国連WFPがハイチ支援呼びかけ、国際社会に資金提供求める

国家警察とケニアが率いる国連支援ミッションはギャングへの対応に苦慮している。
ハイチ、首都ポルトープランスの避難所(ロイター通信)

国連の世界食糧計画(WFP)は5日、ギャングの支配下に置かれるハイチの首都ポルトープランスで食料不安が拡大し、約200万人に緊急支援を提供する必要があるとして、国際社会に4600万ドル(約66億円)の資金提供を呼びかけた。

それによると、ハイチの人口の半数にあたる約570万人が緊急支援を必要とし、そのうち約200万人は10以上の国連機関、政府、援助団体などが参加する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉調査委員会(FRC)が定めるフェーズ4とフェーズ5に該当するという。

フェーズ3は危機レベルの飢餓と定義され、フェーズ4は緊急事態、フェーズ5は大災害または飢饉とみなされる。

WFPは約200万人がフェーズ4、約8500人がいつ餓死してもおかしくないフェーズ5に該当すると説明している。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

一連の暴力とギャング間抗争により100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。

WFPは声明の中で、「ハイチは世界で5カ国しかないフェーズ5、破滅的な飢饉に該当する人々を抱える国の一つであり、西半球でこのような事態が発生していることを深刻に受け止めている」と述べた。

またWFPは国際社会に資金提供を呼びかけ、ギャング暴力終結に向けた政府の取り組みを支援するよう求めた。

国家警察とケニアが率いる国連支援ミッションはギャングへの対応に苦慮している。

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