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国連安保理、ハイチ新部隊の協議開始、ギャング戦争終わり見えず

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
ハイチ、首都ポルトープランスで行われた抗議デモ(Getty Images/AFP通信)

国連安全保障理事会は29日、ギャングの暴力に圧倒されている中米ハイチへの国際部隊の強化・拡大を目的とする決議案の協議を開始した。

米国とパナマが提出した決議案は、資金・人員不足に悩まされているハイチ国連支援ミッション(MSS)を「ギャング鎮圧部隊」と称する部隊へ移行させることを目的としている。

MSSと同様、この部隊も国連への任意拠出金で運営される予定だ。

ただし指揮系統は異なる。新部隊はこれまで要員を派遣した国々の代表者で構成される常設グループと、米国・カナダが主導し、首都ポルトープランスに新設される国連事務所が支援する。

新たな部隊司令官は常設グループによって任命される。

この提案は米州機構に対し、食糧配給、通信機器、防衛装備を含む対象を絞った支援を通じて、支援の約束を具体化するよう求めている。

米国のドロシー・シア(Dorothy Shea)国連大使代理は前日、この部隊の国連承認を要請すると表明していた。

一部の専門家は部隊を変えてもハイチへの資金提供は増えず、問題に対処できないと指摘している。

国連ハイチ事務所は今年、9億800万ドルを調達することを目標にしているが、調達率は今月初め時点で9.2%にとどまっている。

MSSの報道官は30日、ロイター通信のインタビューで、「新しい部隊について評価しているが、いずれにせよ、重要なことは国際社会が一致団結してハイチの問題に対処し、ハイチ国民に利益をもたらすことである」と強調した。

ハイチは常設グループに含まれておらず、その結果、国の主権が脅かされるのではないかと懸念する専門家もいる。

ハイチ暫定大統領評議会と政府は新部隊についてコメントしていない。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

米政府は5月、ヴィヴ・アンサムとグラン・グリフを「外国テロ組織」と「国際テロリスト」に指定した。

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