所は声明で、これを「世界で最も低い資金調達率」と指摘した。

ウクライナの今年度の資金調達要請は26億3000万ドル。調達率は38%となっている。

パレスチナ地域向けの緊急資金要請40億ドルの調達率は22%、8億9000万ドルが集まっている。

国連ハイチ事務所は「私たちはハイチ市民を助けるツールを持っているが、国際社会の支援は現地の深刻な状況に追いついていない」と強調した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

この結果、人口の過半数が食料不安に陥り、仮設キャンプで生活する8000人以上が飢餓に直面している。

ケニア国家警察が率いるハイチ国連支援ミッション(MSS)は1年前に配備されたが、資金繰りに悩まされる中、ギャングの暴力に圧倒されている。

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