◎首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
国連安全保障理事会は9月30日、中米ハイチの国連PKOミッションの任務延長を全会一致で採択した。
ハイチ政府はこのミッションを現在の安全保障支援から国連の委任統治下に置かれる平和維持ミッションに格上げしてほしいと訴えていたが、安保理はこの要請を退けた。
AP通信によると、常任理事国の中国とロシアが平和維持ミッションへの移行について議論を開始するという決議案の文書を削除しなければ任務延長に賛成しないと主張したという。
この結果、ハイチが求める格上げは実現しなかった。
ハイチ暫定評議会の議長は先週の国連総会演説で、国連による平和維持ミッションへの支持を初めて表明していた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスには現在、このPKOを率いるケニアの警察官約400人とジャマイカの警察官および陸軍兵士約20人が駐留している。
バハマ、バングラデシュ、バルバドス、ベナン、チャドも部隊の派遣(少なくとも1900人)を表明しているが、時期は明言していない。
国連は要員と装備が明らかに不足していると指摘。ポルトープランスの治安は悪化していると指摘する専門家もいる。
国連によると、今年1~5月までに全国で殺害された市民は3200人以上。この1年半で50万人以上が住居を失ったと推定されている。4~6月末の間に死傷した市民は約1400人。428人が誘拐され、行方不明になっている。